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【ブランキージェットシティ】~ イケてるギャルからのススメ ~

思い出の中の曲について書いてみるシリーズをひとりよがりにやってみる。

わたしが通った中学は校則厳しかった。通学カバンも靴下も学校指定。茶道は必修科目。漫画やCDの貸し借りは包装紙や布バックに包んで校内で開封しないことを条件にOK、開封しているのが見つかると一定期間没収、親が呼び出された上で親に返却というルールさえあった。

高校になって父の仕事の都合のため引っ越し、校則の緩い共学校に編入することになった。時代はギャル全盛期。いけてる女子はスカートのウエスト部分の芯を何重にも巻いてどんどん短くし、スーパールーズソックスをはいて長い脚を惜しげもなく出していた。

そんな自由な学校でも、時々風紀点検があった。髪を染めてないか、ピアスの穴はないか、スカートを切って短くしてないかぐらいの項目だったように思う。わたしといえば、検査にひっかるような項目は全くなかった。ギャルっぽい恰好をしたい気持ちは少しあったが、親と揉めるのが目に見えていたのでそれはめんどくさかった。

そんなある冬の日、風紀点検で摘発された。しかもクラスの前で大きな声で一言、「アウトー」と。これ以上ないほど重ね着して一番上に制服のジャケットを着ているという理由で、服装検査でひっかかったのだ。みんなに笑われて恥ずかしかった。ダサくてつまんない私をついに教師までがいじってきたのだ。そんな私を見かねたのか、ひとりのギャルにこんなことを言われた。

「ブランキーでも聴いてちょっとグレたほうがいい」

彼女は、まぎれもないかっこいいギャルだった。髪を染めていて、検査のときだけスプレーで黒くしていた。たぶんピアスの穴もあけていた。スカートもだいぶ短かった。彼女はわたしにもそういうことちょっとは経験しといたほうが楽しいのに、と言いたかったのだろうか。どういう意味でグレればよかったのかは謎だけれども、わたしはブランキージェットシティを聞いてみた。

結果どハマりした曲。

ギターのイントロ、ドラム、多くを語らない歌詞、絞りだすような繊細さと力強さが共存する声。曲の間にちょくちょく入る音がなくなる間もたまらなくかっこいい。

これをきっかけに、ちょっと激しめの曲を聴くようになった。その後、ブランキーの中で比較的キャッチーなメロディと歌詞の曲は人気が出たみたいだけど、わたしの中での不動の一位は、やはりこの曲。

イケてるギャルになることも、グレることもなかったけれども、クラスメイトの一言で、わたしが好きな音楽の幅は確実に広がった。ゆらゆら帝国、ミッシェルガンエレファント、イースタンユースとかも好きになった。

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