R. Shimada

生活保護世帯から東大に進学し、数学者になりました。このアカウントでは自分の経験を共有し…

R. Shimada

生活保護世帯から東大に進学し、数学者になりました。このアカウントでは自分の経験を共有し、次の世代を励ますことと既存の社会制度の問題点を指摘することを目的とします。

最近の記事

料金未納と銀行口座の現状

上の記事で携帯電話料金の未納と銀行口座が作れない問題に言及しました。 心配するメッセージを沢山頂き、個々に返信できておりませんで恐縮ですが、この記事で現状を説明したいと思います。 まず銀行口座については地元の銀行とゆうちょ銀行の二つを現状作れていて、最低限なんとかなっています。 警察の側から銀行の方へこの人は危ないですよというようなお達しが行っているようで、それが原因で私は銀行口座を作れないみたいです。 銀行側からするとそういう連絡が来ている以上私に銀行口座を作らせるわ

    • 社会の溜飲を下げる

      先日以下の一連の記事を公開しました: 大変な反響をいただき、「先週もっともスキされた記事の1つ」に選ばれました。 また多くの「サポート」も頂き、ありがたい限りです。 (恥ずかしながら、noteにこういう機能があることを知りませんでした。) 頂いたコメントも読ませてもらい、noteを含めたSNSで発信することの意義について改めて考えました。 まず上の記事にも書いた通り「次の世代を励まし、生活保護制度や大学・大学院の問題点を明らかにすること」がその一つだと思います。 実際「

      • 生活保護世帯から東大で博士号を取るまで⑧

        勉強から研究へ 大学院ではいよいよ研究をすることになります。 自分はそこそこ勉強ができるということは知っていましたが、研究能力については未知でした。 それでも、私に出来るのは精一杯やるということだけでした。 勉強と研究は結構違っていて、その切り替えがうまくできずに失敗する人も多いという気がします。 私はこの違いを理解していたからか、案外スムーズに研究に移行できたと思います。 大学院を修了するまでに、私は8本の論文(内4本は出版済み)を書き、16回の口頭発表(内5回は国外

        • 生活保護世帯から東大で博士号を取るまで⑦

          大学院入試 東大の他の大学院はよく知りませんが、東大数学科の院はかなり難関で、内部生でも半分落ちると言われています。 もし大学院入試に落ちてしまうと、留年するしかなくなり、そうすると授業料免除と奨学金は止まり、大学の寮は追い出されます。 そういう事態を恐れてだいぶ貯金していたとはいえ、流石に生活が成り立たなくなるでしょう。 だから院試の対策は十分行う必要がありました。 でも正直、大学受験の時ほどではないですが、これは不毛な勉強だったと思います。 この時勉強したことは、数

        料金未納と銀行口座の現状

          生活保護世帯から東大で博士号を取るまで⑥

          数学科の授業にはほとんど出られなかった 数学科に入れたから数学の勉強だけしていればいい、というわけでもありませんでした。 私の場合、相当時間アルバイトをしなければならなかったのです。 運良く給料のいい仕事を見つけられたので、必死で働きました。 そのおかげで生活費だけでなく、授業料免除が通らなかった時のためのお金や大学院進学費用も貯めることができました。 一方で、数学科の授業はほとんど出る暇がありませんでした。 そもそも大学のカリキュラムは学生が長時間アルバイトすることを

          生活保護世帯から東大で博士号を取るまで⑥

          生活保護世帯から東大で博士号を取るまで⑤

          別世界の人たち 東大に入ってから出会った人たちの多くは、まるで別世界の人のようでした。 彼ら彼女らの恵まれ方は、私からすれば、到底同じ国に生まれ育ったとは思えないような水準でした。 でも残念ながら、彼ら彼女らは想像していたほど優秀ではありませんでした。 この事実は私をとても落胆させ、怒らせました。 そういう学生たちとの学びは、本当に最悪な経験でした。 高校生の頃、私は自分の置かれている状況を同級生には話しませんでした。 自分も高校生なのに、この人たちはまだ高校生だからこ

          生活保護世帯から東大で博士号を取るまで⑤

          生活保護世帯から東大で博士号を取るまで④

          何があっても勉強だけはやめちゃいけない 既に書いたことは私に起こったことのごく一部で、私が夢を諦める理由としては十分すぎる困難が他にもたくさん生じました。 でも私は、何があっても勉強だけはやめてはいけないと思いました。 これをやめたら、本当に終わってしまうという気がしました。 だから、小さな畳の部屋に折りたたみ式のテーブルと丸イスを置いて、とにかく机にかじりついていました。 予備校代もなかったので、自分で勉強計画を立てて実行しました。 好きな数学の勉強を我慢して、文系

          生活保護世帯から東大で博士号を取るまで④

          生活保護世帯から東大で博士号を取るまで③

          生活保護世帯と世帯分離 生活保護世帯は大学進学できないという事実を知った時、打ちのめされたような気分になりました。 親も学校の先生もこの問題について理解しておらず、自分一人で抱える必要がありました。 だから「世帯分離」というのをすれば進学できるという情報にも自力で辿り着きました。 安心した反面、自分が大学進学することにより家計にダメージを与えざるを得ないという事実に気付かされました。 家計へのダメージということで言えば、中学校の時に通った塾や、大学進学のための参考書代・

          生活保護世帯から東大で博士号を取るまで③

          生活保護世帯から東大で博士号を取るまで②

          勉強を始めるきっかけ 生活保護世帯になってからしばらくは、ありがたいことに、食べ物に困ることは無くなりました。 でも、今思えば、ただ生かされているだけだったようにも感じます。 私が生まれ育った地域は貧しい家庭も多く、中学には(私自身も含め)素行の悪い生徒が沢山いました。 警察のお世話になるような事件は日常茶飯事で、少年院まで行った同級生も複数人います。 そんな環境で私が勉強を始めたきっかけは全くの偶然でした。 中学3年生になる直前、友人に地元の小さな個人塾へ誘われまし

          生活保護世帯から東大で博士号を取るまで②

          生活保護世帯から東大で博士号を取るまで①

          最近東大で博士号を取りました。専門は数学です。 数学の道を志すと決めたのは15歳のときでした。 この時の私は生活保護受給世帯で暮らしており、他の人より多くの困難を覚悟してこの決断をしました。 そして、実際に、ここまで来るには多くの困難がありました。 ここではその困難についてと、私がそれをどう打開したのかについてを書きたいと思います。 本稿は私の経験を共有することにより、次の世代を励まし、生活保護制度や大学・大学院の問題点を明らかにすることを目指して書いています。 一方

          生活保護世帯から東大で博士号を取るまで①