今日は雨でした
傘を差しても役に立たない霧雨が高架下の駐車場まで吹き込んで、レトロな車を濡らしていました。
ヨーロッパの地中海に面する国のうちフランス以外は、夏の間雨が全然降らないため、作物が育ちません。日本の夏は、時に日照りが続いて雨不足になることはあるものの一般に夏の間も夕立などで雨が多い点に特徴があります。
こども森ひろば_国土と森林に世界の植生分布図があります。
この図を見ると文明が発達した地域は、乾燥地の大河周辺と、落葉広葉樹林および照葉樹林を中心とする地域であったということがわかります。
私の考えでは、植物が成長する力が、人間が太刀打ちできないほどには強くない地域で、人類は農耕を発達させることができたのだろうと思います。日本の縄文時代に農耕が広くひろがらなかったのは、夏の間も降水量の多い日本では、鉄器のない時代に農耕を中心にできるほど、人類の力は植物に勝てなかったからではないでしょうか。
アフリカはナイル川沿岸を除けば、文明の発達しにくい気候にあったということなのでしょう。ニジェール川中央部にマリ帝国が栄えたのも、乾燥地の中の大河流域だったからでしょう。
動物は、植物が太陽光を栄養に変えてくれるおかげで命を維持できます。植物は水と光と温度のバランスの影響を強く受けて存在しています。忘れてしまいがちですが、火山の噴火や、太陽活動の変動、地形の変化などによって気候が変動すれば、植物の生育に影響が出て、動物である私たちも大きく影響を受けることになります。
NHKが制作した番組をDVD化した「人間は何を食べてきたか」というシリーズがあります。「肉」の回には、人間が食べる植物の育ちにくいヨーロッパの気候で人が生きるために発達したのが、牧畜であるという説明がありました。牧草や雑穀、木の実など人間の食べない植物を与えて肥育し、エサが少なくなる冬の前に屠殺してベーコンやソーセージを作り保存するのです。
クマは緯度の高い場所を中心に生きる動物です。日本に住むツキノワグマやヒグマは植物を比較的多く食べますが、ホッキョクグマとなると、植物に頼ることは難しく、肉に頼ることになります。そして、しばしばオスグマがコグマを襲って食べる共食いが発生します。植物の少ない場所で生き残るための手段として習慣化したものと思います。
ニホンカモシカの子どもは一年だけ母親と一緒に暮らし次の子が生まれる時期になると追い払われてしまいます。けれど、エサが豊富な年には、そのままいることを母親が許します。冷たいようですが、生き残ることの難しいエサの少ない年であるほど、母親は子供を追い出してしまうのです。
人は動物であり、動物の生き方は植物の生長に大きく左右されます。今は技術の力により、かつては農地にできなかった乾燥地帯や熱帯雨林のあった場所でも農地にすることができるようになりました。けれど、どんなに人類が知恵をつけようと、太陽には勝てず、植物の働きなしには生きられないという事実は変わらないと思います。
雨の日に人と植物について考えてみました。
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