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VR SNSは社会規範を変えるか

最近VR SNSを徘徊している中で感じたことを綴っただけの駄文です。
何も得るものはありません。
あ、お暇ですか? ではしばしのお付き合いを。

インドの安宿で面食らった話

いきなりですが、VR SNSとは全然関係のない話からスタートします。
かなり前のことになりますけれど、インドはコルカタのサダーストリート(サダルストリート)という安宿街の近くで、ちょっと高めのホテルに数週間滞在しました。
周囲から見るとちょっと高めとは言え、高級ホテル!!って感じでは全然ありません。
割と解放感のあるつくり・・・とでも言えばいいのでしょうか。

懐かしくなったので、ドン引きされることを承知で地図を貼ってみます。
この近くにある博物館が大変によろしい。むっちゃ大きくて内容も濃い。

そこそこ日本人もいるので過ごしやすく、良い宿だったなぁと思うのですが、そこで、面食らったことがあります。

初対面のインドのお兄さん(一人はメカニカルなエンジニアと言っていたな)などから、しきりにあることを聞かれたのです。
そのうち、父親のことまで聞かれはじめて、この人達は一体何がしたいのだろうかと、大層悩みました。
でも、日本に帰ってきてから、なんとなく「ああ、あれかな」と思い当たったんですね。

当たり障りのない導入ネタ

さて、日本人の皆さんは、共通項の全くない初対面の人同士のパーティに投げ込まれたとき、どんな話からスタートしますか。
そんなときの振る舞い方は、もちろん、人によって異なるでしょう。
でも、ここでちょっと想像してみて、あなたの「会話ネタリスト」を作ってみてください。
闇鍋みたいに何も見えない、聞こえないという状況ではなく、相手の容姿などはわかっている、ごく普通のパーティです。
本来のパーティは、「異業種交流会」とか「VKet Realオフ会」とか、共通の手がかりがあるものですが、今回はそれがありません、という設定です。

おそらくですけれど、
「何をされている方ですか」とか
「どちらにお住まいですか(お近くからこられましたか)」とか
「いいお召し物ですね」とか、
「ローストビーフおいしいですよね」とか。
そんな質問に交じって、「おいくつですか」が入ってはいませんでしたか。

根強く残る「儒教っぽいもの」

多分、学生の方や卒業から時間が経っていない方などの場合は、年齢と
か学年という情報は、会話を始めるにあたって、非常に重要な要素となるのではないかと思います。
(現代日本にどこまでそれが強く残っているか分かりませんが)わたしはこれを「儒教文化圏の規範っぽいもの」と考えています。

(こればかりは個人の感覚なので、皆さんも同じかどうかわかりませんが)、少なくとも私にとって、相手が自分よりも年上か年下かを知らずに話を続けるのは、どこか、気持ちの悪さというか、落ちつかなさがつきまといます。

おそらく、「儒教文化圏の規範っぽいもの」の中では、自分と相手の相対的な立ち位置を決定する要素として「年齢」が重要であるからでしょう。
ここで「っぽいもの」と呼んでいるのは、年齢を軸とする規範が、儒教によって構築されたと断言できるわけではないからです。

とはいえ、慎重に自分たちの日常を観察するに、この曖昧模糊とした概念は、確かに私たちを縛っていると言っていいのではないか、と思っています。

例えば「女性に年齢を聞くのは失礼」というのは慣用句的に様々なところで言われます。
で、みなさん、本当に「女性に年齢を聞くのは失礼」と思ってます?
確かに失礼とされているけれど、実のところ、どうでしょう。

もし、本当に失礼なのであれば、例えばテレビに出ている一般の方を紹介する字幕に〇〇〇〇さん(68)とか書かないでしょうし、高齢女性に「おいくつですか?80歳!!みえない!若い!!お元気ですね」なんて絶対言えないですよね。
皆さん、同年代の女性に対してなら躊躇いなく年齢聞きません?
「年齢」情報の社会的な役割が「儒教文化圏っぽい」ゾーンでは、他の文化圏とは異なる証左としてよいのではないでしょうか。

年齢を聞かれない楽しさ・うれしさ

ようやくVR SNSのお話です。
VR SNSの界隈に長くいるわけではありません。ただ、学園ものイベントにいくつか参加していますが、「一度も年齢を聞かれたことがない」というのは、特筆すべきことのように思います。
それとなくどの地方に住んでいるかなどは話題に出ることがありますけど、年齢の話題はあまり出ない。
え?
それは、お前の年齢を周りが察していて触れないだけだって?
そ・・・・・そうかもしれませんwwwwww

年齢を聞かれないコミュニティでは、相対的な上下関係が生じにくい。
これは大変に嬉しいことです。

年齢は自分で操作できません。
組織に於けるポジションは時として変動しますし、なんなら自ら降りることだって不可能ではないけれど、生まれた時期は変えられません。
自動的に序列が決まるという安心をつくる装置と考えることもできますが、どうしようもない軛(くびき)とも言えます。

この軛が生じない世界の、なんと楽なことでしょう!!
ため口で話しかけてもらえることの楽しさ!
へんな偏見のない状態で、相手の能力を素直に認めることのできる嬉しさ!

VR SNSは社会規範を変える要素を秘めている。
性別や見た目から人を自由にする力がある。
これは大変な瞬間に立ち会っているのかも知れません。

大事にしたい・・・・。
へんなものを混ぜこんで、このユートピアを壊したくない。
ちょっと、そんなブレーキも踏みたくなる、幸せな時間です。


さて、答え合わせしましょう。
インドのエンジニアにしつこく聞かれたのは「お前の職業」でした。
「学生だ」「お前の父親の職業は?」

え?
友人と顔を見合わせました。なんで父親の仕事・・・・
「サラリーマンって英語でなんて言うんだ?」「エンプロイー?」

このときの彼らの顔を見せたかった。
ものすごく困惑しちゃって。
「それは、なんの仕事だ?」


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