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今日も保険会社の女の子は目を合わせない

会社の入り口に保険会社の女の子が立っている。
駅前でアンケートを集めている人のように、時々ここにきて「少々お時間よろしいですか」と営業をかけている。
立つ人は毎回代わるものの、いつも20代と思われるかわいい女の子がきて、にこやかに「こんにちは~」と挨拶している。

ただ、男性にしか話しかけない。
家庭をもっていそうな「男性」に声をかける、というマニュアルがきっとあるのだろう。

確かに私に話しかけたところで、「保険は興味ありません」で終わってしまうので、それよりは保険の話に興味を持ちそうな層を狙って話しかけるのは理解できる。
ただ、お昼どきの人の出入りが多い時間帯、爽やかに「こんにちは~」と挨拶をする中で、私が通るときだけピタリと挨拶が止まるのはなんだかさみしい。



大人になること、について考えてみる。

これまで生きてきたなかで、植え付けられている価値観というものがあって、年を重ねるにつれて、いろんな価値観を持つ人と出会うことが多くなる。

これまでの同じ年代の中で生きていた学生時代とは違う。年を重ねる楽しみのひとつ。

もちろん、自分と違う考えを持っている人や、合わない人はいて、そういう人たちから同意を得ようとするのは骨の折れること。
それよりは、「ああ、こういう価値観の中で生きてきた人なのだな」と距離をとる方が平和でいいと思っていた。

でも最近は、距離をとることが本当にいいのか、と考えるようにもなった。
SNSやインターネットでは自分が興味ある情報しか得られない、というのは有名な話だが、自分と違うところが多い人とは、交わることなくどんどん距離が離れてしまう。

無理をして距離を詰める必要はないし、そこまで自分の意見を伝えたいとも思わない。
でも、「違うから距離を置く」だけでは、その人との関係はそこで終わってしまう。

私の所属しているぺぺぺの会の企画「『またまた』やって生まれる『たまたま』」のテーマの一つでもある、人と違うところに目を向けるのではなく、同じところに目を向けてみる、という視点。


「違う価値観の人」としてカテゴライズするのではなく、同じいまを生きている人間として、重なっている部分も探してみたい。
意外と似ている部分があるのかもしれない。

これまで「自立した大人」を目指してきたけれど、完全に自立はできないし、人に頼ったほうがいい事も沢山ある。

ほどよい距離感をとれる大人になりたい。

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