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102期切らずにキキじゅり斬ればリーク合戦止まらない

毎週宝塚転落死事件を報道している週刊文春だが、そろそろ切り替わる予感がした。
今週は別箱公演を行うかのお話会の内容である。ただ状況的に、花組が中止をするのは難しいと思っていた。

103期生の転落死直後、一切の中止無く公演を行ったのは星組である。
しかも本科生として故人を密に指導した、102期の舞空瞳と天飛華音が中心であった。

縁の深い102期が主演公演を行ったことで、他の組が中止しにくくなった面はある。
なお先週は2番手スター桜木みなとを中心にした宙組上級生、雪組の彩風咲奈や朝美絢を中心に他組のトップスターも今回の件を重く捉え、劇団上層部を批判しているという内容であった。

しかし星組の102期主演公演が行われていたので、説得力に欠ける。時期や立場、関係性からして最も中止や延期を言える状況であったからだ。
もちろん星組トップスターの礼真琴は休養期間であったため「私がいたら止めさせてた」と言えなくもない。
ただどちらかといえば芹香斗亜を悪者にするために、他のトップスターを善人として対立構造にしたいだけに読めた。

103期や縁の深い生徒が長期休演になっている中、102期は非情さが目立つ。
そもそも102期が連帯し、音楽学校時の加害者として自訴すればパワハラ立証はクリアだ。遺族である双子の妹含めた102期が前に出れば、平行線に停滞などありえなかった。
しかし現役102期生に身を切るほどの連帯は無さそうである。

文春は宝塚歌劇団の構造的問題を提示し、誰もが被害者であり加害者というスタンスの記事を書いている。
反面、芹香斗亜と天彩峰里は徹底的に加害者としていた。

それが動いたのが今週だ。
芹香斗亜の被害者性がとうとうクローズアップされた。有料でしか読めない部分になっているのは、主な情報源として繋がりの深い遺族への配慮だろうか。
上下関係も規律も最も緩いフラットな宙組と厳しいことで有名な星組。加害者として槍玉に上げられる、宙組上級生という名の星組出身者。遺族のコメントやこれまでの記事の違和感が、見事にカバーされる内容であった。
それでも「草食動物と肉食動物を同じ檻に入れた」と批判するのは運営のみ、星組の悪口でもない。秀逸な文であった。

文春によって芹香斗亜と天彩峰里のキキじゅりコンビでの就任が無くなったとは思わない。宙組が出したいのは生え抜きトップスターであり、候補と満遍なく関係が深い生え抜きトップ娘役にするのは順当である。将来的に桜木みなと・春乃さくらの御披露目で『カルト・ワイン』再演が出来れば理想的だろう。
しかし記事が出たことで、文春砲の影響のように見えてしまった。事実無根を証明するために、天彩峰里を月組トップ娘役に捩じ込もうとしていたように感じる。

キャンセルカルチャーが連鎖する要因は、狙った相手が潰されることにある。
告発者にとって天彩峰里がトップ娘役にならなかったことは、成功体験である可能性が高い。
だからこそ同じ内容を延々と繰り返し、他の告発者も連鎖し続けているのではないか。

パワハラはセクハラとセットであったり、野球界のように行為はセクハラだが性的な意図は無い場合に認められやすい。
現在宝塚がハラスメントとして線引きしているのは、演出家原田諒だ。当時もあくまでセクハラとしてであった。
しかしコンプライアンス違反である、顔の大きさや斜視を詰る差別的な発言も問題となった。

原田諒と同等かそれ以上のセクハラやパワハラであれば、一方的な主張であっても劇団は動く。
しかし原田諒側の反論が週刊誌に掲載されたように、被害者の一方的な告発で制裁を加えるリスクも痛感しているはずだ。
訴えられるままにハラスメント基準を下げ、新たな問題が起こっても誰も責任を取ってくれない。

以上のことから芹香斗亜と天彩峰里を制裁的に退団させるのは、告発ブームを加速させる要因でしかない。リーク合戦で週刊誌は喜んでも、宝塚は吸い尽くされて崩壊する道筋だ。
一方理事長の辞任は、キャンセルカルチャーの歯止めとしては無意味である。予想通りな上に、告発者にとってどうでもいい相手であろう。

告発者が発信を止めるほど後悔するのは、退団させたくない相手(スター)が流れ弾的に責任を取ることだ。狙いと違う相手に当たると分かっていて、引き金を引ける人はいない。
告発者にとって予想外で、惜しむ、または申し訳なくなる相手。
そして「責任を取って退団」という説得力のある立場と関係性でなければいけない。

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