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『稲盛和夫一日一言』 7/16(日)

  こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 7/16(日)は、「善き思いをベースとする文明へ」です。

ポイント:物質文明の巨大さに匹敵するだけの精神文明を築かなければならない。その精神文明の根幹にあるのは人間の「善き思い」。

 2016年発刊の『稲盛和夫経営講演選集 第4巻 繁栄する企業の経営手法』(稲盛和夫著 ダイヤモンド社)の中で、王道の文化で相手と接することの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 欧州における最近100年来の文化はいかなるものでありましょうか。彼らの文明は科学の文化であり、功利主義の文化であります。この文化を人類社会に用いたものが、即ち物質文明であります。
 欧州の文化は、武力をもって人を圧迫するところの文化でありまして、この武力をもって人を圧迫することを、中国の古い言葉では「覇道を行う」と言います。故に欧州の文化は「覇道の文化」であります。
 しかるに我が東洋に於きましては、従来、覇道文化を軽蔑し、他に覇道文化に勝ったところの一種の文化が存在しておるのであります。
 この文化の本質は、仁義・道徳であります。この仁義・道徳の文化は、人を感化するものであって、人を圧迫するものではありません。また、人に徳を抱かせるものであって、人に畏れを抱かせるものではありません。
 かかる人に徳を抱かせる文化は、我が中国の古い言葉では、これを「王道」と言っております。故にアジアの文化は「王道の文化」であるのであります。(中略)
 日本民族のみなさんは、すでに一面、欧米の覇道の文化を採り入れるとともに、他面アジアの王道の文化の本質をも持っておられるのであります。
 今後日本が、世界の文化に対し、西洋覇道の番犬となるか、あるいは東洋王道の干城(盾と城)となるか、それは日本国民の慎重に考慮すべきことであります。
(要約)

 2002年、日中国交正常化30周年を記念して開催されたシンポジウムにおいて基調講演を務められた名誉会長は、講演の最後に、中華民国 の 政治家・革命家である孫文先生が、1924年に神戸で行われた上記引用の講演内容を紹介されたうえで、「日中関係はアジア全体の平和に大きく影響するだけに、今後、両国が手を携えて古くからアジアにある王道の文化をもとに、お互いに相手のことを思いやり、助け合うということをベースとして、共存共栄の友好関係を構築していくことが大事であろうと思っております」と締めくくられました。

 ここでは、「王道の文化」、つまり、仁義・道徳、徳をもって相手に接することが大事ではないかと説かれています。

 アメリカ合衆国の前大統領 ドナルド・トランプが掲げた「アメリカ・ファースト」は米外交の大きな方針転換につながり、国際的な合意から次々と離脱するなど、世界中を大混乱に巻き込みました。
 こうした一国繁栄主義的な思想は、現在の中国においてはさらに顕著で、加えて独裁的な色合いの強い反民主主義国家群も増加傾向にあるのが現状です。

 2023年1月、「人類最後の日」までの残り時間を象徴的に示す「終末時計」は、これまでで最も短い「残り1分30秒」との発表がなされました。これは、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻などを受けて、世界が前例のない危険な状態にあるとの警告を示したものです。

 今日の一言には、「精神文明の根幹にある人間の善き思いを開花させることで、物質的に豊かで、便利で生活しやすい上に、人間が互いに思いやり愛し合う楽園が実現する」とあります。

 私たち一人ひとりにできることは限られているかもしれませんが、互いに相手のことを思いやり、助け合うという「善き思い」を持って、残りの人生を清々しい気持ちで生きていければと思っています。


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