見出し画像

トップダウンリーダーシップの限界と脱却方法

多くのリーダーは自分自身の能力や直感に頼りすぎる傾向があります。

とくに、通常組織で評価されるような決断力や自信があり、実行力を兼ね備えたスタイルは、自信過剰に陥り、チームや組織に悪影響を及ぼすことがあります。

たとえば、トップダウン型リーダーが自分と同じような成功体験がありハングリー精神を持つ同僚と仕事をすると、対立を引き起こしがちです。

自信過剰は意思決定に影響を与える変数の中で、最も改善しにくいものです。
ダニエル・カーネマンも「自信過剰は心に深く組み込まれているため、他の多くの要素を変えずにそれを変えることはできない」と言っています。

このようなリーダーが変わるための、必要なマインドと方法を紹介します。

⒈なぜトップダウンの意思決定を行うのか

自らの意思決定スタイルを振り返るための問いをシェアします。

✅意思決定は単純な直感だと思いますか?
正しい決断とは、さまざまな要因が複雑に絡み合うプロセスです。
多くの人が正しい決断を下すことができない理由の一つは、インプット不足で必要な情報を全て持っていないことです。
メンバーやステークホルダー、データや専門知識など、客観的視点が必要です。

✅他人の意見はどうでもいいと思っていませんか?
リーダーが非協調的かつトップダウンで意思決定すると、ステークホルダーに対して「あなたの意見は重要ではない」というシグナルを送ることになります。
意思決定に参加させることで、信頼を醸成し、人間関係を強化し、協力的な文化を育むことができます。

✅意思決定権が自分にあると思いますか?
肩書きや地位など、与えられた役割の中で主導権を握りたがります。
しかしそこで発揮されるリーダーシップは、役割に紐づく最も基本的なレベルのものです。
そこに固執していると、それ以上のリーダーシップを育む可能性を制限することになります。

✅正しい判断ができるのは自分だけだと思っていますか?
「自信」は成功に必要なスキルです。
ただそれを過信するのはよくありません。
専門性の罠に陥り、リスクを過小評価してしまう危険性があります。

⒉どのようなリーダーになるのか

協力的なリーダーになるための方法をシェアします。

✅謙虚さを養う
自分の無知を認め、常に自問します。
「目的は?」「成功とは?」
おそらくこれらは、決定権を握ることや、チームを思い通りにすることではないはずです。

✅徹底する
マズローは「道具がハンマーしかなければ、あらゆる問題を釘とみなす傾向がある」と言っています。
自分のやり方が唯一の方法ではないことを認めなければなりません。
他人に意見を求めることは弱点ではなく、むしろ意思決定をより効果的にします。
自分の信念や経験だけに縛られると、インプットを制限してしまいます。
より全体を俯瞰し、外的要因や視点を意識することで、成功率が向上します。

✅好奇心を持つ
学びにオープンになります。
それによってあらゆる選択肢を吟味でき、より良い結果を導くことができます。
ある調査では、並外れた好奇心を持つエグゼクティブは、適切な能力開発によってCレベルの職務に昇進できることが多いことがわかっています。

✅長期的に思考する
短期的な結果を重視するなら、その決断がもたらす長期的影響や間接的影響、意図しない結果も考慮しなければいけません。
たとえばコスト削減でレイオフをすれば、即座に支出を減らすことができます。
しかし従業員エンゲージメントの低下や育まれた知識の喪失、潜在的生産性の低下も発生するでしょう。

⒊実行する

メンタルシフトが完了したら行動に移します。

✅異なる視点を求める
新しいインプットは、創造性や協力、エンゲージメントを育みます。
チーム全員が発言できるようにしなければいけません。
チームメンバーに逆張りや悪魔の代弁者の役割を与えることで、自身の内省やあらゆる選択肢の検討に繋げることができます。

✅ポジションをオプションに変える
肩書きや権威で人を従わせようとすると、対立を生みます。
自分の視点や意見を選択肢の一つとして提供することで、協働しやすくなり、イノベーションが生まれる可能性が高まります。

✅チームをプロセスに参加させる
あなたが組織の上位にいるほど、あなたの目的を達成するために他者に依存することになります。
部下があなたに従うのは従わなければならないからではなく、従いたいからです。
チームを育て、権限を与え、巻き込み、信頼を築くことが不可欠です。

常に主導権を握り、マイクロマネジメントしたい欲求を手放すのは難しいかもしれません。
しかし包括的な考え方で異なる視点やアイデアを取り入れることで、より良い結果とより強力なチームにつながります。
決断力自慢が、自分の成長や、チームや組織の成功の妨げにならないようにしましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?