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「ひきこもり」という対処への対処

前回に引き続き、「ひきこもり」について書きます。今回は、ひきこもりからいかに抜け出すか?についてです。

はじめに以下の図式を読んでみてください。

「ひきこもり」≠「問題行動」
「ひきこもり」=「対処行動」

ひきこもりは、問題行動ではなく対処行動なのです。当事者への接し方として、この点を理解しておくことは重要です。反対に理解していないと、援助しようとしているのに関係はこじれます。

緊急事態への対処

一般に、ひきこもりは問題行動と捉えられがちです。経済的にも問題が生じますし、心理的にも孤独になります。社会に参加できないことで生じるデメリットは大きいです。外から観察すると問題なのですが、本人の中で起こっている現象は対処です。

これはひきこもりに限った話ではありません。ほとんどの問題行動は対処行動です。貧乏ゆすりをしている人に対し、周囲は煩わしく感じます。しかし、本人はイライラを低減させているのかもしれません。何度も手順を確認する人に対し、周囲は面倒に感じます。しかし、本人としては不安を低減させているのかもしれません。このように、ほとんどの問題行動は本人にとって対処行動なのです。

では、ひきこもりはどういう対処行動なのでしょう?

多くの方は、緊急事態に対処しています。社会の中で何らかの傷つき体験、あるいは大きなストレスがかかり、そこから距離を大きくとることによって心を守ろうとしているのです。

問題行動と捉えると綱引きに

この点を理解していないと、ひきこもっていること自体が問題だと思い、気持ちとしては手助けしたいと思っても、行動としては引っ張り出そうとします。本人からしたら緊急事態にせっかく対処しているのに、それを崩されそうになるわけです。結果、本人と周囲との綱引きがはじまります。場合によっては、さらにひきこもる姿勢を強めてしまうことになります。

ではどうしたらいいのでしょうか?

ひきこもり始めた当初、緊急事態から抜け出したわけですから、心理的には消耗しています。その状態を改善するのが先決です。大雑把な言い方をすると、まずは「元気になる」ことです。体調としては、眠れるし食べれる状態を取り戻す必要があります。その次は、普通に会話ができたり、好きなことを楽しんだり。冗談を言えるようになってきたら、ずいぶん回復してきたと考えていいです。

いやいや、そういう状態なってからずいぶん時間が経っているのに未だに変化が見られないと思う方もおられるでしょう。それにも理由がありますので、次回、書くことにします。




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