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【感想】【レビュー】【探偵事件簿 レインコード】「真実」を味方に謎を切り倒せ!

今回は「超探偵事件簿レインコード」本編をクリアしたので感想とレビューを書いていく。プレイ時間は25時間ほど。DLCのプレイは無しで、サブミッションの進捗は7割ほどクリアしたぐらい。
ゲームジャンルは謎解きアドベンチャー
注意点:ネタバレを含みます。筆者はダンガンロンパのプレイ歴がありません。

世界観:馴染みのある街並みと、摩訶不思議な異世界

本作のシステム周りを解説していく前にその独特な世界観から紹介していく。

本作の舞台は、国どころか世界政府にすら影響力を与える大企業「アマテラス社」が牛耳る街「カナイ区」である。

カナイ区全体には絶対に止むことのない雨が降り注がれていて街には暗い雰囲気が漂う。マップには英語や漢字の看板があり、若干サイバーパンクな世界観となっている。

かと思いきやカナイ区はスラム街のような地区、昭和のの田舎のような地区など色々な顔を見せてくる。

ふわふわの相棒「死に神ちゃん」

アマテラス社が隠している「カナイ区最大の謎」を解き明かす為に、訳あって記憶喪失の主人公「ユーマ・ココヘッド」が他の超探偵や頼れる相棒「死に神ちゃん」と協力し、様々な難事件に挑むのが物語の根幹になる。

そして謎を解く際に現れる「謎迷宮

謎迷宮の案内人「死に神ちゃん」

ここでは事件に関する謎が具現化され、真実を隠そうとする「謎怪人」を切り倒しながら謎を解き明かしていく。

謎怪人のデザインはどれもかっこよく、異世界の怪物らしさが上手く表現されている。

謎迷宮を攻略して真犯人が分かったら、現実世界に戻って犯人に対して指差し!

まぁ、真犯人は死に神ちゃんの力でお亡くなりになるんですけどね。

謎解き:各パート毎の謎解きはやや簡単。物語全体の謎はかなり奥深い。

各章には調査パートと「謎迷宮」を使った謎解きパートに分かれる。
調査パートでは謎迷宮攻略に必要になる証拠、「解鍵(かいかぎ)」を集めて犯人像をぼんやりと掴んでいく。
各章で容疑者は大体4人ぐらいになることが多く、どの人物ならその犯行が可能か、解鍵を参考にしていくことがメイン。

解刀(かいとう)に解鍵を刺して謎怪人に反撃!

解鍵を集めたら謎解きパートとなる謎迷宮攻略。
詳しくは後ほど解説するが、ここで謎怪人は事件の真実を隠すために主人公を説き伏せようとしてくる。
手に入れた解鍵で謎怪人の発言の矛盾を突いていく。
事前に解鍵を確認して状況を整理していけば割と簡単に分かる謎だ。よく言えばサクサク進めやすいし、悪く言えば手応えのないものと言える。

それでも物語の根幹に関わる「カナイ区最大の謎」についての真実は、各章で細かな伏線はあるものの(初見じゃ中々気づけないと思われる)最終章になるまで中々明らかにならない。
そのため、最終章で一気に伏線が回収されて様々な謎が明らかになる場面は非常に爽快だった。

アクション:スピード感のある謎解きを楽しめるものの、単調。

「謎解きゲームなのにアクション?」
そう思われる方も多いだろう。
本作は謎解き×アクションに挑戦した異色の作品であり、他のゲームでは味わえなかった新鮮な体験ができるのが醍醐味の一つである。

謎解きパートである謎迷宮攻略にこのゲームのアクションが集約されている。
その1つが「推理デスマッチ」だ。
その名の通り、主人公の体力が尽きる前に謎を解き明かさないとゲームオーバーになるイカしたシステムである。

敵の発言をかわせ!
反論できる発言は赤く光る。正しい解鍵を選んで反論!

推理デスマッチ中、謎怪人は文字通り言葉を物体化して主人公に攻撃してくる。その言葉に当たらないためのスキルがプレイヤーに求められる。今までの謎解きゲームでは求められることの無かったスキルで、頭だけでなく反射神経も使って攻略していく。

敵の攻撃をギリギリで避けるとジャスト回避が発動し、クリア後の評価が高くなるので、アクションが得意な人でもやりごたえのある設計になっている。

謎解きが苦手な人向けに、解鍵の選択肢が減るスキルなどが、アクションが苦手な人向けに、体力が増えるスキルがあるため、プレイヤーの技量に合わせたサポートがあるのも本作の良い点である。

「真実」に対応するボタンを素早く押そう!

