子連れ旅メモ:スペイン&フランス(2017)〜②最初にして最大の難関「往路の時差」

旅のあらすじ

2017年11月、わたしとオットと3歳半のぼっちゃんの3人で、スペイン〜フランスへ出かけました。ぼっちゃんが保育園で模倣制作した「ガウディのトカゲ」を見ることを中心に組み立てて行った、11日間の旅の記録。


ベビーカー・抱っこひもは必要か?

出発前、最も頭を悩ませていたのは、「トランジットやバルセロナ入りの時、ぼっちゃんが寝てしまったらどうしよう…」ということでした。
つまり、子どもをどうやって運ぼうかと。

結果的には、ベビーカー・抱っこひもなしで「なんとかなった」のですが、なんとかなるまでの逡巡を以下に:

国際線往復は、JALでバルセロナin〜パリoutで手配したのですが、2017年秋現在、東京からバルセロナへの直行便は出ておらず、わたしたちが選んだのは、羽田11:30発→ヒースロー(ロンドン)15:10着(フライト時間12h40)、ヒースロー18:20発→バルセロナ21:30着(フライト時間2h10)。

ヒースローに着いた時点で、日本時間にしてみればすでに真夜中。
バルセロナ到着にいたっては、日本時間で午前3~4時。これは大人でも超眠たい時間帯です。

ぼっちゃんは、寝入ってしまうと、起きない。無理やり起こすと泣きわめく(そりゃ、そうだ)。
彼の体重は15~16kg、身長は100cm強。抱えて長時間歩くには、相当ハード(オットもわたしもマッチョ系ではないし、気力・体力で乗り切れるほどヤングでもない)。

普段からベビーカー・抱っこひもを利用していれば、それほど悩まなかったかもしれないけれど、ぼっちゃんは3歳時点ではすでにそれらをすっかり卒業していたので、今さら…という感じもあり。そして何より、荷物はできれば増やしたくない!往路以外、その他の局面ではおよそ不要であろうし…。

選択肢として考えたのは、
・抱っこひもを持って行く:うちで使用していたのはエルゴベビー(オリジナル)。調べると耐荷重20kgとあるので、製品的には一応いけそうだ。引っ張り出して持って行くか?
・簡易バギーを持って行く:「アンブレラ型」と呼ばれる3~4kgの細く軽い製品。耐荷重15kg程度…、ぎりぎりセーフ?数千円するけれど、購入して持って行くか?
の2つ。

しかしながら、バギーは「機内持ち込み可能」タイプでないと意味をなさないとわかり(だいたいのバギーは手荷物扱いとなるため、トランジットの際に使えないし、最終目的地でも結局は手荷物受け取りまで使えない)、最後まで悩んだのは、抱っこひもを持って行くかどうか、でした。

最終的には、エルゴはたたんでもそれなりに存在感があって荷物になることが懸念だったのと、やっぱり、今さら抱っこひも…というのが、気持ち的にしっくり来ず、「なんとかなるさー(なんとかしよー)」、の精神で出かけたのでした。

もし今だったらどうする?

ベビーグッズの進化、というか、日本における選択肢の増加は本当にめざましい。

わたしが第一子を育てていたとき、上の子と7歳差の赤ちゃんを授かったというママさんがいて「前の時は授乳ケープも使ってなかったし、エルゴも持ってなかった!感動している!」と話していて「ほえー、そんなものか!」と思ったものだけれど、自分も5歳差で第二子を育てている現在、まさにそうだな、と思うことが度々あります。

抱っこひもについていえば、今だったら、例えば「konny」(2017年創業の韓国のスタートアップとのことで、最近よく見かけます)を新生児期から購入し使っていたとしたら、20kgまでOKらしいし、かなりコンパクトにたためるので、用心のためにと気軽に持っていけそうだな。(余談ですが、マタニティウエアも韓国ブランドがおしゃれなものが多かったりしますね、なぜだろう!?)

バギーも、大人気のBABYZEN yoyo(フランス企業、2012年から発売しているらしいけど、日本での今みたいな超人気は最近だと思う)を最初から持っていたとしたら、機内持ち込みOKサイズに折りたためるものなので、選択肢になっていたかもしれない。でも、道中他の場面で必要なさそうなのであれば、やっぱり安心感よりも負担感の方が大きいかもしれない。

実際、どうなったか?

最初にして最大の難関…というか、最大の心配ごとは、結果的に、この旅行でわたしの中で一番愉快な思い出になりました。なんでも、そういうものかもしれないけれど!

