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「イチケイのカラス スペシャル」違う場所の違う事件が同じベクトルを向く無理くりさ・・。

映画公開もあって、作られたスペシャル版。そして、主人公は熊本にいて、最後に岡山に行く話になる。つまり、これが映画の前の話なのだが、映画公開が始まった次の日に放送されるという今ひとつ間抜けな感じ。1話完結の話だから問題はないが、ラストのシーンは完全に映画の番宣ですよね。フジテレビは今年もこの流れでドラマを作っていくのでしょうね。

ということで竹野内豊演じる入間みちお、復活ですが、このスペシャルでは、もう一人の主役である黒木華は顔出し程度で活躍せず。あと、山崎育三郎や桜井ユキといったサブキャラクターも事件内には登場せず、上司の小日向文世と書記官の中村梅雀と水谷果穂だけでスペシャルを作ったという感じ。この辺りも、スケジュールもあるとは思いますが、予算を削っているということもあるのでしょうか?スペシャルというには少し弱い気はしました。

話は、熊本で起きた、竹野内が裁判を担当したヤンキーの決闘の場で起こった傷害事件と、東京で起きた、小日向が裁判を担当した企業内の傷害事件がパラレルに動き、共に職権発動し捜査を行うと、同じ人物、中村アンにたどり着く。これ、観ている方としては事件の概要が今ひとつわかりにくい。パラレルで動いている事件があまりにも違うのと、接点がこちらから見えてこないからだ。

その辺りを作り手もわかっているようで、この重なった段階で、一応、時系列の説明が入ってくる。その時系列も今ひとつ繋がって見えてこないところはわかったが、ドラマとしてはそっちを繋げるのがやっとで、最後に泣かせたいところに辿り着きにくい気がした。

つまり、結果としては、中村アンが罪を犯した過去への贖罪みたいなものが落とし所なわけだが、彼女自身がしっかり描かれていないという印象。事件が複雑で、そっちの説明みたいなところに時間をかけなくてはいけないため、中村の方にある人間ドラマをしっかり描けなかったというところ?連ドラ2回分の時間はあるものの、主人公の現状説明などもあったから時間が足らなかった感じですね。

だからこそ、法廷の最後の北村一輝の逆上シーンはすごい無駄な感じがしたし、北村がただ悪役になってしまっているのもどうかとは思った。中村アンの罪の重さみたいなものがこれで薄らいでしまった感じがする。彼女をちゃんと描けば、中村アンとしても代表作になるような演技ができた気もするので残念なところ。

中村の犯した、作った子供を育てられなかったことと、司法試験での問題漏えいに絡んでいるというのは、結構なウェートがある事件である。その本質みたいなものに比重を置かないと、この話はうまくまとまらないというところだと思うのだが・・。脚本のフォーカスの当て方の問題ですよね。テレビの2時間というのは、CMもあるので時間配分が映画より難しいし、映画のプロモートも入る感じだとこうなるということはわかっておりますが、もう少しその辺の隙みたいなものを隠して欲しかった感じ。そう、途中、北川景子を出して月9ドラマのプロモートまでしてるのですものね。

あと、中村梅雀の娘がヤンキーだったという話もなんか必要なのか?という感じはしました。やはり、このドラマの見どころは、竹野内豊と黒木華のせめぎ合いみたいなところであり、その辺りがゆるいのでイマイチな感じがしたのでしょうね。

弁護士役の堀田真由が、少し大人の感じでしっかり演技できてたのは収穫だったような気がします。彼女、最近、出番が多くなってきた感じがしますが、このような、少し大人の役も十分対応できるということを見せていましたね。

そんなところですかね、被疑者側のドラマにちゃんとフォーカスできていないと、面白さはイマイチということがよくわかる作品でした。とはいえ、映画は楽しみにして、観に行きたいと思っております。


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