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ハラスメントを感じたら逃げること

仕事で後輩から思いつめた顔で「あの先輩(や上司)がなんで自分にだけ怒るのかわかりません、多分自分が嫌われてるだけなんです」みたいな相談を聞くことが稀にあるのですが、彼らの多くがそれでも「先輩(や上司)の言ってることは正しいとは思うので、、、」と自分を責めているのを見ると胸が痛くなります。特定の人とのコミュニケーションがしんどすぎると感じることはきっと誰にでもあって、それは自分が100%正しくなかったとしても対処が必要な状態と思います。「これってもしかしてハラスメントなのでは?いやいや自分のせいなのか…」と思ったらまずは自分の気持ちの上での安全な距離を保って、最終的な相談先を確保して(心療内科、産業カウンセラー等に相談する等)、そこまで追い詰められていない場合でも下記の方法などを参考にして頂ければと思います。部下や後輩に必要以上の強いストレスをかけてしまう方ご自身にはそこまで特別なことをしている意識はないので、待っていても状況はあまり変わらないですよね。「激詰め」でググるとたくさんの記事がヒットするので、社会で悩んでいる人は多いのだと思います。自分なりに「なんか今の詰められ方は少ししんどすぎるな」と思った時に心がけている行動を以下共有します。いずれも医学的根拠はないことですので、深刻なケースは必ず専門家にご相談下さい。

パワー・ハラスメントとは? 同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。(大阪医科大HPより)



1.自分が過去に経験したり他社の友人から見聞きしたしんどすぎるコミュニケーション

自分が過去に経験したり他社の友人から見聞きしたしんどすぎるコミュニケーションの例は、「理解できない価値判断で否定され続ける(理由が不明確な「ありえない」という嘲笑)」、「悪魔の質問(これで完璧と思っているのか等)で詰問される」、「事前説明を十分せずに仕事をアサインされて、結果に対してキレられまくる(そして萎縮して何も聞けなくなる)」というようなことでした。これらに共通するのは「楽をするな、俺が育ててやる」「俺もそうやって苦しんで成長してきたんだぞ」というような親心だったのかなと今は思いますが、自分が後輩や部下の立場だと混乱して「怒られない」方法を探るだけになったり、結局萎縮しただけのことが殆どでした。そしてこういうやりとりをしている側はそこまで深い考えをしていることは少なく、主題は「自分を追い込めているか」「お前だけ楽はさせない」といった本題以外のことだったりするように感じることも多かったです。これは、「お客様に対する付加価値」の観点と似て非なるものですね。

そんな時に自分がある時から頭の切り替えにしているのは「少なくとも自分が間違いなく付加価値のあると思える仕事を、社外に対してしっかりやり続ける」ということです。先輩等からのマウンティングでいくらコテンパンにやられても、日常業務で付加価値があると思ってやった仕事を通した「お客様やメンバーに対する影響力」の蓄積は時間差で自分に返ってくることも多かったですし、逆に外から自分に対して援護をして頂けることさえ何度もありました。もちろん度を超えたものは必要な対処をすべきですが、そのように抑圧的な人間関係をやり過ごしながらも「顧客とのコミュニケーションをしっかり取りつつ自己研鑽を続けつつ、嵐がすぎるのを待つ」時期というのがサラリーマン生活にはあるものかもしれません。

あと、自分はそういった悩ましい時期には「先輩達はしんどい時にどうされてきたか、今の自分の悩みはおかしいのか」という話を色々な人に足を伸ばして聞きに行くことが多かったです。信頼できる部内の先輩や他の拠点の管理職の方に「仕事で悩んでいるので話を聞きに行って良いですか」と相談して新幹線で2−3駅くらいの距離を会いに行ったら大抵の場合はとても歓迎して下さりましたし、そのようなライフラインがあったのはやはり恵まれた環境だったのだろうと今では思います。


2.レポートラインと関係ないのならば、丁寧に受け流す

しんどすぎるコミュニケーションの実に半分くらいは(自分の場合は)、「公式には自分に対して何ら権限がない人(他部署の先輩)」からのプレッシャーだったりしました。ホウレンソウが義務である相手ではない方からのご指導は丁寧に受け止めて、しんどすぎる「兄貴」的なおせっかいの先輩や上司は意思決定ルートには乗せないということも冷静に判断すべきと思います。


