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「PICU 小児集中治療室 (第5話)」子供たちへの想いと、お金と医者のメンタルと・・・。

今回、初めてドクタージェットが使用されて患者が送られてくる。しかし、その運ばれてきた患者自身よりは、そのジェットを使って、今いる患者を安全に札幌から網走に運ぶというミッションが実行できなかった問題が大きく取りざされるわけだ。旅客機とは違い、1人の人間のためのチャーター機なわけで、緊急搬送以外ではお金はかけられないというところなのだろう。こういう問題は、北海道自体がジェットを持つことになっても続く気はする。命と金が天秤にかけられなくなる日は来ないのだろうか?

子供の患者たちは、大人のそれ以上にメンタルの問題がある。だからこそ、病院が家の近くにあり、親もすぐに来られるようなことは必要だろうし、医者がいかに親代わりになれるかということも必要なことだろう。そういう意味で、吉沢亮のような、真っ直ぐにものを考えて挫けて成長していく感じの性格の医者は必要だ。そして、彼の笑顔がこの役にピッタリなのが、ドラマのベクトルを明確にしている。

そんな吉沢に対し、ただ厳しい目しか持たなかった木村文乃は先週の裁判でメンタル的なものが変わったかと思いきや、まだ、仕事中に手に震えが起こる。心は戻ったつもりでも、奥底の潜在意識が消えていないということなのだろう。この医療ドラマの表現には、そういうメンタル的なものの比重が大きいような気がする。

そして、先週病院に運ばれてきた高杉真宙の話が並行して語られるわけだ。学生時代の親友が、睡眠薬を飲んで自殺を図ったというもの。その引き金的なものは語られないが、医者という仕事がただの技術職でないのはわかるし、人間と対峙する以上、頭が良いだけでは務まらないというのが見えてくる。とはいえ、高杉には、吉沢らの友人がいる。こういう深い友人のグループがあるというのは、すごくドラマ的な世界だが、本当にこういう仲間に出会えただけでも幸せなことである。そういう仲間を持っている男が自殺に追い込まれるというのは、とても稀有な気はするが、人間に絶対はないというのも事実だ。

このドラマは、普通の医療ドラマと違って、一回ごとに違う患者を扱うようなものではない。生きることにギリギリな子供たちが北海道全体から集まってくる。そういう意味では、舞台となるPICUが完成に近づけば近づくほど、その厳しさが見えてきたりするわけだ。そういう意味では、新しい形の医療ドラマだし、それだけに、主人公、吉沢亮の人間としての成長がうまく描かれていく感じなのは、心地よい。

しかし、ラスト。吉沢の母親の大竹しのぶが膵臓癌?吉沢への苦難は四方八方からやってくるということか・・。

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