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【 平井堅 】~歌詞解釈で大げんか~

思い出の中の曲について書いてみるシリーズをひとりよがりにやってます。


世間より時差ありですが今週、平井堅さんの新曲を初めて聞いた。

男性側からのせつない片思いを描いている曲「#302」

彼が描く片思いは、かなわないからと言ってただ苦しさを歌うわけではない。曲の中の男性は女性の今の気持ちが100自分になくても、そうなることを願っている。その希望をもって女性の今の心の状態に時間をかけて寄り添う心。自分の切なさと苦しさよりも彼女の悲しさと寂しさを見守る心の大きさ。聞き手に恋愛感情の温度差、気持ちの差に着目させる。その繊細な感情を1曲の中で描くところが平井堅さんらしい。

ふと思った。「#302」は一応付き合ってるけど前の相手がふっきれていない相手に対する気持ちを歌っているのか。または、まだ関係がはっきりしない友達以上くらいの曖昧な関係の相手。弱っていることにつけこんで押して押して自分の望む関係へ焦ることもできるけれど、自分の心にブレーキをかけている心境を歌っているのか。もしくは、完全に友達だけれど相手の寂しさをみる苦しさと自分の気持ちが抑えられなくてキスをしてしまったとか。

歌詞だから、聞き手の解釈は自由である。平井堅さんのバラードを聞いて歌詞を考えて解釈で迷うと思い出すことがある。ずいぶん前の彼との大喧嘩。

恋人か婚約者がいると思われる相手への片思いを描いた曲「even if」

彼女と二人きりの時間を過ごしながら、彼女がこのまま帰れなくなってしまえばいいのに、本当は自分のものになってほしいという心のうちを描く歌詞。この片思いもただただ苦しいのではない。可能性が0に近いということがわかっているけれど、もし自分が大胆な行動をとればこの先二人の関係が変わることがあるのだろうか、と想像する気持ちを持ち合わせている。いや変わらないことは百も承知だれど、今の楽しい時間を美しい思い出にする心の広さを持っている、というのか。彼に負けないくらいの気持ちを持っているのだけど、その言葉は飲み干して静かに相手の幸せを願ってしまおうとしている彼。いろんな「だけど」がありながら、最終的に「鍵をかけて」「終電をこえて」「時間を止めて」しまうことができたのかどうか。

ここが私たちの最大の喧嘩のポイントだった。わたしはこの男性が「時計の針を気にした」のだと思って、彼女を帰したのだとばかり思ってた。でも彼は違うと主張。この日ばかりは時間を止めて、終電をこえたのだ、と。そうじゃなきゃここまでの気持ちはどうなるの、最後の1フレーズがすべてでしょ、というのだ。

いろんな解釈があるから面白い。でも、あの時はどちらも相手の解釈に納得しなくて大喧嘩になり、折り合いがつかなかった。

去年「even if」のアンサーソングという「half of me」という曲が出された。ライブのみで聴ける曲として愛され、初めて歌われてから9年後に音源化されて世に出たとのこと。描かれるのはあのカップルの10年後。衝撃だった。歌詞の内容を踏まえるまでもなく、あの後のストーリがあったのだ。私の解釈が完全に間違っていたことになる。彼は「終電をこえて」、相手のいた彼女の「時間を止めて」の10年後、だからだ。まあ、あのカップルの10年後なのか、あの男性の10年後なのか解釈が分かれる点は置いておいて。

大喧嘩をした彼は「half of me」が出たときにアンサーソングだと聞いて何を思っただろうか。私との喧嘩を思い出して、ほらね、と得意げにニヤッとしただろうか。今ごろは平井堅さんの「#302」を聞いてるだろうか。彼ならどう解釈してるんだろうか。きっとまた、わたしとは違う意見なんだろうな。


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