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よくできる新入社員をいかに組織に活かしていくか(2019)

2週間前から仮配属の新入社員を迎えていますが、昨年に引き続いて学歴語学申し分なし・コミュニケーション良しと、「よく入ってくれましたね!」と思うハイスペックで感じの良い新人達です。年をとったせいか厳しい視点はあまり持てず、「現場はHPの100倍泥臭いけどびっくりせんといてね」「間違いなく昔の自分より優秀なのでほんまこれから活躍して下さいね」という感じです。優秀と思うポイントは1年前に書いた以下記事とだいたい同じで、他にも後輩に伝えたいことはだいたい昨年度の研修時に記事にしたことと変わってません。ただ今年度は自分側に矢印を向けて考えることが多かったのでその話です。

今年改めて強く感じているのは「こんなに優秀そうな彼ら彼女らと、いかに協働しながら自分と組織、ひいては会社をアップデートさせていくか」ということです。めっちゃ優秀でもそもそも辞められてしまっては元も子もないですし。4月からコーチをしているラグビースクールの会長から最近「自分達が習ったように教えるのではなく、今の世代のニーズと最先端の理論を勉強しながら教えて下さい」と言われましたが、それに近い話です。以下思いつくこと、普段若手との接点で心がけていることを備忘で列挙しておきます。

1.先輩としての過去の学びや実務のコツはもったいぶらずにどんどん教えていくこと

昔ながらの「見て学べ」で「恥をかかせて挫折させて学ばせる」という「板前さん的」な人材育成をしていたら引く手あまたの若者はスッと辞めて「寿司アカデミー」に行ってしまいそうなので、自分の学びやコツを惜しみなく伝えて短期的な成長欲求にどんどん応えていかないといけないのかなと思います。それで彼らが早く成長すれば自分がもっと別の仕事をしていけますね。レクチャーする際には長くなりがちな「心構え」よりも簡潔な「具体的なアクション」を伝えることに気をつけます。

2.新入社員目線の「疑問」や「おかしいと思うこと」をどんどん引き出し、正しいものと受け止めて組織の改善につなげること

概ね平成を通して培われた今の「組織の常識」は、根本的に改善したほうが良いことが多いのだと思います。組織の常識を新入社員に押し付けずに、新入社員目線の「疑問」や「おかしいと思うこと」は積極的に肯定して一緒に正す方向でアクションしていってみたいと思います。そして組織の改善に繋げられたら自分たちにとっても間違いなく未来に向けた一歩ですね。

3.彼ら彼女らのキャリアの選択肢を理解し応援すること

今の新入社員は自分以上に「常に転職の選択肢がある」状態だと思うので、本人のキャリアの選択肢を否定せずに「今ここで成長することが彼ら彼女ら自身にとってプラスになる」と思われるように飽きられない仕事を一緒にしていきたいです。今の自分の部署なら組織マネジメントやサービス改善についてなるべく組織の意思決定(自分の業務)に巻き込んで疑似体験してもらう、組織課題を共有して一緒に課題解決を考える等。自分がまだ5年目の頃、当時の上司が考えてることを驚くほど何でも共有して頂いて意見を聞いてもらえたのがすごく嬉しかったのを覚えているので、自分もそうしていきます。

ちなみに過去に後輩から転職相談を受けたことが何度かありますが、キャリアの停滞感を感じて「転職とか考えたことありますか」と切り出す彼らに「もちろんあるある!自分の市場価値が気になるのは当たり前やし今思い切りチャレンジする為には必要な観点だよね!」と話すと最初は堅い表情だった彼らが「もう少し頑張ろ」みたいなスッキリした顔になるのが印象的でした。今後キャリアはより流動性高くオープンになっていくはずなので、キャリア選択をタブー視せずお互いのキャリアにとって今ここの意味を最大化できるような、Win-Winな仕事をやれれば良いなと思います。

4.「社内特有の評価基準」は少なめに、「本人の成長機会」と「社外への付加価値」を多めに

自分が若手の時にあまり理解できないマナーについて「こういうほうが社内的に評価されるんだぜ」という言われ方をされたらなんか白けるような、かといって無視できないような複雑な気持ちになったものでした。少なくともテンションは上がりませんでしたと。それでも気がつけば「社内のお作法」は常識となり、Guessing game を通じて皆で同質性をどんどん強化していくようになっていってしまいます。
ただ、より成長実感や人材としての市場性を気にする(であろう)新入社員世代には「組織のマナー」も良いですが「今ここでこういう経験を積んで学びにしてほしい」「このほうが組織の対外的な付加価値が間違いなく高まる」といった、「本人の成長機会」と「社外への付加価値」で訴求することを気をつけたいと思います。

5.何より自分自身が一緒に学んで一緒にアップデートしていくこと

36歳、15年目の立場になって「新しいことを経験したい」「成長したい」と声高に言うのも気恥ずかしい気がしますが、それでも異なる世代の「今のハイスペックな彼ら彼女ら」から学べることは本当にたくさんあるはずですね。こちらが伝えられること、若手から教わることをミックスさせて組織も会社も自分自身も、アップデートしていきたいと思います。

今回の整理を通じて、自分の中で新人の彼らのことを自分の15年分後ろにいる後輩ではなく、全く別のキャリアを並行して歩んでいく協働相手として捉え直すことができたように思います。そしてそれは、新人に限らず社内の先輩後輩全てに対しても同様ですね。誰に対してもリスペクトと学びの姿勢を忘れずにいようというのはベタな結論ですが、良い気づきでした。

(以上)

※おまけで漫画「左利きのエレン」を紹介していましたが、仕事の話やったので毎年新入社員に紹介してそこそこ評判も良い本を1冊紹介しておきます。