謎迷宮攻略の際に、QTE(クイックタイムイベント)が発生し、短い時間で瞬発的に正しい答えを導き出すアソビが用意されている。

このシステムは最初こそ謎解きなのにじっくり考えさせない感じが新鮮でおもしろかったのだが、どの章でも同じようなQTEが何度も使われているため、ゲームに慣れてる頃には飽きてしまった。バリエーションを増やして欲しかったところだ。

単調なアクションにやや不満を覚えたものの、アクションを楽しみながら一つ一つの謎が明らかになる感じが新鮮だった。
「あ〜、そういうことだったね」と息づく暇もなく次の謎に直面するスピード感はこのゲームでしか味わえないものだ。

キャラ育成:スキル構成の幅が狭い

本作では一般的なアドベンチャーゲームと同じように経験値でレベルアップするシステムになっている。経験値は主に謎迷宮攻略の評価や調査パートで集める探偵ポイントから得られる。
レベルアップしたらスキルポイントを各スキルに振って覚えたいスキルを覚える、というシステムだ。

自分に合ったスキルが選べる

レベルが低いうちはスキルの自由度も低いので、謎解き用のスキル、アクション用のスキルなど自分のスタイルに合わせてスキルをセットできる。

しかし本作ではレベルが上がるとほぼ制限なく好きなだけスキルをセットできるので、結果的に物語を進めていくほど入れられるスキルは全部入れちゃえ状態になる。

スキルの数に制限がかかってたら、もっとアクションに幅広い楽しみ方が生まれたのではないかと思った。

サブミッション:シナリオは面白いけど、報酬が物足りない

マップの至る所で発生するサブミッションでは、カナイ区に支配される人の実態や、事件の容疑者のその後を見ることができる。
物語の世界観を掘りさげる役割を担っていて、サブミッションを進めることでより本作の独特の世界観にのめり込むことができた。

ミッションの内容はほぼ全てがマップ上の指定の場所を行ったり来たりする、いわゆるお使いクエストだ。
代わり映えのない内容のサブミッションをずっとやらされたため、進めるのが結構退屈だった。

肝心のサブミッションの達成報酬は少量の経験値だけなので、進める動機としてかなり物足りないと思う。

本作ではアイテムというものが無いので実装が難しいところではあるが、主人公の衣装など、ゲームプレイにささやかな彩りを与える報酬が欲しかったところ。


ロード:めちゃくちゃ長い!

これがかなり長い。特に推理デスマッチの前のロードは1分近く待たされることも多かった。
本作がSwitchではかなりグラフィックの良い作品であるが故の長さだと思われる。

シナリオ:終わりよければすべてよし

今回も語っていきます。
見出しに書いたように、各章の面白さはまちまちだった。しかし、ストーリーの根幹に関わる謎である「カナイ区最大の謎」を解き明かしていく最終章は時間を忘れてしまうほど夢中にプレイしていた。
第1章から第4章まではあまりカナイ区最大の謎に関わる描写があまり無く、退屈だった。

しかし最終章を追っていくうちに、それは表面的なものだったことに気付かされる
第1章から第4章の中にカナイ区最大の謎の伏線が巧妙に隠されていたのだ。最終章をプレイしている中で

「それ伏線だったの!?」
という感情になることが多々あり、非常に興奮していた。

伏線に気づいた状態で2周目をプレイしたらまた違った楽しみ方ができるだろう。

中でも死体から出る血がピンク色が伏線だったことが驚き。

最終章でカナイ区の人間は全て失敗作の人造人間「ホムンクルス」であることが明かされる。ホムンクルスの身体的特徴に血液がピンク色ということが明らかになる。

コミカルなイラストに合わせたゲーム上の演出だと思っていた。というより思わされていたことがすごい。
第1章でユーマの「死に神ちゃんはこの死体を見て何も思わないの!?」が死体に驚いてたんじゃなくて血の色に気味悪がって出た発言だったことに気づいた時は鳥肌立ちまくり。

物語中盤からラスボス的雰囲気を出していた「マコト・カグツチ」も初登場シーンでユーマに対して、「ふーん、あれが僕の…」

なんて意味深なセリフの後ろに「オリジナル」という言葉が隠されていた。

最終章の面白さはさながら名作ミステリー映画を見ているような感覚になるほどだった。

しかし第3章の内容はもう少しよくでにたのではないかと思った。調査パートの割と序盤の方で犯人は泳ぎが得意な人、で確定してしまったので、

「それもう章の序盤で出てきた元競泳選手で決まりやん」
となってしまった。しかも犯行動機が銀行強盗という、カナイ区最大の謎に比べたら割としょうもないもの。あまり物語の進展も見られない章で、フブキというキャラの特殊能力を紹介するためだけに作られた章という感じが否めなかった。

総評:アクション×謎解きが新鮮

本作で最も評価できる点は、何よりも今までにないジャンルを打ち出したこと。アクション部分や育成要素が粗削りな部分はあるものの、メインのアソビはかなり完成度が高い。ストーリーも設定がかなり作り込まれてていて独特な世界観を味わいつつ謎解きを楽しむことができる、素晴らしいものだった。
もし続編が出て、アクション部分や育成部分に改善がなされていたらかなり期待できるものになるだろう。

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