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110周年第2の期限はトップ退団

25歳娘役が転落死した原因に過重労働があるとして、過密スケジュール回避の観点から宝塚歌劇110周年記念行事が中止された。当初解決期限と思われていた行事である。また貸切公演中止などスポンサー離れも顕著になり、状況は悪化の一途を辿っている。

特に何が問題だったというよりは、全てが期待を下回ったのが原因に思う。
思い切りが悪く、センセーショナルで目を引く行動が一切無い。まず劇団は最小限で済ませようと、様子見しながら細かく中止を発表したことだ。
非情な組とそうでない組が露になったことで、舞台が空々しくなった。

真っ先に「四十九日まで全て中止」とすれば、110周年は出来たかもしれない。
ズルズル小出しにされると、怒りは増大し歯止めがかからなくなる。
いきなり土下座をすると相手が冷静になりやすいのと同じで、やり過ぎなくらいに全停止した方が元通りも容易いように思う。

102期~104期が全組でストライキしていれば「組織として問題はあってもタカラジェンヌの絆は本物」と感動的だったはずだ。文春砲の追加でイメージが悪化している、宝塚音楽学校の人気も復活させたであろう。
しかし血縁者以外は、元々長期休演者が多い103期に更に追加された程度であった。
遺族の予想を越えた行動をする仲間(同期や予科本科生)がいれば、現状は違った。音楽学校の過渡期にあったとされる故人だが、厳しさが減って結束力が弱まった結果となると複雑である。

ただここまで拗れてしまった以上、遺族との和解自体に効果はない。引っ掻き回すのは簡単でも、収拾をつけるのは難しい。あそこまで100%劇団や宙組のせいにした遺族が、もし「死の原因は他にある」と訂正しても世間は目を向けないだろう。
世間に「解決」を印象付けるには、技術も知名度も必要なのだ。

また楽天のようなスポーツ界や週刊文春に追加された男性演出家のパワハラをみれば、女性からの加害とされる内容は微妙である。
骨格レベルの身体的特徴を批判するとか、脱がせるなどのセクハラ的行為も女性からの加害としては出ていない。
しかし男性からの加害にはどちらもある。また男性からの加害では、証拠となる動画(加害を行っている姿)もあるらしい。
週刊文春は散々リークを集めているだろうに、演出家や金銭問題に移った辺り「相対的にみたら」指導の範疇な現れかと思われる。
しかしこのパワハラというには微妙な内容が、スッキリした解決を難しくしている要因でもある。

人が亡くなっているからには、この状況を動かす「何か」をしてくれる個人が必須であった。しかし個人も限りなく組織的で、誰も大々的な行動を起こしていない。
こうなると解決、つまり「誰かのセンセーショナルな行動がマイナスを0にする」期待はしない方がいいかもしれない。

とはいえ風化を待つだけでは、更に悪化するだけだ。宝塚はファンも閉じた社会なので危機感を持ちにくいが、外の世界を無視することは出来ない。今の10代や更に下の世代が大勢受験したくなる劇団にならなければ、現実的に宝塚は終わる。
そのための可能性を見出だすとしたらOGの活躍だ。
所謂ヅカ顔でモデルとしても活躍している花組トップコンビと、芸能人らしい濃い顔で多くの有名女優を排出している月組トップコンビの退団が迫っている。
まだまだトップスター就任が期待できる95期(柚香光、月城かなと)、次世代ツートップと同期予科本科の97期(海乃美月)、次次世代ホープのメインである100期(星風まどか)。

特に100期は若手の中で一際存在感を発揮しており、それぞれ持ち味のバランスがとても良い。ビジュアルや雰囲気が被らずにスター性を発揮していて、次次世代を牽引するのに最適である。
しかしコロナ以降の被害を思いっきり受けているため、95期の盛り上がりと比べても磐石とは言い難い。もっと手厚く売り出しが欲しいところだ。

そして槍玉に上げられている宙組トップスターと同期の93期である、彩風咲奈の退団が発表された。
事件当時在籍していたトップが、どう外の世界へ出ていくのか。現役生徒との繋がりをどう発信するのか。
宝塚の今後に影響を与えるであろう。

芸能界で活躍しつつ、今の宝塚歌劇団にも新規ファンを引き入れられるようなOGは、受験生を増やす効果も見込める。
ファンが激減している印象はないが、悠長にしてはいられない。ファンは数10年超えも普通だが、受験生は4年で終わりなのだ。
危険は刻一刻と迫っている。

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