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眠りの森(自由詩)

こんにちは。ローランです。
今日はファンタジーの物語を詠んでみました。よくある物語ですが、吟遊詩人がリュートの調べにのせて歌っている姿を想像しながら書きました。
本日もお楽しみいただければ幸いです。

 森をイメージしましたが日本の木です


眠りの森


森に守られたある国に
異教徒との戦いで
人質とされ
連れてこられた姫がいた

戦勝を祝う宴席で
後ろ手に縛られ
王の前に跪く
可憐な異教徒の姫
その面立ちは
まだあどけなさを残す
羽化前の蝶のよう
恐怖で身は震えているが
その目は強い光を宿し
我が身に降りかかる運命を
見据えている
こののち城前の広場に引き出され
姫は民衆の前で討たれる運命

そのとき若い騎士が声をあげた
戦で名を挙げたその男は
姫の美しさに一目惚れ
褒美に姫を所望した
男は一代限りの爵位の騎士で
本来ならば成らぬ望みであったが
面白がった王の気まぐれで
姫はその騎士の褒美とされた
美しい姫を手に入れたその騎士は
喜び勇んでわが城に連れ帰る

城内を急ぎ整え新床の夜
その場で姫は自害した
若い騎士は深く悲しみ
生涯独り身を貫いたという
いまは閉じられ
木々に覆われた古城に残る
眠りの森の物語

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