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「マルス〜ゼロの革命〜(第4話)」道枝駿佑と江口洋介の関係をもっとミステリアスに描かないとダメなのでは?

もう一つ、話に乗り切れないですよね。舞台が高校だから、ドラマのターゲットは10代20代というところなのだろうが、最近はコミックの世界も大人に注目されるような作品でないとヒットもしにくいらしく、お子様ランチはいらないというところ。その辺がわかっていて、20代ターゲットのドラマを結構作ってきたのは日本テレビ。だからこそ、大人の恋愛ドラマ「セクシー田中さん」でしくじったというのはわかる気がする。それに対し、テレビ朝日は、長く続くオリジナルシリーズ作りはうまいものの、こういう路線は最近はあまり作ってなかったということなのでしょうな。オリジナル作品にしては、さまざまに脇が甘い感じで、主役の道枝のキャラもしっくりきていない。ドラマ全体のテイストが未だ明確でないのですよね。

一番の見せ所は、道枝と江口の関係なのだと思う。この二人は親子なの?まあ、それはともかく、二人でうまく仕掛けあっているが、今のところ江口が上手という状況。ある意味、江口が道枝を鍛えてるようにも見える。とはいえ、ここまでこの二人の関係がわかりにくく、見るのやめた人も多いのではないか。だから、この辺でというところで江口のプレゼン会場にマルスで登場する道枝だったが、子供扱いさせられて退場させられる。

で、次のマルスが解き明かす世の中の犯罪は、マルスの一員の山時聡真がゲームで仲良くなった田辺桃子が多額の借金を背負わされた末に、売春斡旋組織で働かされそうになったことを受けて、その闇金営業組織を追うという話。そして、その組織は前回出てきた中国人の組織が絡んでることがわかっていたという流れ。

いつものように、なんだかわからないうちに、彼らが収穫した金の流れがわかり、それを元に組織のアジトを掴もうという話。現金のケースの中にマルス自身が入って、そこにGPSをつけるというものだが、あまりにも安易すぎるし危うすぎる。こういう技を高校生が簡単にやってしまう話がすごい陳腐に見えるのがこのドラマの大きな弱点ですよね。

そして、たどり着いたアジトには小学生が働いていたというすごい話。彼らのいいぐさも、少年だから捕まったとしても、出てきたら株で儲ければいいしと、皆、世の中を舐めきっている様子。確かに三島由紀夫の「午後の曳航」のような話をITの世界を使って描くのは面白そうではあるが・・。

実際、小学校でプログラミング教育とかやってるようだが、そんなの飛び越えてこういうことできる連中がいっぱいいるという未来も見えてくる。そして、学校のPCでデイトレードしてるみたいな児童が出てくるとか?そうなったら先生はその小学生に脅されていたりしてね。そんな未来も見える構図は確かにあるが、こういうのを画にするのは私はあまり好まない。すごく嫌な絵図だと思いませんか?そういう描き方も、なんかしっくりきてないドラマですよね。だいたい、高校生たちが彼らをどう思うか評価もしない状況はダメでしょ。

結果的には、この案件を追おうとしたきっかけになったビデオは江口がフェイク動画として作ったものらしい。あちこちのドラマでフェイク動画というフラグが上がっているが、確かにそういうものが簡単に作れたりはするが、もはや、こういうドラマ自体の作りを複雑にするフラグであり、ドラマがシンプルで面白いものになりにくくなっていきますよね。

動画を主にして革命を起こそうとするこのドラマで、はじめの方でこういうフラグを立ててしまうのはどうかな?と思いますが、・・・。


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