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3年間で小説1000冊読破チャレンジ:にごりえ by 樋口一葉

まず心から叫びたい。お初。お初が辛すぎる!つらいよ、お初!
旦那が女で身を滅ぼして、貧困に陥る。
そんな中でも、努めて旦那を思いやり、よい妻、よい母として家族を支えようとしている。なんて忍耐力。
令和の時代に、この忍耐力がある女性はいるかしら。いや不要な忍耐力だと思うけど。

元凶の女性から子どもがお菓子もらって帰ってきて、切れるお初。
そら切れるさ。それに逆切れする夫。そして離縁を言い渡される。涙以上のもろもろを飲み込んで修復しようとするお初。このシーンの描写と言ったら、心はすっかりお初になって胃が痛かったよ。

この時代の女性が離婚して出戻りすることは、経済的にも、世間体としてもとてもハードボイルドであっただろう。

一方で、不倫相手の遊女のお力はお力で、店・ナンバーワンの器量をもってしても、卑しい身分と悲しい生い立ちにとらわれて、人知れず苦しんでいる。そして、自らが幸せになることを許さない。

身分の低い女性たちの苦しみ。貧困層の苦しみ。

しかし、いつの時代も男女の色恋沙汰は変わらないねぇ。令和の時代でも大変な思いをしているシングルマザーはたくさんいるし。

しかし、樋口一葉先生、25歳で亡くなったなんて。若すぎる、そして天才すぎる。

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