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未経験からのIT業界_2 SESからスタートして最初の2年で脱落する人、伸びる人

前回書いた記事には思いのほか反響があった。今回の記事を読んでもらう前に、出来れば前回の記事を読んで欲しい。なぜならIT業界といっても多種多様なので、最初に、私のおかれた状況や業界を知ってもらったほうがこの記事の内容も理解しやすいと思う。

私が最初に就職したの2001年だ。私の入社した会社は未経験の大量採用をしており、2001年から2002年にかけて50人ぐらいは通年採用をしていた気がする。私のような学校をやめてフラフラバイトをしていた人もいれば、アパレル出身、飲食店出身、小売店出身など様々なメンバーがいた。

その50人がどうなったか?没落していった人もいるのだが、今なお最前線で頑張っている人もいる。「入社時点で将来が決まっている」なんてことはない。同じスタート地点でありながら、最初の2年間の過ごし方でその後の人生は大きく変わっている。そして、伸びる人と没落する人にはある程度傾向がある。今回はそんな話をしていきたい。

残念ながら全く向かない人はいる

ほとんどの入社メンバーは、コンピューターサイエンスに関する知識も業界知識もなく、IT初級のOJT研修にはいる。そこで、ITの基礎を学ぶわけだが、わずかながらではあるが、この段階で早くもついていけなくなる人はいる。体感としては15人のクラスで1人か2人ぐらいだ。これを「地頭の良さ」と呼ぶのか「センス」と呼ぶのか私にはわからないのだが、非情な言い方をすれば、全く向かない人は残念ながらいる。最初のOJTの段階で、周りから遅れを取っていると感じた場合は早めに見切りをつけるのもありだろう。

仕事や会社の不平ばかりいう人は消える

「こんな仕事はやりたい仕事じゃない」「うちの会社はダメだ」「真面目にやってもしょうがない」口を開けばこんな不平ばかり言う人がいる。こういう人は次第に周りからも煙たがられ、どんどん悪い仕事を回されていき、会社の中に居場所を失っていく。最もなってはいけない人であり、こういう人とははっきりいって距離を取ったほうがいい。不平不満は伝染していく。

そして、このタイプの人は残念ながら結構な数いた。安西先生風に一言いえば「心がすさんでしまったらそこで試合終了ですよ」である。

だが、まったく自己主張しないタイプも伸びない

では、最初の2年で伸びた人は従順なイエスマンばかりなのか、というと意外とそうでもない。残念ながら自己主張のない人は埋もれてしまう。伸びた人は「自分はこういう仕事がしたい」と会社や営業に対しても臆せず主張する、どちらかといえば自己主張の強いタイプが多かった。ポイントは「こんな仕事はやりたくない」ではなく「こういう仕事がやりたい」に力点が置かれていることだ。

近い時期に入社した今でも付き合いのあるF君は、要請されれば、本来の業務とは関係のない他の部署の単純なPC設定の仕事も積極的に手伝っていた。それも休日出勤してまでである。PC設定の仕事はマニュアルに沿ってPC設定をするだけの簡単仕事なのだが、彼は勝手にタイムアタックを設定し、正確かつ早く設定をする競技として嬉々として設定作業に取り組んでおり、作業員の中でも目立っていた。そして最終的には、客先に引き抜かれて大手携帯キャリアへの転籍を勝ち取るのだが、彼は典型的な「一見つまらない仕事に対しても全力で取り組み」「ささいなことでもことあるごとに目立つ」タイプだった。

資格はそれほど相関関係がない

SES会社に入社すると資格の取得は推奨されるケースは多く、私がいた会社もまさにそうだった。だが、資格の取得の有無は実はそれほどその先の成功とは相関関係がない気がする。多忙な人ほど資格の取得は難しいので、必然的に暇な人(=重宝されない人)ほど資格収集家になる傾向がある。

結局のところ資格はしょせん座学に過ぎないのだと思う。勉強することは大事だが、仕事に直結しない資格の勉強をするよりは、仕事に全力で取り組むほうが大事なのだ。

コミュニケーション能力は圧倒的に重要

もともと圧倒的に技術力がある人はともかく、無知識未経験でSES会社に就職した人にとって、1年や2年で市場価値の高いスキルを身に着けるのは並大抵のことではない。必然的にスキルはどんぐりの背比べである。

その中で、成否を分けるのはやはりコミュニケーション能力である。結局、如何にして周りのサポートを得られるのか、なのである。サッカーでもまずは周りからパスがもらえるようにならなければどうしようもないのと同じである。

前回の記事でも書いたのだが、SES会社のエンジニアにおいて重要なことは「営業に自分という存在を認知してもらってよい仕事を回してもらうチャンスを増やすこと」がまず第一である。テレビのひな壇芸人同様に、いくらお笑いのセンスがあっても、積極的に自分の存在をアピールしていかなければチャンスはないのである。

総括

自分が就職したばかりのことを振り返って見たが、結論はいつも当たり前である。最初の2年を乗り切るのに他人を出し抜くスキルはいらない。コツコツと真面目にやって、周りにサポートをもらえる状態をつくっておく、それだけで上位に入れるのだ。(残念ながら私が入社した会社の新人のレベルがあまり高くなかったというのは事実としてあるだろう。通年の大量採用をしている会社なので、採用の質より量で勝負していた)

では、スキルはあまり関係ないのか、といえばそんなことはなく、スキルについてはここから後の人生を左右していくことになる。また、それについては別途書いていくことにしたい。

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