法の下に生きる人間〈第93日〉

生活保護法で定められている扶助の種類が、全部で八つあることは昨日の記事で触れたが、今日は、具体的な扶助の方法として、生活扶助の例を第30条に基づいて紹介しよう。

(生活扶助の方法) 
【第三十条】
生活扶助は、被保護者の居宅において行うものとする。ただし、これによることができないとき、これによつては保護の目的を達しがたいとき、又は被保護者が希望したときは、被保護者を救護施設、更生施設、日常生活支援住居施設若しくはその他の適当な施設に入所させ、若しくはこれらの施設に入所を委託し、又は私人の家庭に養護を委託して行うことができる。 

2    前項ただし書の規定は、被保護者の意に反して、入所又は養護を強制することができるものと解釈してはならない。 

3    保護の実施機関は、被保護者の親権者又は後見人がその権利を適切に行わない場合においては、その異議があつても、家庭裁判所の許可を得て、第一項但書の措置をとることができる。

以上である。

原則としては、被保護者の居宅で行われるが、保護の目的を達するのが難しい場合や、被保護者から希望があれば、所定の施設や、私人の家庭に養護を委託できる。

被保護者からの希望がないのに、強制的な入所や養護の委託は認められない。

福祉事務所等の保護実施機関は、親権者又は後見人が養育を適切に行わない場合、たとえ異議を唱えられたとしても、家庭裁判所の許可を得て、施設入所等の措置を被保護者の希望に基づいて取ることが可能なのである。

その他の7つの扶助については、第31条から第37条まで具体的に書かれている。

そして、先ほど説明した施設入所の件だが、生活保護法の第38条に次のような定めがある。

【第三十八条】
保護施設の種類は、左の通りとする。 
一    救護施設 
二    更生施設 
三    医療保護施設 
四    授産施設 
五    宿所提供施設 

2    救護施設は、身体上又は精神上著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とする施設とする。 
3    更生施設は、身体上又は精神上の理由により養護及び生活指導を必要とする要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とする施設とする。 
4    医療保護施設は、医療を必要とする要保護者に対して、医療の給付を行うことを目的とする施設とする。 
5    授産施設は、身体上若しくは精神上の理由又は世帯の事情により就業能力の限られている要保護者に対して、就労又は技能の修得のために必要な機会及び便宜を与えて、その自立を助長することを目的とする施設とする。 
6    宿所提供施設は、住居のない要保護者の世帯に対して、住宅扶助を行うことを目的とする施設とする。

以上である。

これまで施設のお世話になったことがある人も、これからお世話になるかもしれない人も、こういった施設の存在については、しっかりと理解しておくと良いだろう。

生活保護法は第87条まであるが、さまざまな法律の中では、比較的分かりやすく順を追って手続き等の説明がなされている。

万が一の困窮に備えて、読んでおくと安心である。

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