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【PHI】 Closer Committeeというブルペン運用手法について考える 【MLB】

どうも、フィリーズ担当のペンでございます。

Craig Kimbrelのフィリーズ入団会見の記事に面白いものを見つけました。
ざっくりまとめると…

『 KimbrelはSeranthony DominguezやJose Alvaradoらと共に試合終盤の継投の中心として投げてもらう 

この内容から通算394セーブのKimbrelをブルペンに加えてもフィリーズは昨年Thomsonが臨時監督に就任して以降と同様のブルペン運用をすることが明確になりました。

今回のnoteではフィリーズだけではなくレイズも取り入れている『 Closer Committee 』または『 Bullpen-By-Committee 』などと呼ばれているブルペン運用手法についてまとめていきます。

それでは、noteスタートです。

フィリーズのブルペン運用

まずは現在のフィリーズのブルペン運用についてまとめていきます。
私のnoteでは昨年からフィリーズのブルペン運用について何度も取り上げていますので私のnoteを読んでくださっている方には繰り返しの内容になりますがご容赦ください。

昨年の途中からフィリーズのブルペン運用は以下のようになっています。

フィリーズのブルペン運用

運用ルール
相手打線の打順や左右の並びに合わせてイニング関係なく適したブルペン投手を起用する

説明
7回僅差でリードの状況で相手の攻撃が高打順で始まる場合、フィリーズは相手打線に合わせてブルペンで最高の駒であるDominguezかAlvaradoを起用する
逆に9回のセーブシチュエーションの場面でも相手の攻撃が下位打線から始まる場合、DominguezやAlvaradoよりも一段格が落ちる駒であるBrad Hand, Connor Brogdon, Andrew Bellattiなどで試合を締める

つまり、現在も主流と言っていいであろう7-8回にセットアップ役、9回にクローザー役のブルペン投手を置いて運用するスタイルではなく、相手打線の強いところに強い投手を、弱いところには若干レベルの落ちる投手を打つけるスタイルにすることでより合理的なブルペン運用をしようというのが今のフィリーズの手法なわけです。
そして、冒頭で書いたことからもわかる通りクローザーとして華々しいキャリアを築いてきたKimbrelもフィリーズでは例外なくその時の調子によってランク付けされ、セーブシチュエーションに限らず適した場面で起用されることとなるのです。

このような特定のクローザーを決めない起用方法は一般的に『 Closer Committee 』という風に呼ばれているようです。

Closer Committeeを採用している/たチーム

それではここからはフィリーズ以外でCloser Committeeを採用している/たチームを紹介していきます。

タンパベイ・レイズ

先進的な投手運用を数々生み出しているレイズはブルペン起用でもCloser Committeeという手法の初めての長期的な成功例となっています。

レイズは2017年のAlex Colomeの47セーブ以降30セーブを超えた投手がいません。
昨年2022年に至っては二桁セーブを達成した投手さえいませんでした。

2022年シーズンのレイズのセーブ一覧
MLBアプリより引用

レイズはアームアングルも含め様々なタイプの投手を揃え、その場面場面で適切な投手を起用していくことで成功をおさめています。

レイズのブルペン運用については下記の記事が詳しくまとめられていると思いますので気になった方はこちらも読んでいただければと思います。

ちなみに現在フィリーズでアシスタントGMの職についているAli Kilambiはレイズのフロントの出身でブルペン運用の戦略にも大きく関わってきた人物とされています。
つまり、フィリーズのブルペン運用はレイズの戦略を受け継いだ部分も大きいと言えるかと思います。

ボストン・レッドソックス

レッドソックスは2003年にCloser Committeeを最初に導入しようとしたチームとして知られています。しかし、その時は運用に失敗し翌年2004年には前年のセーブ王のKeith Foulkeと契約しています。

2018年オフにKimbrelがFAで抜けて以降の近年は大物クローザーなどと契約せずにその年毎に好調なブルペン投手 Brandon Workman や Matt Barnes を中心にしてブルペンを運用しています。
しかし、昨年2022年は John Schreiber や Tanner Houck などの活躍はありましたがfWARでリーグ27位の数字に低迷。
オフシーズンには通算391セーブの大物クローザー Kenley Jansen と契約。
2023年はまたクローザー固定のブルペン運用に戻る形となります。

Closer Committee の運用は難しい

レッドソックスの例を見ても分かる通りブルペン投手の投げる場面を固定しない Closer Committee という手法は運用が大変難しいとされています。
昨年のフィリーズはThomson監督の柔軟性や優れた投手コーチCaleb CothamBrian Kaplan、そしてKilambiらフロントのお陰でブルペン運用に成功しました。
しかし、このブルペン運用を定着させるには今年さらにブルペン成績を向上させる必要があります。
フィリーズの今後のチーム戦略を考える上でも今年のブルペンはとても重要な存在になるのではないでしょうか。

今回は以前も書いたフィリーズのブルペン運用について改めてまとめて書いてみました。
レイズも含め他のチームとは違う Closer Committee というブルペン運用手法に注目して2023年のメジャーリーグを見てもらうのも面白いかもしれません。

それでは、また別の機会に。

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