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分岐点の衝撃

「ラヴソング」にまつわるエトセトラ

その曲を、市川で聴くということの意味について。

***

及川光博ワンマンショーツアー2023
「踊って!シャングリラ」。
本日、昭和女子大学人見記念講堂2日目をもって
無事、全日程を終了した。

完全な曲のネタバレなので
終わるまでは表に出せないな…と
“ふせったー”を使って書いていた文章を、
このタイミングでここに転記することにする。

最初はそれを元に一から書こうと思ったのだが、
感情に乗せて書いた割には思いのほか整っていて
そのままの方がいいかな…と思えてきたので。
ほんの少しだけ手を加えた以外は
ほぼそのままである。

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「踊って!シャングリラ」4公演目
市川市文化会館。私としては2公演目。
3公演目(私的初日)の八王子が
いわゆる「甲」セットリストだったため、
「乙」で来て欲しいと期待していた。

その期待は叶うことになるのだが、
実は出だしは甲乙共通。
ここまでネタバレ回避に成功していた私は
この後の展開が全くわからず、
あ、そういう構成なのか。
どこから変わるのだろう、と
少し緊張気味で迎えた分岐点。

甲とは違う曲が来たことに気づくのだが
ここで私は、ある種の衝撃により
情緒をぶん殴られることになる。
(言葉があれで申し訳ございません…)


市川で、これ………!?


この市川市文化会館で、
強烈な思い出を残した曲。
動揺した。これは想定外だった。
他の会場だったらここまでならなかったと思う。
一気に、その日のことが思い出されてきた。



時は2011年、「大人の恋。」シーズン。
3月11日のあの出来事に翻弄されつつ、
開幕後は順調に日程を消化していた。

そんな中、私は5月GW明けの松戸と
その直後のNHKホール1回目に参加。
※追加公演で6月にもう一回NHKホールが
   戻ってくるという珍しい日程になった。

そしてこのNHKホール1回目の終盤、
松戸の日の色々なことが思い返されて
突然、得体の知れない感情に襲われる。

※この松戸というのが、急遽の追加公演で
  (恐らく中止になった浦安の代替として
   組んだのだと思っている。市川とともに)
   既存の日程に挟まれたど平日…という
   不利な条件が重なり、約2000人入る会場で
   観客700人だったというある意味伝説的な公演。

この感情、未だに明確な言語化は出来ないのだが、『懺悔』の↓の歌詞が一番近いと思っている。

こらえきれずに流す涙はジェラシーじゃない
やり場のない 僕の“懺悔”です

及川光博「懺悔」


かくしてこの公演後、私は
あの空間にいることについて疑問が浮かび、
心にモヤモヤを抱えることになる。

それを解決出来ず、すっきりしないまま
次に迎えたのがモラリティーの日
(デビュー記念日・5/29)の翌日、
追加となった市川公演だった。



そこで、アンコール一曲目が入れ替わった。
『pillow talk』だったそこに入ってきたのは…



『ラヴソング』。


衝撃だった。驚いた。
迷いを見透かされたかのような、答え。


この空間に、この愛に、疑問を持つ奴があるか?
と一喝されたような、あるいは
引っ叩かれたような、気がした。
多分、引っ叩かれた…の方が正確な気がする。

決して荒っぽい歌い方だったとか
そういうことではないのだが、
この時は本当にこう思った。
こんな風に感じた瞬間は
後にも先にもこの曲のこの時だけである。

疑問を持った私が悪かったです、ごめんなさい!
と心の中で謝るしかなかったし、
自信持って愛し愛されればいいのだ、
と背筋が伸びたし、少し気が軽くなった。

この年は、ツアーを通じてベイベーとしての
スタンスが変わった年…と位置づけているのだが、
この出来事もそれなりに影響しているように思う。



…だから、市川でこの曲は反則なのだ。
分岐一曲目にこれが来て、心底驚いた。
原点の地で、しかもそんな思い出がある場所で
そのメッセージが刺さらないわけないでしょう?
去年2022年後半に、ほんの少し
ベイベーとして揺らいだから尚更。

初日2daysを迷うことなくカットした直感は
ここでこの曲を聴かせるためだったのか…

今年この曲がセットリストに入ったのは
ギザギザの心がかみあって動き出す未来とか
「永遠」はないけれど続いていく物語とか
今はただ届けたいこのラブソング、とか
その辺りにあるのかなー…と
思っているのだが、どうなのだろう。

何にせよ、求めてるメッセージを
的確なタイミングで届けてくれる
不思議な力のあるミッチーさん。
やっぱりまだまだ、あなたの作る世界を
追わずにはいられなそうです。
今年もありがとうございました。

そしてツアー完走、お疲れ様でした。
まずはどうぞゆっくりお休み下さい。
次の世界に出会える日を、楽しみにしています。

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尚、これとは別に、この時の複雑な感情により
『バラ色の人生』を素直に受け止められなくなり、
真に和解するまで2年かかることになるのだが、
それはまた別の機会に。

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