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メディア評 2001年9月11日

表題のタイトルの日に起こったのが、米国での同時多発テロ事件である。私は物心が付いた時からニュース番組に興味があり、結果としてその後、さまざまなメディアでご飯を食べる人生を送ることになっているのだが、あの飛行機が世界貿易センタービルに突っ込んでいく映像は、個人的には小学校6年生の時の日航ジャンボ機墜落事故で、生存者の発見を伝えたフジテレビのニュースとともに、インパクトのある内容だった。

当時は米国資本のディレクトリ検索サービスを提供するインターネットの会社に在籍していて、親と一緒に生活していたのだが、風呂から上がると母が多少興奮気味に、「ニューヨークのビルに飛行機が突っ込んだ」旨のことを自分に伝えてきた。ニュースステーションを見ていて、急きょ映像が切り替わったようだった。そこから、自分の部屋に戻り、テレビをザッピングしていたら、バラエティーやドラマを流していた民放は軒並み、ニューヨークの映像に切り替わり、しばらくするとまた別の飛行機がビルに突っ込む映像が飛び込んできた。これを見て、個人的に思い出したことがあった。事件が起きたのは火曜日だったが、その土日(どちらかは失念)の昼のニュースで、米国の在外施設でテロの可能性があり、米国の情報機関が注記喚起を促した旨、伝えていた。つまり、事件の発生はキャッチされており、相応の警戒はしていたものの、情報機関を含め、米国の政府のなかでは、まさかこのような形で本土が狙われるとは思ってもみなかったのだろう。私も夜中遅くまでニュースを食い入るように見ていて、朝出勤すると、同僚は夜が明けるまで見ていたと話していた。

また、米国資本の会社で、当時日本の責任者を務めていた日本人の女性の上司は、向こうに家族や知人もいて、仕事の合間にずっと米国の状況を伝えるNHKのニュースを食い入るように見ていたのを覚えている。私の勤めていた会社は、ITバブルの崩壊もあって、テロが起きる3カ月前に人員整理をしていた。その後、組織再編などをするも結局、2003年日本から撤退することになり、全員が解雇ということになった。ちなみにその翌年に同業でロボット検索を提供するグーグルが米国で株式公開を果たし、いまや「GAFA」と呼ばれる巨大プラットフォーマーの一角を占めるまでになった。当時はさまざまな検索サービスが日本国内でもひしめき合う状態だったが、一発検索のグーグルには叶わなかった。

2001年は21世紀の始まりだったが、現在の世界の構図を固めたのは、この01年や05年までの間だったように私見では感じる。01年は当時多発テロと並んで、その後の国際情勢にインパクトをもたらした出来事がある。それが中国のWTO(世界貿易機関)への加盟である。中国が国際的な貿易の枠組みの中にメンバーとして加入したことのインパクトの大きさは、その後のまさに躍進的な成長を見れば一目瞭然である。日本から中国への輸出の前年比伸び率は、2002年に28.2%、2003年は43.6%。そして2004年には29%を記録している(出典は下記より)。

テロから20年を経た今年、同時多発テロ事件を契機に、米国が侵攻したアフガニスタンでは、撤退を経て再びタリバン政権が誕生。その政権には、中国が支援を打ち出すなど、中国やイスラムを背景にした勢力の台頭が、2020年代のカギになりそうである。以前、ここでも紹介した下記の本が指摘したように、「イスラム2・0」の世界が広がっていくのかもしれない。

今後の世界を考えるうえで、2001年というのは、歴史的にインパクトのある年だったといっても過言ではない。

#同時多発テロ事件 #国際情勢 #中国 #インターネット