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「季節のない街」この形なき世界へのオマージュ、或いは" あまちゃん"の後日談?

昨年8月よりdisney+で配信されているドラマの地上波放送。制作著作はテレ東だが、配役が豪華すぎるし、脚本、宮藤官九郎。ディズニーが金を出しているのはミエミエだが、どのくらいの予算で作ったものかは気になる。そして、ディズニーランドがこんなだったら、私は毎日通うのだがと思ってしまった。原作は山本周五郎の同名小説。つまり黒澤明監督の初カラー作品である「どですかでん」のリメリク?初回から、その列車馬鹿役の濱田岳は全開での演技であり、このドラマも「どですかでん」のタイトルで良かった気もするが、この辺りは、著作権問題が絡んでそうである。山本周五郎の原作の著作権は切れているから問題ないが、黒澤のそれは、バカ息子がしっかり護ってるから法外な金を払わないと使えないみたいな妄想が私には見えた。

そして、舞台は震災から12年経った東北の仮設住宅。そこに、パトロールのアルバイトでやってくる池松壮亮。東北に半ズボンは寒そうである。で、この地をクドカンが舞台にしているといえば、やはり「あまちゃん」を想像する。ざらっとみた感じでは、あのドラマにも出ていたのは、荒川良々と片桐はいりだけか?だが、一番印象的な二人を連れてきた感じにもみえ、私的には、これが「あまちゃん」の話とリンクしてこないかとワクワクはする。

初回は、山本耕史にこの仮設住宅に連れて来られる池松というシーンから。仮設住宅というものが、適当に取り残されてる感じ。これが今の日本なのだろう。それが、「どですかでん」の風景にシンクロするというのも寂しいものだ。そして、池松を青年部に誘う仲野太賀。そして、渡辺大知。なんかこの3人揃ったところで、すごいアナーキー感があるのがたまらなくいい。そのアナーキーな役者が大河ドラマの主役をやる時代である。どうなってるのでしょうか?

そんな青年部も知ったことじゃないというふうに列車を走らせる濱田岳。この濱田岳が少女を送っていって、誘拐犯に間違われる話が今回。そこに機転をきかせ、彼の時刻表が完璧だと警察を言いくるめる池松。なかなかのグッドジョブで、この仮設住宅にうまく馴染むことができる。

で、そんな中で出てくる、もっとアナーキーな奥野瑛太が何かしでかしそうな雰囲気が私は好きだ。そんなアナーキーな街で揚げ物屋を平然とやっている片桐はいりにも、すごいパワーを感じる。そう、ここにあるのは、自然災害から生き残った人間のパワーである。そして、仮設住宅が仮設だなんて彼らは思っていない。そういうドラマなのだろう。

どこで撮ったか知らないが、多分、この仮設住宅の中の枠の中でだけ起こる話だろうから、このキャストが実現したのだろうが、日本の災害から蘇るエネルギーみたいなものは、戦後復興から何ら変わってないのですよね。そう、それは国が税金をもって行うものではなく、国民一人ひとりの自己責任の中で復興するものだと、決まってる感じね。日本国憲法にそんなこと一つも書いてないけど、たぶん、日本の基本的人権というのは、勝手に国民自ら掲げて、勝手に生きろということなのだろうね。だから、政治家は闇の金の税金は払わないということだ。まあ、今の時間にタイムリーなドラマとも言えますな。「不適切にもほどがある」のロスを補うべく、かなり楽しみな作品である。


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