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「転職の魔王様(第3話)」迷える羊を救えるのは、迷える羊だった人という道理

「部下を褒めない上司など上司に値しません。」ということを、ラストに成田凌が言う。そして、ついでに小芝風花のことをさりげなく褒める。まあ、この成田の役は、最初からそんなに嫌なやつではない。なかなか人間観察が鋭く。そして、そのやり方も強引ではない。

石田ゆり子が、彼の話をしながら「迷える子羊を救えるのは、迷える羊だった」と成田のことを評価するが、そういう人材の継承が可能だったことが、日本的な会社組織のいいところでもあったのだろう。ただ、私が会社に入ったバブル期頃から、そういう心から人を育てるようなことが失われた。つまり、金が儲かればいいというようなスタンスになったのだと思う。そして、派遣社員という異人材を受け入れビジネスを成立させることにより、もはや、上司の資質も無くなっていったというのが、本当のところだろう。

ここに何度か出てくる接待の場が、今もあるのかどうかは疑問だが、こういうところだけで良い顔をする上司みたいなのはいるものだ。そして、そんな上司に理不尽にパシリみたいに扱わせる営業社員も確かにいるのだろうと思う。三年働いて、笑顔だけは絶やさないように、仮面をかぶってしまった若者の求職案件。なかなか、この話聞いて、身に染みる同年代の方も多いのではないか?ドラマとしても、わかりやすく、自分の取り柄、他人に言えるスキルというものを自分で認識できることがいかに必要かということがうまく描かれていた。

こういうの見ると、自分の同じ歳のことを思い出したりもするが、私は6年勤めて転職をした。そして、その時点でも自分には自信が持てなかった。自分の仕事に、自分のやり方に自信が持てたのは、30も半ばになった頃だった。それで、今も七顛八倒しているが、自分が何がでいるのかは明確になって仕事をしているから、まあいいかとは思う。転職活動など、もうしないけどね・・。

今日のクライント役は渡邊圭祐。私は、結構、彼の芝居が好きだ。なかなかいろんな表情で多角的な芝居ができる人だと思っている。今回も、最初の上司に言われて、作り笑いをしながら営業する姿はお見事だし、最後に徹夜で仕事の危機を乗り越えた後に出す本当の笑顔はさらにリアルだった。こういう芝居できる人は、ジャニーズなんかでは少なかったりもするのですよね。よく、木村拓哉の芝居をみんな同じというが、こういう微妙な芝居の差異が出せないのが彼の難なのである。まあ、そんなものなくてもいい男は仕事もらえたりはするのだから良いのだ。それはともかく、渡邊はもっと使われるべき役者だと私は思っている。

最後に彼の役のいいところが「投げ出さない責任感」というのは、少しわかりにくいが、まあ、ガッツは人一倍あるというところだろう。だが、同期と飲んでるところで、「自分は何してるんだ」と思ってしまうのもわかる。自分軸で考えてなかったのだろう。まあ、「石の上にも3年」という言葉が今の時代に合っていないのも確かである。だいたい、企業内でどうなろうか?という目的意識を上司が持たせようとしていないのだから・・。まあ、こういう上司は永遠に存在する輩なのだろうとは思いますが・・。なかなか、色々、昔の自分を思い出したりするお話でした。

ラスト、成田の元カノ役で出てきたのは、岡崎紗絵。次週も楽しみですね。


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