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「ラストマン〜全盲の捜査官〜」周囲に感謝して去っていく刑事。面白い・・。

「日曜劇場」。前期のラノベテイストが引き継がれないでほっとする。脚本は安定感のある黒岩勉。そして、福山雅治、大泉洋というキャストはなかなか面白く見応えがある。その2人の間に、今田美桜がやはり効果的に入ってくるのに、私はゾクゾクした。それなりに見応えある作品になりそうだ。

FBIから日本に派遣されてきた全盲の刑事。その全盲であるが故の五感と、現代の最新鋭のデジタル機器を使いこなし捜査に挑む。そして、態度ははっきりしていて、周囲に協力を求めて巻き込んでいく。芝居のテイストは「ガリレオ」湯川先生を派手にした感じだが、対応は全く逆。バディを柴崎コウにしてこのドラマを見てみたい気はする。まあ、それは置いといて、彼の仕草に一切ネガティブな雰囲気も、暗い要素もないところが今まで彼が演じてきたキャラとは違うところだろう。福山は福山であるが・・。

最初の出会いの時に福山に見透かされているように引き込まれていく大泉洋。彼は日本においてはみ出し刑事であるが故に、福山がバディに選んだらしい。福山の態度や無謀さに呆れるも、多分、彼を認めていき、そこから大泉自身が自分自身に影響を与える人物になるという流れか?少し違ったとしても、初回の紹介の仕方は分かりやすかった。

そして、来日早々、長く続く連続爆弾魔の捜査を担当。日本の周囲の刑事たちはFBIの自分達を無視するかのような態度に反抗気味。日本の体質の描き方は、昔から変わらない。そして、異国の人に対するアレルギーも。まあ、今でもその通りだろうから、これはいい。

その中でただ一人、福山に協力的な役として今田がピックアップされる。しかし、彼女、こういう群像劇の中でちゃんと自分をアピールする演技ができるようになっている。とにかく今、光っている女優さんである。彼女の主演作が見たいのだが、福山&大泉の間で揉まれるのもいいだろう。アグレッシブな演技がたまらなく良かった。

そして、爆弾魔は福山がやってきた当日に新たな爆弾事件を起こす。警察の全ての事件のビデオ検証で同じ人物がいないことから、この事件は多数犯だとするが、福山がそれらの調書を読んで浮かび上がらせた犯行の推測は、爆弾を作ったものは他人に配って爆殺させているというもの・・・。

現場に行って、野次馬の中から火薬の匂いを嗅ぎ分けるという達人技をやり、その犯人に倒されたと見せてGPSを仕込むやり口。よくあるプロファイラーの話とは違い、一瞬で自己の五感で受けた情報をまとめ上げ犯人逮捕に持って行くのは興味深い。それと同じくして、警察は現場のビデオから不審者を捕まえる。そして、その犯人が爆弾をもらって仕掛けただけだと自白し、福山の推論が明確になっていく。

福山が、白杖を持った男が刑事だとは誰も思わないから犯人に近づいて行くというのは分かりやすいが、組織に中ではかなりのスタンドプレー的に見えるし、それがドラマになるところなのだろう。そして、その方向性がこのドラマの見どころだ。そんな浮いた感じの主役を最初からヒーローとして成立させることが福山雅治という男なのだろう。

そして、犯人の最終目的は学生時代にいじめられていたものたちへの復讐だった。母親との話から、そこまで推論する速さがすごいが、見ている方にそれを不自然に感じさせないのが脚本力というところ。ラストの見せ場の犯人の宮沢氷魚との対峙シーンも見応えがあった。まあ、いじめ復讐という動機は陳腐だが、そういう軽い恨みがこういう事件に発展するということが見破れない日本の警察という図式だろう。そんな周囲の刑事たちに協力を感謝して現場を去る福山。今までにない刑事のあり方がここで完成している。

とにかく、初回は福山の仕事ぶりの紹介話としては面白かったし、今後に期待できる作りにはなっていた。そして、今田に加え、ホテルでアンバサダーをやっている王林もなかなか好印象。福山の周りには美女が似合うというところか・・・。

まあ、月曜日の辛気臭い刑事ドラマに対して、TBS爆弾投げてきた感じですね。刑事は明るくないとね!!!

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