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「彼女と彼氏の明るい未来(第6話)」振り返ることと、とらわれることは違う?

次回が最終回ということで、今回は彼らが元さやに収まる前のモヤモヤともいうべきものなのだろう。そして、ラストには「希望を持てないものが、どうして追憶を慈しむことができよう」という梶井基次郎の一節。つまり、この話は、過去を慈しまないで過ごしていた二人が、そこを覗かれたことで未来に希望をなくしたという話なわけだ。

そして、今回は、別れようと言ってからの最後の喧嘩。というか、前回の関水渚のLINE「15時まで家にいる」は話し合いをしようではなくて、荷物片付けるなら15時以降にしてという話だったらしい。こんな、よくわからないLINE を送るのは、まあ、精神不安定と考えればいいのだろう。

そして、今回、末澤誠也が家に来た時の関水の顔が美しかった。呼び出されたわけではないが、久しぶりに対峙してこんな綺麗な顔を見せられたら、そりゃ別れたくはないだろう。そして、そこから長い口喧嘩が始まる。

このワンカットで撮ったように見える二人の喧嘩シーンはなかなか真に迫っていて良かった。二人の若い役者でここまでできればOKだろう。結局は過去を見られたことの恥ずかしさと、それを見てしまったことの後悔の中で、心の整理ができないままに脳裏を整理せずに飛び交う激しいキャッチボールなのだが、全ては暴投。お互いが言葉をキャッチできないままに10分弱の時間がすぎる。

そんなことのあった後に、関水はVRを見つけ、それで近い過去を見ているような画面に向かうというか入っていく。そして、末澤が関水のことで一人必死になっている様子を見るわけだ。ここで、関水が何か大切なものを無くしてしまった感覚になるのはわかるが、なかなかむずかしい心理劇になっていた30分だった。

恋愛のリアルな感情を映像化するというのはとても難しいことだ。セリフだけでは20%くらいしか本音を伝えられていないことが多い。だから、昨今の男女が自由に生きられる時代には、「間違えた」として、平気で離婚したりできるわけだ。つまり、もっと深い心の中を読み合わなければ本当に好きかなど理解し合えないということと、性急に結婚というゴールに向かってしまうことの危うさをここでは示している感がある。

とはいえ、お互いの過去の記憶などわかるはずもなく、そこが覗かれたらやはり本質的には「気持ち悪い」という一言であろう。描きたいところは、そこを飛び越えて男と女は一緒に未来を過ごせるのか?というところなのかもしれない。今回の最後に関水渚の心は少し末澤に傾いたのであろうか?最終回のまとめ方はちょっと注目!


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