3.「密室のコミュニケーション」を作らずに必ず別の上司を巻き込む

激詰めされてしんどいケースは、なるべくその体験を「密室のコミュニケーション」にせずオープンにシェアすることが大切と思います。第三者から見てもフェアなコミュニケーションになっているかどうかというフィルターを通すイメージです。殆どすべての非管理職の方の仕事・役割というのは直属の上司が責任を負っているので、先輩や他部署の上司からなぜか激詰めされてしんどいような場合には、必ず上司を巻き込んでメールのコミュニケーションを行うことを気をつけるべきと思います。(時に1on1のMTGに上司に同席してもらうことも全然ありだと思いますし、自分が上司なら喜んで参加します。)


4.何が正しいかわからなくなる前に、客観的に話を聞いてくれる人を見つける(心理カウンセラーやビジネスコーチはすごくおすすめです)

しんどい状態が続くと心が荒みますし、だんだん自分が悪いのかもと自分を責めるようになったりして正しいことがわからなくなりますね。客観的にただ話を聞いてくれる人っているようでなかなかいませんので(身近には利害関係者が多いですし、先輩からは「俺もそういう時期を乗り越えてきたぜ」的な武勇伝を語られて終わりがち)、おすすめは「お金を払って話を聞いてもらうサービスを利用すること」です。個人的に一番しんどい時には長年お願いしているビジネスコーチが一番よく話を聴いてくれましたし、Skype英会話のフィリピンの講師にもよく仕事の悩みを聞いてもらいました(英語講師の方々、頭が良くてホスピタリティめっちゃ高いので素晴らしかったです)。今、もし一番しんどい状況になったとしたらオンラインのカウンセリングサービスを使用するかなと思います。以下のcotreeさんはUXもわかりやすかったですし45分間で5000円(月2回で1万円)は、精神安定のためなら若手でもぎりぎり許容範囲なのではと思います。お金を払うことのメリットは、何の気兼ねもなくプロに話を聞いてもらえるので本当に良いですよ。

(もしこれを読んでる若手の方で「今ちょっとしんどすぎるぞ」と思う人がいらっしゃれば、個別にお話を聞くことはいつでもウェルカムですよ。)

5.最後に

上記はしんどそうな後輩の顔を浮かべながら、昔自分もある時期「なぜそこまで他部署の先輩や管理職の方に(PJ等で)詰められるのか理解できない」「自分が何か気分を損ねる話をしてしまったのだろうか」と悩み続けた経験を思い出して一気に書き出しました。これまでの経験上、パワハラってセクハラとは違い「仕事に対する熱意」と表裏一体なので、上位者や同僚であってもなかなか正すことが難しいと思います。英語では間違いなくabuseでもおそらく上位者からは「悪気はないのだから、当事者間の対話不足だろう」「そこそこにしとけよ」とコミュニケーションの問題で片付けられてしまいがちだと思ゆいますし、暴力や暴言でもない限りは立証も難しいのでしょう。つまりは、若者は自分の身を自分で守るしかないということです。

また、人との相性の当たり外れは間違いなくあるもの(お互い)で、一定の幅の中の「運」を含めて「その会社で働くという選択」なのだとは今は思えます。若手の皆さんには最後に社外に向かって逃げ出す選択肢を持ちつつ、日頃だましだまし自分の心をメンテナンスするのに少しでも参考になればと思います。

2020年6月からは職場のパワハラに関する新しい法律の運用も始まりますね。「これってパワハラでは」と悩む方の後押しになればと思いますし、社内ホットラインも柔軟に利用して良いと思います。

※厚労省リンク


※書籍紹介

→精神科医の著者による本。豊富な事例を元にした「他人を攻撃する人は被害者の罪悪感を巧みに利用する、そして支配欲が満たされるまでやり続ける」「わかり合えるとは決して思わずに逃げること」といった具体的紹介が参考になります。最終章の対処法のところだけでも読んで頂くと自分を俯瞰でき気持ちが少し楽になるのではと思います。