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汲み取り屋さん

汲み取り屋さん
という言葉を小学生の頃に覚えた
汲み取り式便所の
掃除をしてくれる仕事の人の事だ

小学生の頃は
こんな仕事はしたくないと思っていた
だから勉強して
綺麗な仕事をしたいと思った

中学生の頃
汲み取り用のチケットを買いにいった
玄関先にそのチケットを置いておくと
汲み取り屋さんが そのチケットで

汲み取り量を勝手に清算してくれる
足りないと面倒だから
多めにチケットを準備する
ひと月の排泄物の量を準備する

高校生の頃
玄関のピンポンで呼ばれて
汲み取り屋さんの対応をした
高校生から見た汲み取り屋さんは

ただのチンピラに見えた
こんなチンピラにはなりたくないと
思ったから勉強をした
かなり見下した

社会人になった頃
いわゆる汲み取り屋さんは見なくなった
だけど汲み取り屋さん的な人は見る
なぜかチンピラ風だ

勉強をして汲み取り屋さんにはならなかった
勉強をしないと汲み取り屋さんになると
思って勉強したから
こういう表現になってしまう

いい会社に 綺麗な会社に
綺麗な仕事に 綺麗な服装で
汚れない清潔な仕事で
環境はいい仕事で

とても清潔な とても綺麗な
とても無臭な環境で仕事をしている
一人で何もかもが終えればいいが
そうはいかない

誰かとかかわって仕事をする
色々と話はする
それぞれの気持ちを読み取り
それぞれの思惑を汲み取る

とても綺麗な環境だけども
無臭なのに 胡散臭い
匂いが気持ちにくる
それぞれの思惑は臭い

気持ちに来る臭いは
感情に来る臭いだ
いつの間にか 人の気持ちを
汲み取る 汲み取り屋さんに

なっていた
勉強して頑張ったのに
汲み取り屋さんになっていた
気持ちはチンピラのように

愚痴るようになっていた
人が吐き出す物は
形があっても 無くても
臭い

色々な五感に影響する臭さだ
これを汲み取ってお金がもらえる
いいチンピラになれる
汲み取った物の影響でチンピラ化する

チンピラは悪くない
人が吐き出す物が悪い
それを汲み取り屋さんが
お金で汲み取る

いい社会だと 思わないか

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