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小学生のときから学校の先生を目指していた私が、教育実習に行って「辞めよ」って思った話

私の将来の夢は、学校の先生になることでした。

小学生のとき、私は休み時間にずっと本を読んでいる女の子でした。
暗い性格、というほどではありませんでしたが明るくもなく、大人しい子でした。
そんな私が比較的活発で明るい性格になったのは、5、6年生のときの担任のK先生のおかげでした。
すごく優しくて、子どものことを真摯に考えてくれる素敵な先生でした。
小学校卒業が近づいていたあるとき、図工の時間に卒業制作のマグカップを作る時間がありました。
私の隣でマグカップを作っていたSちゃんは、少し知的な遅れもあり、不器用な子でした。
K先生は、Sちゃんのモロモロになったマグカップをとても綺麗に建て直していました。
私はその様子を見てK先生に「先生ってすごく器用なんですね」と言いました。
すると先生は「みんなにやれって言ってることは、自分ができないとね」と答えました。

小学生の私はその言葉にいたく感動し、「私も先生みたいな人になりたい」と思って学校の先生を志しはじめました。

きっかけはK先生でしたが、私はその後の中学・高校時代にも沢山の素晴らしい先生に出会い、思いは「K先生みたいになりたい」から「私も子どもの将来を応援できる先生になりたい」へと移り変わって、更に教育の仕事に対する意欲は高まっていきました。

K先生との出会いから7年余り。私は教職課程のある大学に進学し、学校の先生になるべく努力をし始めました。
学科の授業に加えて教職課程の授業を履修する忙しい日々を送りながら、塾のアルバイトや学校でのボランティアで経験を積み、ここ数ヶ月は毎日教員採用試験の勉強をやっていました。

そして大学4年生になり、私はとうとう教育実習に行きました。

中学校での3週間の実習は想像していた通り、すごくしんどくて辛くて大変でしたが、それ以上に行ってよかったと思えるほど沢山のことを学ばせていただきました。
教育の仕事がしたい、子どもたちを応援できる仕事に就きたい、という思いが高まったと共に、自分にはそういう仕事ができる、向いている、という自信が身に付きました。

でも私は、とりあえず学校の先生になるのを辞めることにしました。

理由は、そんなことで?と言われればそれまでのことです。

学校の先生が忙しい職業だということは元から重々承知していました。
散々ブラックだというニュースを聞いていたし、周りからも忠告されまくっていました。
実際の学校現場で、先生方は本当に忙しく働いておられました。

でも、私が「学校の先生やりたくないかも」と思った理由は、給食にあります。
給食の時間というのは、だいたい準備10分、食べるのに15分、片付けで10分でした。
その間先生は、生徒の配膳を手伝い、食べ始めた生徒に分量を減らさせたりおかわりをさせたり、ある程度片付けをしたり、と忙しく働いているのです。
するとその結果、先生が給食を食べる時間はほんの僅かしかありません。
数分でかき込むように食べ、お腹を休める暇もなく片付けに取り掛かります。
なんなら私のクラスの先生は給食を食べていませんでした。

私、お昼ごはんゆっくり食べたいなぁ…、と思いました。

は?そんな理由?と思われる方もいるでしょう。
でも私にとって、食事の時間が侵されることはちょっと耐えがたいことでした。
何も何時間もかけて食事したいというわけではありませんが、ご飯を味わって、お腹がこなれるまで少しゆっくりして、という時間は私にとって必要なものでした。

なんというか、「学校の先生になったら今の生活を犠牲にしなければいけないんだ」と感じました。

まとめると、私はお昼ごはんをゆっくり食べたいので、学校の先生にならない決断をしたということになります。

これだけだと本当に何それ?ふざけてんの?と言われそうなので補足しますが、先生方の、仕事とプライベートの境目や、仕事と仕事じゃないことの境目がすごく曖昧な感じの働き方も、無理かもと思った理由になります。仕事がどんどんそうじゃない方に雪崩れていって、侵食される感じ。私は、そこの境界線がはっきりしてないと駄目な方でした。

結果として現在の私は、教育実習後に始めた就活で塾の会社から内定をいただき、来春からはそこに就職しようと考えています。

急展開ですが、流れとしては
→実習中に「先生なりたくないかも…とりあえず一回非常勤で働こうかな…今からでも就活した方がいいかなぁ…」と相談した友達に「就活してみれば?選択肢増やすつもりでチャレンジしなよー」と言われ、「確かに〜!」と思って説明会にエントリー。
→教員採用試験の翌日に説明会に行き(試験は教育実習の2日後だったので、これは実習の3日後)、その場で選考の予定を取り付け、2週間後に内定をいただく。
→「先生なりたくないかもと思って塾の就活して内定貰ったんだけど、このまま塾に就職したら後悔しないかなぁ…」と相談した父に「後悔なんてしないべさ!子どもと関わる仕事をするのが目的なんだから、塾でもできるしょや〜(バチバチの北海道弁)」と言われ、「確かに〜!」と思って就職を決意。
といった感じです。
塾は勤務開始が午後からなので、お昼ごはんをゆっくり食べてから出勤することができるのも理由のひとつです。

とはいえ、実は採用試験の一次試験にも合格することができたので、限りなくならなさそうではありますが、折角の機会をいただいたのでニ次試験の対策も頑張っているというのが現状です。

学校の先生にはならないかもしれないけど、教育の仕事で子どもたちの将来を応援したいという思いは全く消えていないし、今までやってきたことは全く無駄になっていません。

ただ教育実習を通して私が思ったことは、本当にあまりにも学校の先生は忙しいということです。
成り手不足だ、志望者が減っている、と聞きますが、そりゃそうだと思います。
出勤してから退勤するまで休憩時間がほぼ全くと言っていいほど無く、お昼ごはんもろくに食べられず、どれだけ働いても残業代は一定以上出ず、土日にはボランティア状態で部活。どうしてこれでなりたいと思うでしょうか。
私は塾の説明会で「お昼ごはんゆっくり食べれるの?!残業代出るの?!休みの日は休めるの?!」と大層感動したしました。

私の感想といたしましては「学校教育界はまた将来有望な若者を1人失ったね…残念…」といったところです。何様だよって感じですが、そう思います。
お偉いさん方、根本的な働き方改革の方、何卒早めにお願いします。

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