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いつまでも好きなスポーツをするために


はじめに

私が今年学びたいことは、「新体操」です。
私は5歳から高校卒業まで、13年間新体操をしていました。
競技をしていた頃は、全国大会に何度も出場させてもらい、
挫折やケガや嫌なことも含め、いろんな経験をさせてもらいました。
自分のことを話すなら、新体操のことは必ず話す、
それくらい、私にとってなくてはならないものです。

そんな新体操ですが、今、新たに学びたいと思っています。
それは、これまでとは違う新体操に出会ったから。
大人になっても、自分のやりたいことをするには
多くの壁があります。
その壁を乗り越え、いつまでもやりたいスポーツをするために、
どうすればよいのか考えてみました。

学生時代のスポーツとの関わり方


私が新体操をはじめたのは、幼稚園の頃。
まだ5歳だった私は、友達に誘われて、「友達がやるなら」
と軽い気持ちで練習場へ向かいました。

はじめはちょっとした習い事で取り組んでいた新体操でしたが、
小学生になり、試合に出るクラスへ入ることになったことが、
私の新体操人生を決定づけたと思います。

はじめは、「試合」などわからず、
自分が教えてもらったことをそのまま
披露する、という感覚でした。
はじめて出た試合での最後のポーズの写真が、
その次の日の新聞に掲載されたことが恥ずかし嬉しくて、
なんとなく人に見てもらう楽しさを実感しました。

「悔しい」とか、「勝つ」とか、
そういう熱血スポーツで連想される感覚を経験したは次の年。
本番、団体の演技でうまくいかず、
先生に「もっとこうしないといけなかった」と怖い顔で言われ、
その直後に優勝したことが知らされ、
周りの大人が涙を流しながら喜ぶのを見たときに、
「もっと頑張らないといけない」「優勝するっていいことなんだ」
と気づいた気がします。

そこから、高校を卒業するまでの12年間、
「試合で勝つこと」「本番で自分の力を出し切ること」
「チームや仲間や先生のため」に、練習に取り組んできました。

新体操は、採点競技で、「芸術スポーツ」とも言われます。
個人は1分半、団体は2分半の時間の中で、
技の正確さや芸術性の高さを競うスポーツです。
採点競技であるだけに、「見られてなんぼ」のスポーツ。
見られ方にとても気を遣うスポーツでした。

まずは、自分の体型。体のラインがよく見える衣装です。
痩せているということが求められました。
毎日体重を測り、自分の目標体重に達していない場合は
練習そっちのけで走って体重を落としました。

さらに、演技の出来映え。本番でミスしまくりのボロボロ演技だったときは
「こんな演技人に見せられない」と言われました。
また、本番だけでなく、練習でも出来がよくないと
試合に出ることはできないと言われ続けました。

そうした指導をされてきた私は、
「試合に出させてもらうからには
見られる価値のある演技をしなければならない
という思考が強く身についていました。


高校で競技を引退して、5年ほど全く違う世界で過ごしていました。

「社会人でやってるからどう?」

声を掛けられたときは、全くやる気はありませんでした。

なぜなら、当時の自分は競技をしていた自分から大きく
かけ離れていたからです。
体型は崩れ、柔軟性や筋力も衰えている。
こんな自分の新体操は人に見られる価値はないと。

しかし、私は断れない性格なので、一度見学に行くことにしました。

見学に行ってみたら、「見られること」など気にせず、
自分のやりたい新体操に取り組む人がたくさんいました。

そしていつの間にか、私も社会人チームに入会し、
週に1回、練習に励んでいます。

大人になっても新体操をするということ


正直、20歳を超えても新体操をすることは、とても大変なことです。

新体操は、20歳がピークと言われます。
確かに、多くの新体操選手は子どもで、
続けようと思っても、大学に進学した後の道はほとんどありません。
ほかのスポーツなら、「実業団」や「クラブチーム」の道がありますが、
新体操には実業団チームはありません。「大学OB」の名や、企業の名前で
出場している選手もいますが、そうした人は日本のトップ選手に限られ
(それも国際大会に出場できるレベルの)、その道はほぼないと言っていいでしょう。

さらに、社会人は出場できる公式戦は2,3個のみで、仮にチームに
所属できたとしても、学生のときのようにたくさんの試合に出場するということはできません。

そうした環境面だけでなく、身体的にも厳しいものがあります。
新体操は過度の柔軟性、体力の必要とされるスポーツであり、
身体には大きな負担がかかります。成人を超えて、歳を重ねていく
体には、耐えられるものではありません。
私自身も、学生のときにいくつかケガをし、今も痛むほどです。

こうしたことから、大学を卒業しても新体操を続けることには、
いろんな障壁があります。

それより、もっと大きな壁は「自分の気持ち」です。

見られるスポーツをしていた私にとって、
見られる状態ではない自分が新体操をすることは
とても恥ずかしいことだと思っていました。

足も上がらず、難易度の低い技しかできない。
現役の時、過去よりも衰退している状態を披露することは、
「私はこれだけ衰えました」と証明することになると思ったからです。

実際、社会人で新体操を始めた私を見て、
「よくできるね。私にはもう無理。」
と言われたこともあります。
これは、褒めているのではなく、
「昔より体の動かない状態で演技をすること」に対して、
「恥ずかしくないのか。私は恥ずかしいし、そんな自分は許せないから
無理だ」
という意味での言葉です。

私も、自分のマインドの壁を乗り越えるまでは、彼女と同じ考えでした。

「競技」思考では、いつまでもスポーツはできない


私は社会人で新体操を新たに始め、
自分が新体操をすることに対しての考え方が大きく変わりました。

それは、「今できる範囲を受けいれる」ということです。

過去の私や、例に挙げた友達たちは、衰えている自分を受け入れることが
できていません。
自分がよくできていた頃を基準に考えているので、
その頃と同じ状態の自分にならないと新体操はできないと思っています。

しかし、人間は衰えていくもの。いつまでも最高の状態を維持するなんて
不可能なことです。

それでも新体操をしたいならば、自分の考え方を変えるしかありません。

私は、マインドを変えてから、現役の時とは違う見方を見つけ、
新鮮な気持ちで新体操に取り組むことができています。
今の自分ができる範囲で、どんなことができるか。
どんな自分が表現できるかを、学んでいるところです。

13年間やってて、知り尽くしていたと思っていた世界が、
どんどん開けてきています。

これは、どのスポーツにも当てはまることだと思います。
身体が変化していく中で、取り組み方が変わらないと、
いつか限界がやってきます。

X(旧ツイッター)で、元陸上選手の為末大さんが
こんなことを言っていました。


スポーツには3つのフェーズがある。
①環境適応
②限界付近まで成長
③衰退にあわせ再適応
(抜粋)

③の再適応ができることで、今、私は新たな新体操の魅力を発見し、
むしろ現役時代よりも楽しく充実した新体操生活を送っています。

いつまでもやりたいスポーツをするために、
環境ではなく、自分のマインドを変えることにも
目を向けられる人が増えたらいいなと思います。

私は、再適応し続けながら、新たな学びを重ねたいと思います。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


#今年学びたいこと

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