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雑記240219

スーパーの『店長への手紙』の類のコーナーを読むのが好きだ.ときどきガチな苦情もあるが,大抵は「井村屋のピザまんも置いてください」だとか「店員の××さん(匿名)の笑顔がいい」とか,笑顔の方はちょっと怖い気もするけれど,平和だ.

ある日,「レジの店員の⚪︎⚪︎(匿名)の体臭がくさい」という衝撃の内容が掲示されていた.店長は気をつけるように指導しますとか何とか答えていたと思う.
大きいスーパーではなく,ほぼ毎日行くので,もしかしてあの人かなという心あたりはあった.ただ清潔を心がけているのは見てもわかるし,嗅覚に個人差があることを加味しても,指摘する必要はないレベルのものだった.

もうその人は辞めてしまうかもしれないと思った.わたしに置き換えれば「おでこのシワがひどいです」とか「チビなわりにデブ」とか指摘されたような気になったから.
いや,もっとかもしれない.手術するパターンもあるが簡単ではないし,自分の存在を否定された気分になるのではないか.
なんて酷いことをするのだと,掲示板の前から動けなくなった.

でもその人は辞めなかった.が,芳香剤をひと瓶振りかけたような人になってしまった.
最初は「自分ではどうしようもないことでここまで追い詰められて!」と憤慨していたけれど,最近はもしかしてこれはその人の怒りと戦い方かもしれないと思っている.
くさいと書いた人は今の状態のその人には絶対近づかないだろう.

わたしは今日もその人のレジに並ぶ.一時的に嗅覚は死ぬが,それくらいしかできない.その人のファイティングポーズに対する密かな賛美だ.
この中年の人また来たな,と思われているだけだとしても.

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