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未経験からのIT業界_1 新卒カードなしのSESの運用監視から始まった私のキャリア

25歳で無知識未経験の立場でIT業界に飛び込み、今年で48歳になる。当時を振り返ると、なんだかんだでよくここまでやってこれたな、というのが正直な気持ちだ。人に誇れるほどのたいした成功はしていないが、結婚し、海外赴任も経験し、外資のマネージャーも経験した。

ただ、ここで自分のキャリアの振り返りを書くにあたり、いろんな葛藤があったのも事実だ。25歳で無知識未経験の立場でIT業界に飛び込み、今年で48歳になるが、今なお、キャリアを模索中だ。正直、過去を振り返っている場合ではない、という気持ちもある。また、自分がSESで運用監視業務をしていたのは20年以上前だ。時代も変わっているし、ノウハウとしても今の時代では通用しない部分があるだろう。当時はSESという言葉すらなかった(ただし実態はそれほど変わっていない)。

しかし、だんだんとIT業界に飛び込んでくる若者のキャリア形成を考えていかなくてはならないことも、仕事上増えてきた。この機会に自分がどうキャリアと向き合って乗り越えてきたのか(そして時には挫折したのか)を記しておくのも悪くないだろう。

ちなみにこの記事では「SESの社員としてどう行動したか」に焦点を当てていて「IT業界やSES業界をどうあるべきなのか」には触れない。そこに対しても書きたいことはいろいろとあるのだが、それはまた別記事で語ることにしたい。

この記事はハウツー記事というよりは自分語りなのだが、これからIT業界に飛び込もうとしている、もしくは飛び込んだばかりの新人にとっては参考になる部分もあると思う。そして、プログラムの知識がない新人だとより参考になるだろう。

狙いとなる技術領域をまず見つける

そもそも、なぜ私が新卒カードなしで、無知識未経験でのIT業界を目指すことになったかは下の記事を参照してほしい。


私の場合はまず技術領域を「ネットワーク」に絞った。1年目の途中からそれに「Linux」が加わった。「Python」「Go」等のプログラム言語に狙いを定める人が多いが、プログラム言語以外でも「クラウド」でもいいし「セキュリティ」でもいい。最初はある程度漠然としていてもいいと思う。私がネットワークに絞った理由も、受けようと思った会社がCCNAというネットワーク系の資格の研修を新人研修で提供してくれるから、という程度の理由に過ぎない。やりたいことから会社を探したのではなく、会社を探してそのあとにやりたいこと(やっていくべきこと)を決めたのだが、これはファインプレイだったと今でも思っている。やりたいことに固執する必要はなく、自分が所属している会社でスキルが伸ばせそうな技術領域に標準を絞ったほうがよい。

ただし、一つ注意したいのはあまりバズワードを選ばないほうがいい。バズワードはニュースを賑わすほどにはビジネスとして成熟していないことが多く、すぐにすたれる可能性がある。

周りから吸収する

私がしていた運用・監視の仕事の役割は基本的には「システムが正常に稼働しているかどうかを見守る仕事」であり「システムのトラブルを解決」したり「システムの設定を変更」する仕事はシステムエンジニア(SE)の仕事だった。この時にSEの仕事をよく見て、UNIXコマンドやバッチジョブの仕組みを理解していったのが、スキルアップという意味で非常に大きかった。

私のキャリアの一つの転機になったのが、たまたま同じ部署のSEが不在だった時に、代打でUNIXの設定作業をしたことだ。大した設定作業ではなかったのだが、普段からSEの仕事を見て準備が出来ていなければこの代打の機会は与えられなかっただろう。

この件を境にUNIXを使える人という位置づけになり「見守る人」から「システムの保守をする人」へのステップアップを実現できたと思っている。

「キャリアアップの機会がない」と嘆く人は多いが、多くの人はキャリアアップができる機会があるのに気づかず、知らないうちにスルーしている。

営業が味方になってくれた

営業が、エンジニアが不足している会社を見つけてその会社に自社のエンジニアを推薦する、というのがSES会社の基本的なビジネスの仕組みだ。

私の場合も8ヶ月程度の運用・監視の仕事の後にLinuxのサーバー構築の仕事を営業が見つけてくれてその仕事に移ることになった。その時に営業の人がお客様となる会社に私を推薦してくれたのだが、その時の言葉は今も忘れない。

「彼(私のこと)は一度も文句をいうことなく、夜勤も含めて真面目に運用監視の仕事をやり切ってくれたんです」

私は非常にその言葉に感激して、真面目に仕事をしている姿は自分が思った以上に周りが見ていてくれているのだな、と不覚にもお客様の前で泣きそうになってしまった(実際には泣かなかったが)。結局は「真面目」に勝るものはない。「真面目」な人は多くの人が味方をしてくれる。

後になって自分でこんな話をするとちょっといやらしく聞こえるのだが、どうも営業の人は他のエンジニアよりも私に優先的にいい案件を回してくれたらしい。私のやっていた運用・監視の仕事は夜勤もありだったのだが、他のエンジニアはずいぶんと夜勤のシフトに注文をつけていたようだ。おかげで私は12/31、1/1、1/2と3連続夜勤に入ることになったのだが、その苦労も営業の方の言葉で随分と報われた気がする。

運用・監視時代の終了

こうして、私は夜勤続きの運用・監視の仕事を終えて次の案件に移ることになった。運用・監視の仕事といってもいろいろあるが、自分の場合はいろいろな技術要素に触れる機会が多い環境であり、そこである程度IT業界でキャリアアップを達成するためのスキルの具体像がつかめたことが非常に幸運だった。そして営業にも恵まれ、その具体像に合わせた新しい案件を営業の方が見つけてくれたことで、スムーズにイメージ通りの次のステップに移ることができた。なお「ネットワーク」+「Linux」はその後も私のスキルのコアとして存在し続けている。

こうして無知識未経験でのIT業界への転職としてはまずまずのスタートを切ることができた。ただし、その次のステップでは思いもよらない壁にぶち当たることになるのだが、その件はまたの機会に記事にしたい。


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