MEDICINE

 私の好きなDREAMS COME TRUE(ドリカム)の曲に、「MEDICINE」というものがある。私がこの曲を初めて聴いたのは2019年のワンダーランドの時だった。

 ワンダーランドというのは、ドリカムが4年に1度開催している大規模なライヴの名称である。ちなみに私は2015年にも観に行ったが、その公演には軸となるストーリーがあり、それが歌と演奏とダンスと演出とで彩られていた。次々に展開していく景色が本当に素晴らしくて、当時小学生だった私はライヴで初めて泣いた。セットリストも、ファンの投票を元に決められた王道曲の連続だったことも理由のひとつかもしれない。

 一方、2019年のワンダーランドは、ドリカムのデビュー30周年と年が重なっていたこともあり、セトリは本人たちが「今だからこそやりたい」と感じている曲達を含んだものだった。それはつまり、前回とは打って変わって、参加者を置いていってしまうような“渋め”の曲が続く曲選だったということである。「MEDICINE」は私にとっては“渋い”曲のひとつだったが、いざその場で出会い、聴いてみると、自分との運命を少し感じてしまうような、なんとも素敵な曲だった。

 私は特に「MEDICINE」のサビの、この歌詩が好きである。

  「時々は思い出して これからあなたがめぐり会う same as me 私と同じ名前に 出会うたびに」

 心の中に思い描く、とある名前と同じ名前を持つ人に、偶然出会う確率は一体どのくらいなのだろう。そういえば私は、身の回りに同じ姓や名を持つ人がいた経験がないが、もしかしたら、それほど簡単には起こりえないことなのかもしれない。そんなまたとない機会に、真っ先に思い出される名前が私のものならば、それはとても喜ばしいことのように思える。自分自身が、その人にとって、それだけの印象を与えられるだけの魅力を持った人物であることが証明されたように感じるからだ(実は歌詩の文脈上では、そのようになれるよう願うニュアンスも含まれている)。

 そういうわけで、私はこの歌が大好きなのである。ライヴで観たパフォーマンスがとても格好良かったのをよく思い出していたが、つい昨日、YouTubeにもその様子がアップされたようである。よかったら聴いてみてほしい。


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