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撮影日誌

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作品制作ご協力者様募集について

自己紹介と制作コンセプト プロフィール / アーティストステートメント  私はもともと、精神的な不調があって、その自己救済のために写真をはじめました。撮った写真を客観的に見て自分に対する理解を深める行為が、当時に受けていたカウンセリングと類似するように感じていました。撮影を通して、それぞれに違った痛みを抱えながらも、今を生きている女性達に出逢っていくなかで、写真と彼女たちに救われた私がいます。優しい明るい写真ではありませんが、暗闇の中なかにいるまた別の誰かの痛みに隣で寄

夢の中で息をする

 朝起きると雨が降っていた。一日予定のない今日にやろうと思うことはたくさん思いつくのに、どれからしたらいいのか何をすべきなのかがわからず、わたしは結局ソファで横になっていた。時計を見ると昼過ぎだった。窓の大きなこの部屋は、雨だというのにいやに明るかった。  ジムに行こう、衣替えをしよう、今日は書きかけの小説を書こうと思った。結局何もしないまま、わたしはソファで眠ってしまった。  夢を見た。現実の部屋では隣家からの物音がやたらとうるさくて、夢の中でそれは反響したかのように大きか

タイガー・リリィの奇妙な冒険

「最初に一言、笑いと叫びはよく似ている。」 岡崎京子原作、ヘルタースケルターの単行本の見出しはこの言葉で始まる。 この数日、何人かの方から無理をし過ぎているんじゃないかと、私の過密スケジュール状態を知る方から心配のメッセージをいただく。 有難い事に、その言葉やふとしたやり取りに救われたりしていて 実際にはSOSを私から発信してしまった方もいる。 生かされているな、と感じる時が多々ある。 神に祈っても願っても、結局は自分の事は自分で立ち上がるしかなくて それを知ってるか

無名人インタビューで企画が始まりました

きっかけ 私が作品制作で、一般の方をモデルに写真を撮る際にインタビューをしていることに興味を持って頂き、お声かけ頂いたのが7月頃の話。”名前のまだないインタビュー”の第一号として、2023/8/2よりスタート。その後2週間ごとに30分のインタビューを受け、それを記事にして頂いています。 インタビューの方は、現在4回が終わり、明日は5回目のインタビューとなります。記事の方は現在、第3回までが公開されていますので、こちらでまとめてご紹介させていただきたいと思います。 名前のま

おわりの写真とはじまりの写真

2023.7.18、駅の改札で待ち合わせ時間になった頃スマホを確認しながら周りを見渡していると とても上品な佇まいで、じっとこちらを見つめながら私であると確信したように静かに「Ryokoさんですか?」と声をかけられた。 ふとしたお誘いから、一体どんな方なのだろうと、興味深く彼女の活動内容のページを開きあっという間にお会いする事になった。 駅前の純喫茶に入って注文したお互いのツナトーストとチェダーチーズトーストをシェアしながら 向かいに座る彼女とは初めて会ったと思えないほど

撮影日誌│2023 Febrary

「遺影を撮ろうよ。」 なんて話をしていたわけでは全くない。 今年の2月、福岡から東京に来た彼女と小旅行に出掛けた。 この寒さの中、わたし達が目的地に選んだのは、海の近くの小さな民宿。さらには暴風注意報が出ていて、風が吹けば悲鳴が出るくらいには寒かった。 貸切の家族湯。 写真を撮るかどうかは分からないけど、一緒にカメラを持っていく。 身体と髪を洗って湯船に浸かる。 そうしているうちにやはり写真を撮りたくなる。 バスタオルを巻いて、脱衣所にカメラを取りに行く。 あたまを下

撮る時にはなにも考えない、たくない。

明日も撮影です。 撮影前日の夜は毎度ナイーブになっている。 写真を撮りに行くんだけどさ。 撮れるかもしれないし撮れないかもしれない。 何かが写るといいなとか、何か起こるといいなとか。ギャンブルか。 当日になって写真を撮り始めても、途中まではそんな気持ち。いろいろお互いに考えている間はだめなのかもしれない。 段々疲れて集中力が散漫になってきて思考の支配が薄れてくるとき。やっとそれくらいから人間の形にみえてくる。 的確な指示を出してテキパキと必要なカットを短時間で撮ってい

撮影準備

明日は撮影です。 活動再開して3回目。 明日は初めて会う人ではなく、会うのは2回目です。8年前に東京へ行った時に、いまと同じようにSNSで会って撮らせてもらいました。 こうして年月が経ち、また撮らせていただけるのは、とても幸せなことだと実感しながら準備をしています。 先日、古い二眼レフカメラを借りました。 天気が良さそうなので持ち出してみようと思います。ブローニーフィルムをはじめて自分で巻いてみました。上手く巻けているでしょうか。 フィルムはAmazonで2500円く

撮影日誌 2023 Jan

身近な人間ではなく、SNSなどで出会った見知らぬ人々を撮影している。彼女もそのひとりだ。 11:00 待ち合わせの駅に来た女性は、近所へ買い物にでも行くようなラフなスタイルで現れ、目が合うとにっこりと微笑み手を振った。 私の前職と同じく医療従事者であることは、事前に送られてきた丁寧な自己紹介により知っていた。道すがらCOVID-19や病棟での話をする。こうして外で、外向きの会話をしていると、周りの人々同様に、日々を乗りこなしているように見える。だけど、こうして時間を共にす

BEFORE/AFTER

仕事を辞め、看護大学へ通っていたビフォー・コロナの世界線。福岡といえど筑豊という娯楽の少ない町で年の離れた同級生と過ごした4年間の唯一と言える楽しみは長期休暇の度に韓国へ行くことだった。最後に行ったのは2019年の12月。次は2020年の3月に予定していたけど、COVID-19の流行により卒業式は自粛、卒業旅行は実現しないまま、私たちは未知の脅威の中、医療現場へ放り出された。そしてカメラを取り出すことはもう無かった。 2年半ぶりに8月限定で無ビザ入国できるということで韓国へ