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感想:映画「ペルシャレッスン」

「ペルシャレッスン」という映画を観てきました。
危うく関東での公開が終わるところでしたが、なんとか間に合った。
菊川にあるストレンジャーというミニシアターへ初めて行ってきました。

15席ほどのカフェが併設されたミニシアターで、シアター自体の座席数は49というこじんまりしたミニシアター。
コーヒーも美味しかったので、映画の前後に一息つくのにいい感じでした。
やっぱり、たまにはこういうミニシアターに来るのっていいなぁと改めて思いました。


さて、「ペルシャレッスン」について。
ナチスの収容所でペルシャ人とその場しのぎの嘘をつき一命を取り留めたユダヤ人青年が、終戦後にテヘランで料理店を開きたいという夢を持つナチスの大尉に創作した出鱈目なペルシャ語を教える、という実話に基づいた映画。
ちょろっとぐぐったところ、実際にそうして生き延びた人がいたのかは分からなかったので、どういう部分を「実話に基づいた」としているのかは分かりません。

ちょっと話はそれますが、先日、「ヒトラーの為の虐殺会議」という映画を観ました。
ナチスの官僚・軍人達が『最終的解決』の為にひたすら淡々と話し合うという内容で、ホロコーストの実際の描写は一切ないのでそういうのが苦手な人も観られると思います。
ただ、まじでひたすら会議してるだけなのでちょっと眠くはなる。
でもそんな淡々としていて、ともすれば眠くなるような会議で決められていったことか……と此方側に感じさせる考えさせる為の映画だな、という感じで、狙っているアプローチは成功していると思う。

そしてちょうど今、少しずつではありますが「また桜の国で」という小説を読んでいるので、なかなか色々と考えるところがありました。

偶々、舞台「墓場なき死者」(レジスタンスの若者達がひたすらナチス軍人に拷問される)と映画「戦場のピアニスト」を一週間ほどの間に観てしまってめちゃくちゃ強烈でトラウマになっているのですが、「ペルシャレッスン」はそれに比べれば私でもなんとか観ることができました。
とはいっても、やはり殆どがナチスの収容所が舞台なので色々とそういった描写はあります。


一応、ここからは多少のネタバレが含まれます。


最近、ゆる言語学ラジオの動画をYoutubeで良く観ているので、言語を創作するという部分にちょっと興味を持ったのですがそのあたりは深堀りされていませんでした。
ただ、創作で様々な「ペルシャ語」の単語を作り出す為に、収容所のユダヤ人達の名前を利用して変化させていきます。
これが、映画の最初と最後に繋がっているという伏線の張り方はとても良かったなぁ、と思います。

収容所から移送させたユダヤ人の名前を名簿から消すという作業を大尉がしていた時に、単語の創作がバレないのかとちょっとヒヤヒヤしましたが、バレてませんでしたね。
彼にとっては気にも留めないものだったんだろうなぁ。

前述の「ヒトラーの為の虐殺会議」でも、官僚たちが人道的に云々とか言っているのはあくまでもドイツ人のことでしかないんですよね。

一人一人名前のある人間である、という当たり前のことが当たり前でなくなっていた環境下を描いたものとして、とても効いてくるものだったと思います。

前述の「戦場のピアニスト」は良くも悪くも、胸糞なラストだと思っているんですが、「ペルシャレッスン」はそこまでいかないけど、ナントモ……というラストです。
まぁ、そもそも題材からしてそりゃそうだよな、という感じなので、そういうラストは期待しちゃダメなんですが。
そして、「ペルシャレッスン」の大尉は、「戦場のピアニスト」の将校に比べると別に善人でもないなって感じなので、そのナントモがまたえぐい気持ちにさせますね。
こういう、胸糞だとかナントモだとか言ってる私って、結構ちゃんとハッピーエンドだったり納得のいく結果を求めているんだなぁ、と思います。
そして、実際の現実はたいていそうはなってないし、だからこそフィクションの中にくらいは求めたいんだとも思う。
それでも、題材が題材なので、そういうラストを求めたい時は違う映画を観ろって話に落ち着くのですが。

「ペルシャレッスン」はだいたい全国的に4月中ごろまでで上映終了してしまうので、間に合う方はよろしければどうぞ。



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