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再び出会う。Allure Parfum (CHANEL)

25年前の1996年から8年ぐらいの間、私を鼓舞してくれたCHANELのAllure。

allureはフランス語で「歩き方」の意。
とりわけ「馬の歩法」を指すこともあるようです。そこから転じて英語では「魅惑・魅力」という意味に重心が移りました。
さらにアナグラムとして、 la leur (「その」彼女らに(を))という意味が潜んでいます。

もう少し日本語で分解すると、allureとは、外見からうかがえる「様子、物腰、速さ、歩調」と、内面から醸し出される「振る舞い、行動、態度」の両方を包含した「身のこなし」と「自信」のイメージ。
Allureはそれを香りに転換した。というべきでしょうか。

1996年に誕生したCHANELのAllureは、まずオードゥ トワレット(Eau de Toilette)から発売されて、次いで1999年にパルファム(parfum) とオードゥ パルファム(Eau de parfum)がでました。

香水は、香料をアルコールで溶かした液体で、賦香率と呼ばれる香料濃度の高い順に、パルファム(香水)・オードパルファム・オードトワレ・オーデコロンと分類されています。

1.parfum     賦香率 15〜30%
2.Eau de parfum 賦香率 10〜15%
3.Eau de Toilette 賦香率 5〜15%
4.Eau de Cologne 賦香率 2〜5%
(Eau de:〜の水/Toilette :化粧、身づくろい/Eau de Cologne :ケルンの水。世界最古の香水)

この違いをただ単に香料の濃度の違いと考えていましたが、 CAHNELのAllureでは、それぞれに「香りの動き」が異なるように香料の処方が異なっていることを知りました。

CHANELのHPにあるAllureの特徴・機能を形容した言葉

6つのファセットが、まとう人によって、異なるハーモニーを奏でる、ユニークな香り。

facet(ファセット)とは、宝石のカット面のこと、物事の切り口のことですので、それがまず6つあるということは、女性の多面性を6つの軸に展開して、それぞれの香りをあてたようです。

【Allureの6つのファセット】
シトラス  = レモンとベルガモット
フルーツ  = マンダリンオレンジとピーチ
フローラル = メイローズとジャスミン、スイレン、ピオニー、マグノリア、オレンジブロッサム
ウッディ  = サンダルウッドとベチバー
オリエンタル= アンバー
アニマリック= ムスク

「まとう人」に6つのファセットが近づいたとき、その時のその人の中に潜んでいる「何か」とシンクロできたファセットが、共振して香り立つように仕組まれています。なのでその人の「何か」が動くと、シンクロするファセットも変化して、「まとう人」の多様さに応えてくれるのです。

さらにハーモニーのためには、他者が必要です。その人の香りと互いに交わって魅力をさらに引き出してくれる相手となるのが、ブルボンバニラと呼ばれるシャネルのバニラ。このバニラとフレーバーが複雑なハーモニーを醸し出します。

オートクチュールのシャネルであるとおり、こんな仕立てがされているのがシャネルの香水です。

アリュール オードゥ トワレット Allure Eau de toilette(1996)

これは、トップ、ミドル、ラストと時間の経過とともに6つのファセットが移行していきます。
●トップノート:シトラス(レモン、ベルガモット)、フルーツ(マンダリン・オレンジ、ピーチ、パッションフルーツ)
●ミドルノート:フローラル(ジャスミン、スイレン、ハニーサックル、フリージア、マグノリア、メイローズ、ピオニー、オレンジブロッサム)
●ラストノート:ウッディ(サンダルウッド、ベチバー)、バニラ、パチョリ、オリエンタル(アンバー)

*「香り」にエスコートされながら、果実から花、木、森へと、より根源的・原初的な香りに落ちていきます。

一方の香水(Parfum)は、受け身では太刀打ちができないことがわかりました。

アリュール 香水 Allure Parfum(1999)

●シングルノート:マンダリン・オレンジ、メイローズ、バニラ

こちらはシングルノートなので、時間の経過ではそれ自身は変化はしません。ノートの変化で自分を多様にみせるのではなく、自分自身の多様さをトリガーにして香りを立ち上げる。という構えが必要になります。そのかわり香水の6つのファセットが近づいてきたときに、一度にその人自身を六面にファセット・カットします。ダイアモンドのように。
【ご使用方法】CHANEL公式HP
“香水は、キスしてほしいところにつけるもの”  - ガブリエル シャネル
フレグランスの真髄、香りの宝石と言われるのが、香水。
首すじ、手首、デコルテ、ひじの内側など、脈打つところに一滴ずつつけて、鼓動とともに優しく拡がる香りをお楽しみください。

だから、オードゥ トワレットのあと3年の期間をおいて、香水が登場したのかもしれません。
それは、最初のAllureで自分の多様性・多面性に気が付いた人が、今度は主体的に香水をつけられるようにするために。

そして、25年経って再びのAllure。
今ようやく、自分自身と香水とが一緒に香れるようになった気がします。自分自身で立っていることに、ほんの少し寄り添ってくれる。そしてなんとなくオードゥ トワレットでは物足りないとおもえるのも嬉しいこと。かもしれない。

懐かしくて、新しい出会い。

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あらためて、よろしく。



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