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スキルス胃がんと向き合った家族です。 スキルス性の情報が少ない中で、個人の意見として…

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スキルス胃がんと向き合った家族です。 スキルス性の情報が少ない中で、個人の意見として、誰かの力になれればと思い、noteに綴ります。 がんへの考え方は人それぞれなので、あくまで1つの事例として見ていただけると嬉しいです!

最近の記事

8.忘れる人間

新たな年を迎えた。 昨年は本当にあっという間だった。もはや断片的にしか思い出せない記憶もある。 他方で、明確にはっきりと思い出せることもある。たとえば、父が亡くなった瞬間。私は確実にあの時、何かのスイッチを切り替えた。音はしないが、目に見えないが、カチッとスイッチを切り替えた。 「ここから先は、私がやるしかない」と強く感じた。 死というものは、体感すると案外怖いものではない。 今まで、亡くなることとは無になることだと感じていた。もう、そこにはいない。という気持ち。 で

    • 7.デスノート

      「デスノート」と呼ばれるノートがウチにはある。もちろん、誰かの名前を書くノートではない。 父がそう呼んでいたデスノートは、エンディングノートのことである。 面白おかしく、そして、少しの恐怖を感じながら呼んでいたのではないかと、今になってから感じる。 エンディングノートは本当に本当に健康なうちに書いてください、と心から感じる。 病気になってから、渡せるものではないし、本人はあまり良い気持ちで書けるものではない。 緩和ケアが始まり、ケアワーカーの方から最期の過ごし方、み

      • 6.生から死へ

        父が亡くなって月日は過ぎましたが、やはり残された家族にとっては寂しさが強く残ります。ふとした瞬間に思い出して「そっか出張でいないわけじゃないもんね」と感じることが幾度なくあります。 スキルス性胃がんだった父にはよく、腹水が溜まってしまうという話を医師から聞いておりました。実際には、そこまで腹水が溜まることなく、一度も抜くこともしなかったので、身体の負担を減らすことができました。 ただ、体には水分が溜まり、むくみがとても多く大変だったことを今でも覚えています。だんだんとお風

        • 5.地域との繋がり

          今、父の病気を振り返ると、かなりストレスがかかっていたことを思い出します。 治療方針で父とぶつかった時は、静かに泣いていました。 泣いているけど、父に水をとってほしいと言われて、泣き顔がバレないようにそっけなく渡す。そして部屋に逃げる。 帰宅途中の電車の中で病気について思い出し、涙が溢れる。そっとマスクを広げて顔を隠す。誰に相談したらいいのか分からず、毎夜ネットサーフィンを繰り返す。 こんな感情の起伏が毎日のように続きます。先が見えない未来。 父の体調が少しでも良い時は

        8.忘れる人間

          4.家族として一番苦しかったこと

          久しぶりに父の写真を見返すと、亡くなる半年ほど前から、やはり顔が、表情が曇っていたということに気づきました。 恐らく、当時も気づいていたとは思いますが、何となく知らないふりをして、今日は元気だね、今日は気分が良さそうだね、今日も明日も最高な1日になりそうだね、とその一瞬一瞬だけを切り取って生活をしていました。 私が父の病気で一番悲しかったことは、あんなに強く、前向きだった父が「もうダメかもしれない」と弱気になり、痛そうな悲しそうな、そして覇気のない表情へと変わっていたこと

          4.家族として一番苦しかったこと

          3.スキルス胃がんと食事について

          ガリガリくんのアイスが革新的だと、ニュースになっていました。 これ、本当に緩和ケアをしていた父にもとても大事な食材で、ICE BOXなどをはじめとしたシャリシャリ系のアイスには大変お世話になりました。ありがとうございました ガリガリ君のカップが発売されて、一番素晴らしいことは「食べ切れるかもしれないサイズ感」ということです。これは病気と向き合う方にとっても「食べ切れた」という最大の自信に繋がるでしょう。 今でも父の声で忘れられないのは「いいなぁそんなに思いっきり食べられ

          3.スキルス胃がんと食事について

          2.病気を持った人との向き合い方

          亡くなってからの方が忙しいというのは、本当にその通りでした。毎日がバタバタと忙しく、あまり自分と向き合う時間が取れていないのが現実です。久しぶりに開いたnoteです。 今日は、病気を持った人との向き合い方についてシェアできればと考えています。 家族がぶつかる壁「治療方針」 病気を有した「患者さん」の周りにいる家族において、一番難しいのは、その患者さんとどう向き合うかです。特に治療方針などが異なる場合は、本当に難しいです。 私も父の治療方針でどうしたらいいか分からなくな

          2.病気を持った人との向き合い方

          1.スキルス胃がんとの向き合い方-余命宣告されたら-

          お久しぶりです。 やはり、頻繁に更新していくことが難しく、日が空いてしまいました。 最初にお伝えします。このnoteはスキルス胃がんの完治!などを目標にお伝えするのではなく、人生の終わり方、最期の迎え方について父から学んだことを発信します。そのため、治し方を今すぐ知りたい方はこのnoteではありません。 私がお伝えしたいこと ・患者本人の病気との向き合い方 ・家族としての病気の支え方 ・豊かに生きるとは ということです。前提からお伝えすると、父は天国へ行くことになりま

          1.スキルス胃がんとの向き合い方-余命宣告されたら-

          0.スキルス胃がんに対するスタンスについて

          初めまして。現在進行中で胃がんと闘う、家族です。 50代の父に癌が見つかりました。胃がん、そしてスキルス。 普通の胃がんと異なるのは、スキルス胃がんが見つかった時点でほとんど手の施しようがないこと、そしてスキルスに対する治療法が見つかっていないこと。などが挙げられます。 noteで想いや考えを綴る前に、私たち家族の、そして患者本人の大事にしている考えをまとめていきます。 大事にしている価値観 治療の最優先事項は痛くないこと!!!とにかく痛くないこと!! そして、延命の

          0.スキルス胃がんに対するスタンスについて