みなさん。
この世で１番理にかなった掛け声をご存知ですか？
答えは…「いぇ～はぁ～！」です。

もう１度言います。
「いぇ～はぁ～！」です。

僕は、昔、銀座のショーパブでバイトをしていました。
ダンサーさんによるダンスショーが観れるショーパブでした。
僕はそこで、いわゆる黒服のようなポジションをやっていて、食事を運んだり、お酒を運んだり…
そして、少し特殊な仕事として、ショータイム中にお客さんの様子を見守りながら、ショーの盛り上がりどころで「掛け声」をかけたり。

まぁ、いわゆる掛け声のプロやってたんですね。
（プロ、随分よく言いましたけど。まぁいいでしょう。）
そんなプロの先輩たちが受け継いできたであろう掛け声が「いぇ～はぁ～！」でした。

この「いぇ～はぁ～！」の何がすごいって、「いぇ～」の長さを変えることでいろんな場面に対応できちゃう。
「よっ！」みたいな１発勝負の掛け声だと、うまくハマらなかったときに、スベった感じになるんですよ。
ダンスの決めや、お客さんの気持ちいいタイミングって、その瞬間瞬間で違うじゃないですか。
生モノだから。
（生モノだから、は随分かっこつけちゃいました。まぁいいでしょう。）
それが「いぇ～はぁ～！」だとどうでしょう。
決めの前で「いぇ～」出しといて、ここぞというタイミングで「はぁ～！」を出せばいいんです。
「いぇ～」でためを作って「はぁ～！」をぶつける。
もし「はぁ～！」を出すタイミングが少し遅れても「いぇ～」って言ってるから、声は出してることになるし。
思いのほか早めに「はぁ～！」のタイミング来たら「いぇ～」短くして「いぇはぁ～！」ぶつければいいし。
最強の掛け声「いぇ～はぁ～！」。

ま、当時はそんなこと考えもせずなんとなくやってたんですけど。
今思えばそうだったのかなって。

そして、これは同じ生モノと言っていいでしょう、お笑いにも応用できます。
基本的にはお目当ての芸人さんがボケる前に「いぇ～」でためといて、ボケた後に「はぁ～！」でしょうね。
初見でボケのタイミングが掴みづらい場合はボケに添えるように速い「いぇは～！」を挟む。
ワード系のツッコミの漫才なんかだと、ツッコミ前のボケで「いぇ～」をためて「○○かよ！」に「はぁ～！」をぶつける感じですかね。

あとは、これは基本なのですが、その瞬間目立っている人の名前を呼んであげることも大切です。
ダンサーさんだと、みんなで踊ってるときなんかにセンターに出てきた人の名前を呼んであげる。
芸人だと、特にセリフがなかったとしても顔で笑いを取ろうとしてるボケの名前を呼んであげる。
とか。
ネタが終わったあとにチップあげたりも大事ですね。

少し話はそれましたが、とにかく「いぇ～は～！」は最強なんです。

ちなみに、安心してください（？）。
僕はこのショーパブに、銀座の夜の世界に、最後まで馴染めてませんでした。
芸人目指して東京に来て、垢抜けない自分を変えたくて、その逆の華やかな夜の世界に飛び込んでみたものの、殻をやぶれず、ずっとモゾモゾモゾモゾ働いておりました。
２年ちょっと。
馴染めず２年ちょっと。
でもなんやかんや優しい人が多かったから。
何者でもなさすぎるヌルヌルの自分を、見捨てず相手してくれる人たちがいたから、僕はそれなりに生きてられました。
一丁前に好きな人できたり好きな人になったり。
楽しい思い出も。
何度やっても緊張して最後までシャンパン上手に開けられなかったな。
宝石じゃらじゃらのお客さんに怒られたり。
明け方の銀座ってネズミがいっぱい出て怖いんですよ。
この世の終わりみたいな。
それでもなんとか２年やった。
今となってはいい思い出。

ありがとう…
（なんか終わりな間だな）「いぇ～」
あれから３年…まだまだかなわぬ夢だけど…
（あ、思ったより喋るじゃん「いぇ～」のばしとこ）
なんとか東京でやってるよ。
（終わった！！！）「はぁ～！」

みたいな。