法の下に生きる人間〈第78日〉

利息制限法は、歴史も長いし、お金を借りた借主を守るための法律である。

条文も第9条までしかないので、時間があるときに全文に目を通すとよいだろう。

特に、昨日の記事でも触れた第1条のほか、第2条から第4条までは、きちんと条文の意味を理解しておいたほうがよい。

以下に示そう。

(利息の天引き) 
【第二条】
利息の天引きをした場合において、天引額が債務者の受領額を元本として前条に規定する利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分は、元本の支払に充てたものとみなす。 

(みなし利息) 
【第三条】
前二条の規定の適用については、金銭を目的とする消費貸借に関し債権者の受ける元本以外の金銭は、礼金、割引金、手数料、調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず、利息とみなす。ただし、契約の締結及び債務の弁済の費用は、この限りでない。 

(賠償額の予定の制限) 
【第四条】
金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が第一条に規定する率の一・四六倍を超えるときは、その超過部分について、無効とする。 

2    前項の規定の適用については、違約金は、賠償額の予定とみなす。

以上である。

第4条の「債務の不履行による賠償額」というのは、遅延損害金のことである。

1.46倍が上限として定められているが、2000年の法改正までは、「2倍」だったのである。

この金利計算がよく分からない人のために、昨日の記事で触れた利息制限法第1条に立ち返ろう。

①元本の額が十万円未満の場合 →年二割(=20%) 
例えば、返済期限までに返さなかったら、2000年までは遅延損害金の利率は40%、今は29.2%(20×1.46=29.2)である。

②元本の額が十万円以上百万円未満の場合 →年一割八分 (=18%)
例えば、返済期限までに返さなかったら、2000年までは遅延損害金の利率は36%、今は26.28%(18×1.46=26.28)である。 

③元本の額が百万円以上の場合 →年一割五分(=15%)
例えば、返済期限までに返さなかったら、2000年までは遅延損害金の利率は30%、今は21.9%(15×1.46=21.9)である。

ただし、消費者金融の場合は、この第4条の規定は適用されない。第7条に特則がある。

(賠償額の予定の特則) 
【第七条】
第四条第一項の規定にかかわらず、営業的金銭消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が年二割を超えるときは、その超過部分について、無効とする。 

2    第四条第二項の規定は、前項の賠償額の予定について準用する。

「営業的」金銭消費貸借上の契約に関しては、上限は年20%と定められている。これは、借入れ金額に関係なく一律20%までだということを知っていただろうか。




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