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BSプレミアムの誘惑

NHKのBSチャンネル、「BSプレミアム」が私を誘惑する。

「今日の『世界一受けたい授業』って何時から?」
娘が尋ねてきたので、スマホのテレビの番組表を開いた。

真っ先に表示されたのは、BSチャンネルの番組表。
というのも、私は無類のBSプレミアム好き。

つい、BSプレミアムの番組をチェックしてしまう。

むむ、BSプレミアムはお盆期間中も休まず、私の琴線に触れる番組を続々と量産してくれているではないか!

「ねえ、世界一受けたい授業、何時からなのよー」
背後から娘の不機嫌な声がするが、ちょっと待ってーと生返事。
リビングのハードディスクレコーダーとつながったスマホアプリのBSプレミアムの番組表を人差し指でずんずんスクロール。
次々に「録画」ボタンをタップした。

魔改造の夜「扇風機 50メートル走」(8月14日(土)22:00~) 

『魔改造の夜』は超一流の技術者たちの極限の格闘技、大人のヤバい本気が満載。

超一流エンジニアたちが「おもちゃ」「家電」を極限のアイデアとテクニックで怪物マシンに大改造!新技術開発エンタメ、今回は扇風機!

お題は『扇風機を風力で速く走らせての50m走』(番組HPより)

日本が誇るモノづくりの達人が、家電やおもちゃをメカニック的に大改造して、その「魔」改造っぷりを競う番組。
先週は、太鼓をポンポンと可愛らしく叩くぬいぐるみのクマちゃんを魔改造して、瓦を何枚割れるか競っていた。
ロケットの部品を作る会社、大手自動車メーカー、ロボットを制作するベンチャー企業がアイデアと技術を駆使し、真剣に戦っていて面白かった。
今度は扇風機らしい。
一体、どんな戦いになるのか、とても楽しみ。
大人が、己のスキルを無駄遣いして真面目に遊んでいるのがいい。

よみがえる新日本紀行 選「阿波踊り考~徳島市~」(8月15日(日)6:07~)

去年の阿波おどりは中止、今年も規模を縮小していて、一部の文化ホールでしかやってない。メインイベントの野外演舞場でのパフォーマンスはできなかった。こんなに長い間、阿波おどりを見ていないなんて、人生始まって以来。
徳島市の阿波おどりが終わり、街の人口より多い観光客が去って、ぞめきが聞こえなくなると、地方の街は再び眠りにつく。
どこからともなく虫の声が聞こえ、夜、吹く風にふと秋の匂いがし始める。
阿波おどりの終わりは、夏の終わりの合図。
でも、今年もまたその区切りが見つからない。
だから、せめてテレビ番組でもいいから阿波おどりを見て、2021年の夏を見送ろうと思う。

晴れ、ときどきファーム「奄美料理で長寿!おうちでグルメ旅」(8月15日(日)7:30~)

NHK版「鉄腕DASH!」のDASH村的な番組。

長野博(V6)、村上知子(森三中)、滝沢沙織(女優)の3人が、畑で野菜を育てながら、四季折々の暮らしを楽しんでいます。(番組HPより)

どんな植物だって枯らすブラックハンドの持ち主で、アレルギーもちで土いじりなど体質的に向いていないくせに、こういう「ていねいな暮らし」にあこがれる。いや、できないと分かっているから余計気になるのかも。

今回は「奄美料理」。奄美料理がどんなものか全然分からないのに、見てみたくなったのは、最近、家にいて、お友達に教わりながら、いろんな料理に挑戦するようになったから。未知の料理に対する心理的距離がぐっと縮まったんだと思う。

再放送に「スペイン料理」、「台湾料理」を見つけたので、そちらもあわせて録画予約、ぽちっ。

新日本風土記「上高地」(8月15日(日)14:23~)

