花束みたいな恋をした話

今更『花束みたいな恋をした』を鑑賞した。
「恋人と見ない方が良い」という情報だけ持っていたが、ばかっぷるなので2人で仲良く見た。

物語はイヤホンの話から始まる。イヤホンを片耳ずつ分け合うカップルというよく見る光景。しかし、イヤホンというのはLとRで流れている音が違うため、実際には聴いている音は別のものになるらしい。同じものを好んで同じものを見聞きしていても感じ方が違うのが最序盤から分かりやすく示されていて怖かった。それを知っていながらもそれを忘れるほど恋をする2人。なんでこんな描写の仕方するのー怖いよーー
私の話になるが、私は右耳が聞こえない。だからイヤホンをつける時は左耳だけである。スマホ自体の設定も変更しており、両耳同じ音が聞こえるようにしてある。私が恋人とイヤホンを分け合っても同じ音が聞こえてしまうんだな、と寂しかった。寂しくもあり、嬉しくもあった。恋人と同じ音が聞けるんだもの、そんなの嬉しいに決まってる。でもやっぱり寂しいな難しいね。てか普通に私が聞いてる音楽って本来のものとは違うんだ……結構ショックです。

2人の出会いは終電間近の駅だった。終電を逃した2人は同じく終電を逃した人たちと飲みに行く。筑波という陸の孤島に住んでいる私には縁のない話だった。筑波っていい街だけど終電逃せないのちょっと寂しいね。せっかく大学生なのに。

麦と絹は共通の趣味や好みから仲良くなっていった。価値観の近さや好きな作家、共通点ばかり出てきて相違点は全然出てこない。そんな人が目の前に現れたら好きになっちゃうのも仕方ないね。でも、共通点ばっかじゃつまんなくないですか。私は違うところこそ愛おしいと思います。そういうところを愛していきたいね。

仲良くなってからの2人は3回のデートの末告白して付き合うという王道ルートを辿る。こんな端的に言っちゃえば不思議ちゃんみたいな2人がちゃんと人付き合いして恋愛して付き合うのって不思議な感じがしたけど、人ってやっぱりそんなもんなのかな。

付き合ってからしばらく経って、安定したあとはそれまであった心情のナレーションがぱたっとなくなる。2人がどう感じているかは明記されないまま、次にしっかりと描かれるのはもう2人は取り返しがつかないところまで来た後である。怖すぎるよこの演出。考えた人鬼だよ、ずっと怖かったもん。

クリスマスに無線イヤホンをあげ合うシーンがあった。お互い同じことを考えて同じものを渡していた。いいのかなそれと思った。だって有線イヤホンって絡んじゃいますよねって話してたじゃん。共通点一個減っちゃうよ悲しくないの??

大学生の頃は現実を見て就活をしてた絹と夢を追ってた麦。大学を出ても子供心を忘れなかった絹と夢を諦めて就職した麦。立場の反転が本当に怖かった。麦は純粋な心を持った子供だったから。絹とずっと一緒にいたかったから。仕事を始めて純粋だからこそのめり込んじゃった。社会って怖いね。就職したくないなと思いました。私って子供だね。

タイトルにもある花束。作中でも花が出てくる。麦はその花の名前を絹に尋ねるが、絹はそれを教えることを拒む。女子に教わった花って一生忘れられないらしい。絹は恋が終わっちゃうことがわかってた大人だから優しさで教えなかったのかな。麦は子供だからね……夢見てたから……
この花の名前、マーガレットっていうらしい。花言葉は「優しい思い出」別れたあとって忘れたくなっちゃう人いっぱいいるけど、もし別れちゃったとしても楽しかったなって思える思い出をたくさん作りたいね。

2人は別れたあともしばらく一緒に仲良く暮らす。こんだけ仲良くても続かないことってあるんだなーってガキみたいな感想を抱きました。付き合ったあとの答え合わせって楽しいけど、別れたあとの答え合わせも結構楽しいんだよね。元カノのことを少し思い出しました。

なんだか麦の子供っぽいところが自分に似てる気がして、絹の大人びているところが恋人に似ている気がして、ずっと感情移入して泣いてた。4年付きあって別れちゃうこともあるんだねー。ずっとずっと続けていきたいよーーー

恋人と一緒にこの映画を見て、このまま付き合ってたら一緒に映画見たりできなくなる時も来るのかなって少し悲しくなった。ずっと仲良く映画見て感想言い合ったりしたいね。

終盤の別れ話のシーン、本当に辛くてずっと涙ぼろぼろしてた。エンドロールの思い出のイラスト、ない失恋の記憶にぼろぼろしてた。終わったあと泣いてる私の涙を拭いてくれた恋人の優しい顔を思い浮かべたらまた涙が出てきた。おやすみなさい。

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