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建設キャリアアップシステムとジャニーズとおカネの話

2020年10月1日から建設キャリアアップシステムの利用料金体系が変わります。

端的に言うと大幅値上げ。大幅と言っても1割2割ではありません。

2倍や5倍です。

コールセンターの廃止、郵送受付の廃止なども伴います。


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しばらく振りなので、今回はびっくり所が沢山ありますのでお楽しみに。

さて、まず何故こんな事になったのか?


次の3点です。
①予算意識がないまま、風呂敷を広げすぎた
②誰も仕事に責任を持たなかった
③どんぶり勘定で、尚且つ収支チェックされない体制だった

の見事なコンボ

しかも、これらは9月(実際はそのはるか前からと思われます)時点でとんでもない赤字である事が国土交通省、国土交通大臣、協賛業団体(日本の土木建設業、設備業すべて)に報告されていました。

令和2年9月8日(火)『建設キャリアアップシステム運営協議会 第6回総会』 資料より


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当初想定してなかった大幅な赤字が発生、このままでは2020年度末で累積赤字が約100億円の見込み。

とあります。ここでは未来の支出見込みが計算できるのに、何故それ以前の57.4億円はやすやすと見過ごされていたのか。

①収支バランスの喪失

②意思決定の形骸化

③要件定義の未熟

が原因だと記されています。

アホか と。説明は特に必要ないでしょう。

私なら、恥ずかしくてこんなレジュメ書く位なら潔くタヒにますね。

対策案がまたイカしてます

①業界による追加出捐金

②登録費用に見合った利用料金体系への見直し

よく言ったな と。

作った僕のせいじゃない、利用するあなた達お金沢山持ってるからあなたが負担すりゃいいじゃん!その分利用料値上げすればいいんじゃね?ってことですからねこれ。

時は若干逆上ります。9月2日、建設業振興基金の発注した1枚のポスターが掲示解禁となりました。有名なジャニーズ事務所のタレントさんが建設作業員の衣装を着たかっこいいポスターです。


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この日に掲示するためには、遡っていつ頃から企画しなければいけないでしょう?数ヶ月、もしかすると半年くらい掛かるかもしれません。十分な費用も掛かるでしょう。宣伝を最も効果的にするには掲示場所も考えなければなりません。関連業団体や監督官庁にも配らなければいけないでしょうから枚数だって必要です。

タレントさんと所属事務所には何の関係もありませんが、9月8日の第6回総会前から建設キャリアアップシステム(CCUS)周りの様子はおかしく、予定されていた分科会が当日キャンセルされたり、お金にまつわるきな臭い記事が業界誌から多数流れていました。

そこへもってきて、大人気タレントさんのポスター。結果的にはSNSを通じて、建設キャリアアップシステムと建設業振興基金の名前は爆発的に知られることとなりました。そしてその翌週、政策検討の最高峰に位置付けられる総会で発表されたのが、冒頭の資料です。実に皮肉じゃないですか。

以前からトムロ総研は、建設キャリアアップシステムについて訴えてきていますので、もう多くの説明は必要ないでしょう。

最後に一言。

このシステムは、2023年の官民完全実施に向け建設作業員の技能を保証し、安定して相応の年収が得られるよう考えられているものです。しかし、当の作業員ですらシステム概要を知らない、メリットとされる年収アップの目途も曖昧ないまま、100万人の加入目標を変えず10月1日から手数料の値上げとサービスの低下だけが決まったのです。コロナ禍で日常が不安定な中で公共事業は安定した収入が見込まれます。それだけは確実に実現しなければいけません。

ありがとうございます