【超解釈】Official髭男dism・Pretenderはただのダメ男。(Señoritaと比較)【歌詞考察】


Pretender/Offcial髭男dism

ふと飲み屋でMVが流れたこの曲。
なんだか見覚えのあるアーティストと曲名だと思ったら、Spotifyの日本版トップチャートの1位を長いこと独占している曲だ。
周りの人が一斉に口ずさんだので、そんなにいいものなのかと真面目に聴いてみたら、軽い曲調によく乗せたなというなんとも不思議な歌詞だった。
一見せつない別れの歌かとと思いきや、都合のいい一方的な男の考えをいかにも綺麗に、らしく、歌っている。Pretenderか。なるほど。

この曲、一言でいえば男の自己完結。恋愛が終わったあとまたは終わる頃に、綺麗な思い出にするため=過去の女にするため、自分の中に落とし込んでいく歌でした。

歌詞を見ていきましょう。

君とのラブストーリー
それは予想通り
いざ始まればひとり芝居だ
ずっとそばにいたって
結局ただの観客だ

はいストップ!
恋愛の始まりに終わりなんて予想しません。浮気や不倫でそもそも未来のない恋愛でもない限り。仮になんらかの事情で、別れを予想をした恋愛はバカのすることですか、それを続けてきたとしたら「いつかは別れるけれどいまは離れたくない、続けていたい」という矛盾した感情でそばにいたはずです。その感覚は自分しか知らず、それをひとり芝居と言っているのかもしれません。
「いざ始まればひとり芝居だ」というフレーズは、中島みゆき作詞作曲、桜田淳子が歌った「しあわせ芝居」を思い出します。でも曲のポップさが湿度を感じさせない。爽やかな空気に複雑な感情の揺れを孕んだ引きの強い出だし。

感情のないアイムソーリー
それはいつも通り
慣れてしまえば悪くはないけど
君とのロマンスは人生柄
続きはしないことを知った

う〜ん…クソ野郎!
恋愛におけるアイムソーリーは感情を込めて初めて謝罪なんですよ。仕事じゃないんだからさ。謝る気ないのにうわべ取り繕ってるクソ野郎ですね。それをさらっと言ってのける図太いナルシシズム。はやくも正体を現した僕。「人生柄」や、続きはない、ではなく続きは「し」ない、このあたりの言葉のチョイス素晴らしいと思います。仕掛けだらけの歌詞。

もっと違う設定で
もっと違う関係で
出会える世界線 選べたらよかった
もっと違う性格で
もっと違う価値観で
愛を伝えられたらいいな
そう願っても無駄だから

タイミングの合わない恋ってあるよね。
クソ野郎もPretenderにならずにいられたのかもしれない。でも自分は変えられないって自分がいちばんわかるから、無駄と切り捨てることも必要。だから歌が生まれるんですね。
いい歌……と歌詞のダメ男に振り回されて思わず情緒不安定に。

グッバイ
君の運命の人は僕じゃない
辛いけど否めない
でも離れ難いのさ
その髪に触れただけで痛いや
いやでも
甘いな いやいや

はいココ!
男ってこういうとこあるよねー!都合いい男!
「グッバイ」たぶんねここが自己完結の極みで、これ内心グッバイしてるだけで、相手には告げてないと思いますよ。終始自己完結、綺麗な思い出にするために心の中でグッバイしてるだけ。
運命の人って彼女に言われたわけでもないのに(だって今時「あなたは私の運命の人です」なんていう女いる?)、勝手に自分を彼女にとっての運命の人、ではなかったことにして、辛いななんて言ってる。
ただそれはふたりでいたときにぴったり合っていて、だから離れ難いのでしょう。会えば触れたくなって、触れるとやりたくなって、「いやいやダメダメ」と思う。区切りをつけなければ、グッバイしなければ、という揺れ動く男心を絶妙に表現したサビ。

グッバイ
それじゃ僕にとって君は何?
答えは分からない
分かりたくもないのさ

いやほんとダメな男だなこいつは…
そもそもなんで離れなくちゃいけないの?と。
本人もわかっているけれど、理屈だけで落とし込めない感情が残っているのでしょう。
そこで「それじゃ僕にとって君は何?」いちばんロマンスがあった頃より正直熱が冷めちゃって、でも彼女を目の前にするとなにか思うところがある、こうした葛藤が生まれる程度には。論理と感情は違うと次のAメロで歌っているので、論理的に答えは出せるけれど、それだけでは言い表せないものがあるのですね。そして次の問題の歌詞へ。

