法の下に生きる人間〈第52日〉

食品ロス削減推進法は、全25条から成る。

その中で、第9条が、つい先月に行われていたキャンペーンの実施根拠となっている。

(食品ロス削減月間) 
【第九条】
国民の間に広く食品ロスの削減に関する理解と関心を深めるため、食品ロス削減月間を設ける。 

2    食品ロス削減月間は、十月とし、特に同月三十日を食品ロス削減の日とする。 

3    国及び地方公共団体は、食品ロス削減の日をはじめ食品ロス削減月間において、その趣旨にふさわしい事業が実施されるよう努めるものとする。

以上である。

10月が食品ロス削減月間であり、10月30日は「食品ロス削減の日」と定められて、今年で5回目である。

昨日の記事でも触れたように、令和元年10月1日がこの法律の施行日なのだから、丸4年が経っていれば、国民の理解もそれなりに深まっているはずだが、果たしてどうだろうか。

例えば、てまえどりを積極的に呼びかけて、消費者がそれを意識できていたかどうか。

意識できていたとしても、実際にそれを実行してくれたかどうか。

テレビのバラエティ番組を見ていると、「買い物するとき、なるべく新鮮な物が良いから奥のほうの商品を取る。」というゲストやコメンテーターの話をときどき耳にする。

私たち消費者の本音もそうだろう。

新鮮な物が良いというだけでなく、しばらく保管できるという点で、1日でも消費期限や賞味期限が遅いのを選んでいるのが実際のところだろう。

うっかり食べるのを忘れて、消費期限を1日でも過ぎてしまったら捨ててしまいたい気持ちにもなる。結局、食べ物を粗末にしてしまうとなると、果たして「てまえどり」は効果があるのだろうか。

私は、必ず奥のほうの新鮮な商品を選んでいるが、買った商品を捨ててしまうことはめったにない。

私と同じような消費行動を取っている人がほとんどだとしたら、コンビニやスーパーの売れ残りは、消費期限が近いものばかりになってしまう。

食品ロス問題の解決は、実は、ここから考えなければならないのではないだろうか。

例えば、夕方の値引きセールで売れ残りをなるべく減らす取り組みは、令和の時代に入る前から、お店側が実施してきている。

それ以上の取り組みをするとすれば、品揃えをあまり豊富にしないことではないだろうか。

豊富な品揃えを売りにしているスーパーもあり、それが目当てで買い物に行く消費者も一定数はいるだろう。

でも、豊富な品揃えが余計に食品ロス問題を発生させているのであれば、再考しなければならないのは、お店側ではないだろうか。

続きは、明日である。


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