学生時代の「ゼミ旅行」というので、奥飛騨と上高地に行ったことがある。
10月のいい季節だった。レンタカーを降り、観光タクシーで上高地へ。一歩足を踏み入れたとき、「極楽浄土ってこういうとこかも」と生まれて初めて思ったことを覚えている。流れる水の青さ、山の緑、どれもため息が出るほど美しくて、カメラのシャッターを何度も何度も切ったけれど、自分の目に見える美しさを写真に写すことはできなかった。
でも、記憶にはしっかり残っていて、今でもときどき思い出す。あれから20年以上たつけれど、まだあの美しさを超える風景に出会ったことがない。
今年こそ行こうと思いながら、今日まで行けずにいる。
いつか自由に出かけられる日が来たら、真っ先に行きたい所の一つ。
せめてテレビで復習、予習しておこう。

沖縄ロマン紀行「宮沢和史 又吉直樹 ”琉歌”巡り旅」(8月15日(日)23:20~)

歌手の宮沢和史さんと、お笑い芸人の又吉直樹さんという異色コンビの旅番組。どんな旅になるんだろうと興味があって「録画」をぽちっ。

八・八・八・六の三十音から紡がれる、沖縄の伝統歌謡「琉歌」。その魅力に、シンガーソングライターの宮沢和史と、お笑い芸人で芥川賞作家の又吉直樹が迫る。(番組HPより)

沖縄の伝統歌謡って、八・八・八・六の三十音なんだ。知らなかった。

予告を見ると、宮沢和史さんが名曲「島唄」を歌ってくれるみたい。楽しみ。

琉歌大賞というものもあるらしい。受賞作を見ていたら、ノスタルジックで、まっすぐな言葉が胸に迫る素敵な歌ばかりだった。

異次元体験 闇と炎の秘儀 お水取り ~奈良・東大寺修二会~(8月16日(月)0:20~)

最終作は最もシンプルかつ濃密にお届けする「究極のヒーリングコンテンツ」。二度と撮れない貴重な8K映像で、奈良時代から変わらぬ闇と炎の世界に没入体験できる永久保存版です。(番組HPより)

「究極のヒーリングコンテンツ」と言い切るテレビ番組が、ほかにあるだろうか。それも8K映像で。何とも豪華なヒーリング番組。
この番組の4分ほどのダイジェスト版を動画で見た。まさに異次元。走ったり転んだり、お経を唱えたり、火を振り回したり、一体何のために行う所作なのか、文言なのか、全然分からないけど、なぜか没頭して見てしまった。解説文にも「没入体験」と書いてあるし、これは、夜遅く残業して帰った日に、脳みそをクールダウンさせるのにいいかもしれない。

カラーでよみがえる東京「日本橋~百年の時を刻む~」(8月16日(月)4:47~)

NHK公式の動画があった。もう録画しなくていいかも……

やまと尼寺精進日記 選「葉月 夏のごほうび 蓮(ハス)日和」(8月17日(火)12:30~)

もう、大好き。
奈良県桜井市にある山寺に、2人の尼僧さんとお手伝いの女性が1人暮らしている。この3人が丁寧に暮らしている様子を見るのが、大好き。
里の方やが作った野菜や山で採れたものを大事に使って料理したり、手作りしたり。そのスローライフがあまりに楽しそうで、幸せそうで、見ればいつも元気になって「私も何か作ってみようかしら」と思わせてくれる。
「足るを知る」とはこういう生き方かもしれない。

人気番組らしく、本も出ている。

そして、現在、お手伝いの女性「まっちゃん」は、山を下りて、イラストレーターや漫画家として、頑張っておられるそう。


コロナ禍で取材ができないのだろうか、今、番組の続編は放送されていない。住職さんと副住職さんはお元気だろうか。
でも、ときどきこうして不定期ながら再放送してくれていて、番組表で見つけると、宝物を見つけたみたいで、すごくうれしい。

本当は、一日中つけっぱなしにして見ていたいくらい、ほかの番組も気になる。
昔、関西で「テレビのツボ」っていう深夜番組のがあった。「チャンネル君」と呼ばれるアルバイトスタッフが、それぞれ1チャンネルずつ受け持って、1日かけてウォッチした中から面白かった場面をプレゼンするというコーナーがあった。今、もしその番組があったなら、絶対BSプレミアムの「チャンネル君」に応募したい。


「世界一受けたい授業は、午後7時56分からだって」
「もう始まっちゃうじゃん。もう! 早く晩ごはん作ってよ!」

だって、BSプレミアムの誘惑には勝てないんだもん。


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