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自由詩「家路」

 こんにちは。ローランです。
 今日も自由詩です。もう、物語詩としたほうがいいのかなぁと毎回悩んでいます。
 今回は前回の「それから」に続くお話です。君と僕のシリーズです。一緒のマンションの階違いに住むことになった君と僕。新生活が始まります。


花ざかり

「家路」


事務室に住所変更の届けに行く
用紙に新しい住所を書き込んでいく
同じ部屋で一緒に住めるわけではないが
なんだか紙までが輝いているような
くすぐったいような心地がする
お願いしますと
僕は満面の笑みで提出した
受付の事務員さんも笑顔で受け取ってくれる
まるで婚姻届みたいだな…
一人想像して赤面するも
すぐに打ち消し真顔に戻す
外はもう夜
見上げると満天の星
周りが明るすぎていつもなら気にしないような星空も
今夜は僕を応援してくれている気がする
通りを急ぎ足で進む
その時ふと不安がよぎる
本当に君を支えていけるのか
今の僕で本当にいいのだろうか
日々努力はしていても
僕はまだまだ不安定な身だ
君の気持ちは君に聞かないとわからないが
君と同じマンションに住み
君の世話を焼きながら
君と同じ時を少しでも過ごすことができる
それが二人のこの先の人生に繋がったようで
僕はとても嬉しいが
君はどうだろうか
ふうっと一つ大きく息を吐き心を整える
そうだな
不安は考えても仕方がない
問題があれば問題があった時に考えればいい
今は君との新しい生活を楽しもう
数分歩いて右に曲がると
あたりは商店街になった
ここを通り抜けた先に新しい住居がある
買い物客でにぎわっている
みんなそれぞれがそれぞれの人生を歩んでいるんだなと
僕は感慨深く見つめる
八百屋のおじさんに声をかけられた
今日は玉ねぎとキャベツが安いらしい
笑顔で応える
それください
さあ帰ってご飯を作ろう
忙しい君のために消化のよいメニューにしよう
君は喜んでくれるかな
君を待っている間に次の作品に取り掛かろう
新鮮な気持ちで立ち向かえそうだ
君にふさわしい人に早くなりたい
気持ちを引き締め
僕はまだ不馴れな道を急いだ

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