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楕円球の青春 来るものは

A大学のラグビー部は、「来るものは拒まず、去る者は追わず」というスタンスでした。
当時でも入部希望の1年生はどんどん練習に参加してきました。入部希望者は誰でも練習に参加できました。

当時、恒例として、春は花見が行われていました。4年生幹部の判断で、練習を休んで所沢市の公園に行くのです。3年生は、盛んに4年生にラブコール。「花見に行きましょう。」「花見に行きてー!」と、呼びかけていました。

ラブコールが実を結び、花見決定!さて、練習休みは嬉しいのですが、1年生は演芸会でかくし芸を披露しなければならないのです。困った。私はそんな芸達者ではないのです。

私鉄で移動するのですが、なんか、仮装させられて、(貧乏学生の汚い格好をさせられたように覚えています。)電車に乗ったように覚えています。

さて、公園には簡単なステージがあり、そこで、大演芸会。1年生の芸もそこそこに、先輩の芸達者がワンサカ!こりゃ花見したいはずです。大盛り上がり。

特にOBの物真似が大受け。N先輩が続々とモノマネを披露。バカウケ。1年生の芸などそっちのけでした。

他にも、茨城県民歌の披露あり、スケベな替え歌あり。

そこに、1人の1年生がステージに現れました。彼は、この日、初めてグラウンドに来たのですが、急遽花見に切り替わったので、初参加が花見だったのです。

彼は、公園の中で金魚すくいをしたらしく、ビニル袋に金魚を持っていました。
すると、おもむろに、「金魚を飲み込んで、出します!」と宣言。一匹を飲み込みました。「ウグッツ、ウググ、」みんな固唾を飲んで見ています。「出ませんでしたー」

彼は翌日の練習に参加しましたが、途中で切り上げて、2度と戻ってはきませんでした。
来るものは拒まず、去る者は追わず。

入部希望者は全て一旦入部できました。また、辞めていくのも自由でした。今ではそんなことはないですね。おおらかな時代でした。
はいちゃらばい。

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