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『笑い男』

『笑い男』
サリンジャー著


「私」が、ニューヨークのコマンチ団というサークル活動に入っていた時の物語。団長兼コーチのジョン・ゲダツキーの指導のもと、スポーツ、キャンプ、博物館めぐりなどで自由な時間を楽しく過ごしていた。団員同士の結束は強く、団長への信頼も篤い。団長は身長が低く、ずんぐりした体型で、黒い髪と大きな鼻など、明らかにアメリカインディアンの特徴を持っていました。


物語は、団長が語る『笑い男』の物語と並行して進んでいく。

①「笑い男」
笑い男は敵を殺さず、自身の忠実な仲間たちを大切にする特性を持つ悪役。非常に醜い顔で、その顔を見る人はあまりの醜さに死んでしまう。仲間であるブラックウイングを助けるために身代わりとなって悲劇的な死を迎える。

②「コマンチ団」

1. 勇気と戦士精神:コマンチは優れた騎馬民族であり、戦士としての名声を持っていた。彼らは勇敢さ、戦闘技術の高さ、そして生活における困難に立ち向かう強い意志を象徴している。

2. 文化と伝統:コマンチは独自の文化、信仰、伝統を持っていた。彼らの祭りや儀式、音楽、舞踊などは彼らのアイデンティティを表し、彼らの文化的な遺産を象徴している。

3. 生存力と適応力:コマンチは厳しい環境や資源の制約の中で生活し続けた。彼らの狩猟技術、地理的な知識、適応力は、生存力と持続可能性を象徴している。

物語としては、笑い男を引き継いだ25人の少年たち。コマンチという言葉は、アメリカ先住民の一部族を指す。

③「ブラックウイング」

1. 暗黒と光の対比: 「ブラックウイング」は「黒い翼」という意味ですが、暗黒と光の対比を象徴することがあります。この象徴は、人間の内に存在する善と悪、明と暗の対立やバランスを表す。

2. 自由と解放: ブラックウイングは鳥の翼を指すことから、自由や解放の象徴とされる。

3. 独自性と個性: ブラックウイングは一般的な鳥の羽ではなく、黒い翼を指すことから、独自性や個性の象徴とされる。

4. シンボリズムと神秘性: ブラックウイングは一部の文化や信仰体系においてシンボリズムや神秘性を持つ存在として見られる。


物語の主題は、何か?
団長が語る『笑い男』は、団長自身の物語なのだろう。インディアンの末裔としてのプライド、アイデンティティとともに、現実に襲いかかる差別、困難。メアリー・ハドソンという富と幸せの象徴のような女性に恋したのだけど、その恋は、破れてしまう。おそらくは、自分の努力では、どうにもならない生い立ちや外見が原因なのかもしれない。

努力ではどうにもならないことが、あるということ。
それが、人生だということで、その上に宗教があるだろうと思ってしまうのだけどね。

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