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親子リレーローンとは? 2世代でマイホームを手に入れるメリット・デメリットと知っておくべきこと

1.はじめに

住宅ローンの借入方法はいくつかあります。その1つが「親子リレーローン」です。親子で住宅ローンを借りるというのはどういうことなのか。親子リレーローンを活用するとどんなメリットがあるのか、どんな点に注意しないといけないのかを解説します。

2.親子リレーローンの基本知識

最初に、親子リレーローンの基本知識や借入の条件について解説します。

(1)親子リレーローン:2世代でローンを返済する借入方法

親子リレーローンとは、親が住宅ローンを組み、将来的に子がそのローンの返済を引き継ぐという形式の住宅ローンです。一般的な住宅ローンとは異なり、親が高齢でも長期によるローンの返済が可能です。

例えば、多くの住宅ローンでは、「申し込み時の年齢は20~70歳」「完済時の年齢は80歳未満」というルールがあります。もしも65歳で住宅ローンを借りる場合、最長でも15年で住宅ローンを返済することとなります。

返済期間が短くなれば、その分総返済額を抑えることができます。その代わり、月々の返済額が高くなるため、返済の負担を考慮すると必ずしも返済期間は短い方がいいというわけではありません。

65歳で親子リレーローンを用いれば、親世代が15年間、子世代が20年間と一般的な35年での返済期間でローンを申し込むことができます。


(2)親子リレーローンを利用する際の必要条件

親子リレーローンを利用するためには、いくつかの必要条件があります。利用する住宅ローンの種類によって違いはありますが、一般的な条件は以下の3点です。

・ローンを申し込む本人の直系卑属(子や孫など自分より後の世代)または配偶者で定期的収入がある
・申込時の年齢が満70歳未満
・連帯債務者になる人(1名のみ)がいる

(3)ペアローンと親子ローンの違い

ペアローンと親子ローンは、いずれも親子間で住宅ローンを共有するという共通点を持ちますが、その仕組みには大きな違いがあります。

ペアローンは、親子が一緒に借入をする住宅ローンです。親子共同で借り入れを行い、返済も共同で行います。契約も親子がそれぞれ単独で行うので、合計2契約で住宅ローンを組むこととなります。

一方、親子リレーローンは、親が始めて子が引き継ぐ形式の住宅ローンです。親がローンを組み、亡くなった場合やリタイアした場合に子がローンを引き継ぎます。住宅ローンは親子で1つの契約となります。

3.親子リレーローンのメリット・デメリット詳解

親子リレーローンのメリット・デメリットについて開設します。大きなポイントは、「親子2世代でできること」と「親子間のコミュニケーションの重要性」です。

(1)親子リレーローンのメリット

親子リレーローンの最大のメリットは、「親の収入を担保に、子が住宅ローンを組む」ことができる点です。これにより、子がまだ安定した収入を得ていない状況でも、一家全体の経済力を考慮され、住宅を手に入れることができます。

また、親が金利の低い時期にローンを組んでおけば、子もその低金利の恩恵を受けられます。さらに、親子リレーローンは親から子への資産継承を円滑に行うことも可能です。これにより、遺産分割などの手間を省き節税も期待できます。

(2)親子リレーローンで考えられるデメリット

親子リレーローンは多くのメリットがありますが、一方で注意点も存在します。

1.相続税問題
親子リレーローンは実質的に「親から子への資産移動」を伴うため、相続税の問題が生じる可能性があります。具体的な計算は、専門家に相談しましょう。

2.子の将来的な負担
初期の住宅ローンは親が主に支払い、子が後々ローンを継続して返済する形となります。子の経済状況が将来的に苦しくなった場合、返済が困難になるリスクがあります。

3.親の健康状態
親が病気になったり亡くなったりして、ローンの返済が難しくなった場合、子はそのままローンを引き継ぐことになります。

2と3のケースは予測が困難なので、普段から親子同士で万が一の場合への対策(貯金や保険の活用など)を話し合っておくことが重要です。

4.親子それぞれの立場から見た親子リレーローンの魅力

親子それぞれの世代から見た場合、親子リレーローンにはどのような魅力があるのでしょうか?

(1)親から見た親子リレーローンの魅力

親から見た親子リレーローンの利点は主に3つあります。

1.自分の生涯を見据えた住宅購入が可能となる
親が高齢であっても、子と共にローンを借りることで、自分が亡くなったあともローンが継続され、自身の住まいを確保し続けることができます。

2.資産運用や税制面でメリットがある
リレーローンを利用すれば、相続税を軽減する手段として有効である他、家族全体で資産運用が可能となります。

3.親子関係を深めるきっかけにもなりえる
住宅ローンを通じて親子間でのコミュニケーションが増えることにより、家族間の絆を深めることができます。

(2)子から見た親子リレーローンの利点

子から見た親子リレーローンの利点も、主に3つあります。

1.初期負担の軽減
頭金やローンの返済が親によって部分的に肩代わりされ、子ども自身の初期負担が大幅に軽減されます。これにより、早期の独立や新たな生活設計が可能になるでしょう。