ヒースローまでの12時間を超えるフライト中、ぼっちゃんは着陸直前の1〜2時間しか寝ませんでした。

彼は、そもそも2歳過ぎたあたりから、習慣的にはお昼寝をしない子(お昼寝の時間が嫌いで保育園への登園拒否権を発動したくらい)だったのですが、さすがに飛行機という退屈な空間においては眠るかもしれない。しかしながら、「お昼寝してくれたら、トランジットが夜中でも多少の元気を蓄えられるかも…」という淡い期待は、限りなく透明(!)な現実に。隣で終始爆睡しているオットを横目に、運ばれてくるすべての食事やリフレッシュメントを堪能し、子ども向けビデオプログラムを見尽くすのではないかというほどに見続け、窓際の席で時折雲を眺めては、「いま、どのへん?」と確認して、また視線をモニターに戻し… 

普段、それなりに動画の視聴時間やおやつの量に制約があるので、「動画見放題・おやつ食べ放題(キッズミールはスイーツ系が多い)」の非日常は、彼にとってサイコーだったに違いありません。一切泣かず、騒がず、一睡もせず!

それでもやはり、出発から10〜11時間、日本時間で22時を過ぎようという時間帯には、眠ってしまったわけです。どうせならこのまま到着まで起きていてくれたら…という淡い期待(リプライズ)も「ここまでか…」。

そして、ヒースローに到着。他の皆さんがどんどんと降機していく中、ぐっすりと寝入っているぼっちゃんの耳元で、意を決して(無理やり起こすとごねて面倒なことになるかも…)、ご報告。「寝起き不機嫌」を誘発しないよう、落ち着いたトーンで、ただし、旅の高揚感をもった声色で。

「ぼっちゃん、着いたよ、ヒースロー空港。ロンドンだよ!外国に着いちゃったよ!」

すると、ぼっちゃん、ぱちっと目を開き、無言ですくっと起き上がったのです。

この反応は、ここまで摩擦ゼロの反応は、(心のどこかでうっすら望んではいたのかもしれないけれど)ほとんど予想外。

口をきっと結んで(わたしにはそう見えた)、ぬっと立ち上がり、座席下に置いてあった自分のリュックサックをおもむろに取り出すと、さっと背負い、カチッと胸部分のストラップ(ずれ落ちないようにね)を締め…
こちらを見て、「ママ、いこう」と言ったではありませんか!

通路に出て、ドアへ向かってさっそうと歩く後ろ姿の勇ましかったことといったら、ありません。

今でも、いつも、あの到着時のぼっちゃんの姿を思い出して、おかしくっていとしくって、ニヤニヤしてしまいます。

旅行中の愉快な思い出の、頂点に君臨する出来事。

トランジットのターミナル移動も、彼はよくよく歩いてくれました。さすがに次のフライトでは乗った瞬間から寝落ちしていましたが、バルセロナ到着時も、移動が必要な場面では起きて歩いてくれました(ちなみに、到着が現地時間の22時過ぎと遅く、子連れなので、空港〜市内の宿泊先へは迷わずタクシーを利用。若かりし頃(お金もあまり持ってない)の気ままな旅とはこういうところが大きな違いですね)。

何がよかったのか?

この奇跡的一件落着の何がよかったのか?しいて言えば、子どもにも、旅行の行程・予定を、じっくりと話して聞かせ、意識できるようにしておいたのが功を奏したのかもしれません。
「ヒースローに着いたら、飛行機乗り換えるんだよ」「眠いかもしれないけれど、いっぱい歩こうね」といった具合に…。

ぼっちゃんは小さい頃から保育園に通っていることもあって、スケジュールというものの存在、「次に何が起こる」という心の準備をして行動する、という振る舞いには慣れて(慣らされて)いることもあり、この旅でも、「明日は○時に起きて、電車に乗って○○へ行くよ」といった事前説明は、よくよく行って、子どもがわたしたちと一緒に、この旅を主体的に楽しめるように気をつけていました。

…というと聞こえはよいですが、結局は、「共働きのドタバタ家庭において、子どもにも家庭運営という"チーム"の一員としての自覚を持って協力してもらわにゃ困る」というキビチー現実において、普段から、ある程度のスケジュールと行動を意識してもらうのは必須なのですよね。「できなかったとしても」です。時にかわいそうかなと感じることもなくはないのだけれど、それでもわたしたちの場合は、子どもも大切なチームメンバーとして存在して、家族がある種の一体感を持って動けている気がします。

とはいえ、「時差」なんていう抗いようのない事象については、実際には本人のその時の体調などのコンディションが大きく左右すると思うので、この時は、幸運だったのだと思います。

って、結局、運次第!?

…人生は、準備と運(チャンス)でできています、よね!

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