たったひとつ確かなことがあるとするならば
「君は綺麗だ」

ここ大問題ですよ。
結局見た目が好みだったんですね。見た目は恋が生まれるうえで重要な要素だけれど、それだけでずっと続くことはできないと。見た目だけ好みだけど浪費癖や盗癖あったとかさ。そんな大問題でなくとも結婚相手には向かなかったとかさ。でもなにがあろうと、とにかく君の見た目は好みだったよ、って散々綺麗事並べたあとに開き直って言っちゃう感じ、むしろこのダメ男に愛着湧いてくるよね。
ただ「君は綺麗だ」って言葉にキュンときちゃってる方がいらしたら騙されないでくださいね。おそらくこのカップル、話し合ってない、向き合ってないですよ。カギカッコついてるから本人に直接言ったのかなぁ。でも自己完結ですよこの歌は。
あ、男性は積極的に女性を褒めた方がモテるし恋も実ると思います。

世界1位の恋愛

ここで、Spotifyグローバル版チャート1位のSeñorita(ショーン・メンデス、カミラ・カベロ)の歌詞を見ていきたいと思います。

I love it when you call me señorita
I wish I could pretend I didn’t need ya
But every touch is ooh-la-la-la
It’s true, la-la-la

はい!お気づきですか!
この曲にも出てきます。pretend!
そしてなんだか似ているんです髭男dismのPretenderと、似てるけど似てないんです……
「あなたなんて必要ないふうに振る舞ったほうがいいかなって思うけど…」ってカミラが歌うんですよ。
But every touch is ooh-la-la-la
It’s true, la-la-la
のところ、
痛いや
いやでも
甘いな いやいや
に似てません?なんとなく…

島国恋愛

だけどこの2曲、日本とグローバル各1位の決定的に違うところは、一方的な自己完結か、ふたりで目を合わせて向き合っているかです。
Pretenderは散々申し上げた通り、終始自己完結に徹しているのに対し、Señoritaは曲名が呼び名ですからね。デュエットでショーンとカミラがイチャコラと歌っている通り、ちゃんとお互いの意思疎通がとれていて、「ふたりの感覚がぴったり合っている」という共通認識の確認取れてますからね。どんなフリをしようとこの触れている感覚だけはホントなのよ、っていう歌です。

一方的な自己完結……そんな閉鎖的な恋の終わり、そろそろやめませんか?脱・島国恋愛!

恋愛脳グローバル化のススメ

やっぱね、髭男dismのPretenderのダメ男も勇気をだして日本人的感覚……いまの草食系男子といわれる感覚から一歩踏み出してこのSeñorita的意思確認をとることをオススメしますよ。そうしたら、意味不明なタラレバ述べて女々しく過去を美化して自己完結したりせず済んだんじゃないから。それだけじゃない、もっとさっさと前に進んでその間にいい女にもっと会えたと思いますよ。収入も増えると思う。
髭男がPretenderでタラタラシコシコ妄想してるあいだに、ショーンとカミラはでSeñoritaで12回くらい会ったり踊ったりホテル行ったりしてますからね。Spotify1位の実力ですわ。

I wish it wasn't so damn hard to leave ya

歌詞では同じように離れ難いって言ってるんですよ。ようは行動するかどうかの違い。

終わりの美学

飛んで髭男dism、Pretenderのラスト。

とてもー綺麗だーーーーーーーーーっっっ………

って名残惜しそうに叫んで、ピアノがリフレインして終わるじゃないですか。

それに対し、Señoritaは

you keep me coming for ya!

でブツ切りですからね。
恋愛観の違いですよ。散々イチャイチャしたけど別れ際はさっぱり、あと引かないから。振り向いたり髪さわったりしないのよ。

結論

後ろ髪引かれるくらいなら、強く引き止めること。妄想であれこれ言わずに向き合うこと。Pretenderはカッコ悪い。

以上。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?