2.安定した生活基盤の早期獲得
親からローンを引き継ぐことで、子ども自身が安定した住まいを手に入れるチャンスが早まります。

3.資産継承の円滑化
親子リレーローンは、親が生前にローンを適切に管理することができれば、子への負担を軽減しつつ資産を引き継げます。

5.親子リレーローンに関するよくある質問とその回答

親子リレーローンに関して、よく相談される質問をまとめました。親子リレーローンを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

(1)他の金融機関からの借換について

親子リレーローンを利用する場合でも、他金融機関からの借換は可能です。ただし、以下の点に注意する必要があります。

1.借換の際の審査
基本的には新たな住宅ローンと同様で、借換先の金融機関による審査が必要です。審査基準は各金融機関により異なるため、事前に確認しましょう。

2.借換手数料
親子リレーローンの借換えを行う場合、一般的に借換手数料が発生します。金額は借換先および借換額により異なるため、金融機関に直接問い合わせてみましょう。

(2)親が亡くなった場合のローンの扱いについて

一般的な住宅ローンの場合、契約者が亡くなっても住宅ローン債務はそのまま残るので、家に住み続ける場合には残りの債務を全額支払う必要があります。しかし、親子リレーローンでは通常、子がローンを引き継ぐという形で返済を継続します。

(3)住宅ローン控除の適用可否について

住宅借入金等特別控除(通称:住宅ローン控除)とは、10年以上の住宅ローンを使って住宅を購入・新築・増改築する際、所得税が一部控除される制度のことです。親子リレーローンを利用しても、住宅ローン控除を適用できますが、いくつかのポイントを覚えておきましょう。

1.対象者は名義人のみ
住宅ローン控除の対象となるのは、自己名義で借入れを行った人だけです。親名義で借入れを行った場合、子は住宅ローン控除の対象にならず、親が控除を受けます。

2.住宅ローン控除の適用期間は13年間
住宅ローン控除の適用期間は、初回借入れから最大13年間と定められています。したがって、親がローンを組んだ後、何年か経ってから子が名義変更を行った場合、控除期間の残りが少ない、または既に終了している可能性があります。

6.親子リレーローンを上手に活用する3つのポイント

ここまでに紹介した「親子リレーローンのメリット」を最大限得られるためには、3つのポイントを押さえておく必要があります。

(1)長期的な視野でのローン計画の立案

親子リレーローンを活用する際、最も重要なポイントは「長期的な視野でのローン計画」の立案です。親がローンを開始した時点から、子が完済するまでの期間を見据えた計画が必要となります。具体的には、次のような点を考慮しておきましょう。

1.ローンの開始時期
親の年齢によって借入期間が制限されることがあります。長い期間を見越して計画します。親が健康で、まだ収入が安定している時期が最適です。

2.子の引き継ぎ時期
子の収入状況や家庭の状況を考慮し、適切な引き継ぎ時期を設定しましょう。

(2)双方の金融知識の向上とコミュニケーションの重要性

親子リレーローンの成功の鍵を握るのは、親子双方の金融知識の理解度とコミュニケーションです。

1.金融知識の向上
リレーローンの仕組みや、金利変動のリスク、団信の重要性などについて親子で理解を深めていきましょう。これらの知識によって、ローン返済計画の策定やトラブル時の対応力を高め、長期的な視野で資産運用を計画することができるようになります。

2.コミュニケーション
親子間のコミュニケーションは、ローンの引き継ぎ時期や返済負担の分担など、重要な決定を共有して相互理解を深めるために欠かせません。親子間で金融に関する話題を避けず透明性を保つことで、リレーローンを円滑に進めることが可能となります。

(3)団信をうまく活用しよう

親子リレーローンを活用する際には、団体信用生命保険(通称:団信)の利用も忘れてはなりません。団体信用生命保険とは、住宅ローンを組んだ際に一緒に組むことが多い保険です。

団信の最大の特徴は、「保険適用時に住宅ローン残高と同等の保険金が支払われる」点にあります。例えば保険者が亡くなった場合、保険金が住宅ローン残高を一度に返済するため、ローンを引き継いだ子供が重い負担を抱えることなく、家を継ぐことができます。

保険料はローン金額や借主の年齢、健康状態等によって異なります。そのため、事前にしっかりと計算し、家計に負担をかけないように計画的に活用することが重要となります。

7.まとめ:親子リレーローンで次世代への資産継承を実現

2世代で暮らせる住まいを持ちたいという人々にとって、親子リレーローンは「親子2世代の収入を考慮してローンを組める」というメリットがあります。最後に紹介したポイントをチェックしつつ、円滑に親子リレーローンを利用して理想のマイホームを手に入れましょう。

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